おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

境界を作る

2022-07-22 10:25:36 | 日記
 ちょっと前に「境界知能」に関する記事を読んだ。子供の頃に知能テストというのを受けさせられたが、その際、知能指数というのが測られる。全体の平均を100とし、指数が高いほど天才、秀才と呼ばれ、指数が70以下になると知的障害と言われる。グラフに描くと、真ん中が高い放物線になり、そこが平均だ。で、今問題になっているのが「境界知能」と呼ばれる人たちで、知能指数でいうなら70から85くらいにある人たちを指すらしい。ここにいる人たちは「知的障害者」とはならないため、普通の人として暮らさなければならない。物事の理解が悪かったり、物覚えが遅かったり、社会生活を営むにはいろいろと問題があるにも関わらず、70以下ではないという線引により、障害者として扱って貰えず、何の支援も受けられずに、社会のお荷物扱いをされている、というのである。

 最近、いろいろ話題になっている同性婚についても、僕は同様の問題があるように思う。それは、赤ん坊が成長する過程で、最初は誰でも女性として生まれ、次第に男性の形を獲得していく者があり、それによりこの世には男性と女性のふたつの性があるということになっているのだが、本当にはっきりと男性と女性の線引ができるのかというのは疑問だ。動物にだって繁殖期だけ異性に転換するものもいれば、最初から両性具有という生き物もいる。人間だって女性と男性の両極の間に連続性があるに違いない。はっきりとふたつの性に分けられているとしたら、それが文化や慣習により後天的に植え付けられたもののような気がしてならない。そしてそう考えたほうが、より現実世界に近いように思う。

 なぜ日本政府が同性婚を認めないのか、その理由は「家族のあり方の根幹に関わる問題で、極めて慎重な検討を有する」からだという。が、この裏には同性婚を認めたら、両親と子供いう今まで一般的と言われていた家族形態が維持できなくなるという心配が見え隠れしている。

 が、子供ができない夫婦なんていくらでもいるし、子供を作ることを望まない夫婦もいる。かといって、異性同士であれば婚姻を認められる。日本政府はそういう人たちまで、将来的には婚姻を認めないつもりでいるのだろうか。

 もし、同性婚を認めると、子供のできないカップルばかりになると心配しているとしたら、それはお門違いというものだろう。そもそも同性にしか興味を持てない人間が、同性婚が認められないから異性を求める、なんてことになるとは思えないからだ。それに法律が変われば、いきなり世の中に同性愛者が急増するということも考えられない。

 「境界知能」と呼ばれる人たちが、お役所が引いたラインにより、受けられる支援を満足に受けられなかったり、権利が奪われたりするのと同様、同性愛者もお役所によって引かれたラインで、さまざまな権利を奪われているに違いない。

 自民党の懇談会の会合で、同性愛者について「同性愛は後天的な精神障害」と書かれた冊子が配られたそうだ。後天的なのは、男とはこうあるべき、女とはこうあるべき、夫婦とは、家庭とは、と頑なに信じて疑わない慣習のほうである、とは政治家の先生たちは考えていないようである。
コメント
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