口が過ぎた オバマ米大統領州司法長官を「ルックス抜群」(2013.4.6 毎日新聞夕刊)
【ワシントン共同】オバマ米大統領が女性のカリフォルニア州司法長官を「抜群にルックスが良い司法長官」と形容したことで批判を浴び、謝罪に追いこまれた。カーニー大統領報道官が5日明らかにした。
大統領は4日に同州内で開かれた民主党のイベンで、カマラ・ハリス州司法長官を紹介。容姿を褒めた上で、聴衆に「事実じゃないか。そうだろう」と同意を求めた。女性の成功を容姿と関連づけるのは「男女差別的」ではないかとの批判がメディアなどから上がり、大統領はハリス氏に電話をかけて謝罪した。
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わが国では容姿の美しい地方議員などが評判になり、メディアが「美人すぎる市議」などと言い立てました。言われた本人も「容姿ではなく政治家としての業績を評価してほしい」と抗議していないようですし、新聞の読者・テレビの視聴者もそのことを批判したということを聞きません。アメリカのメディアが政治家を仕事で評価していることがよく分かるニュースでした。
毎日新聞はもう一つの「口が過ぎた」話を伝えていました(6日夕刊)。それは南米ウルグアイのムヒカ大統領(77)が4日の記者会見の会場で、マイクにスイッチが入っていることに気付かず、隣国アルゼンチンのフェルナンデス大統領(60)を「ばあさん」と呼ぶ侮辱発言をしたということです。
ムヒカ氏は記者会見場で、隣の政府高官に小さな声で「片方の目が見えない男より、あのばあさんの方がひどい」「ばあさんは頑固だ」と発言しました。フェルナンデス大統領の夫で2010年に病死したキルチネル前大統領は斜視だったことで知られているそうです。アルゼンチンのティメルマン外相は「極めて不快」とする声明を発表、ムヒカ氏は火消しに追われているといいます。
フェルナンデス政権は保護主義的政策を取るなど対外的に強硬な姿勢が目立ち、周辺国の反発を買っているといいます。大統領の政策や政治手法を公に批判することは許されますが、だからといって、「ばあさん」とは公人として口にしてはいけない言葉でしょう。また夫の前大統領の身体的欠陥を指摘することも問題です。
わが国には「口は災いの元」という箴言があります。日本の政治家も言葉に気をつけてほしいものです。日本維新の会代表は2人いてどちらも「共同代表」だそうですが、石原慎太郎氏も橋下徹氏も、「あぶない発言」があります。また安倍首相も「この憲法でなければ、めぐみさんを守れた」と憲法九条を誹謗する発言を行っています(「新聞の片隅に載ったニュースから」№77)。
「(福島の)低セシウムは無害。セシウム避難をやめろ」と国会で発言した維新の会議員もいます。それらのオーバーラン発言に対して厳しく批判しないところが、日本とアメリカのメディアの違いでしょうか。
大西 五郎
【ワシントン共同】オバマ米大統領が女性のカリフォルニア州司法長官を「抜群にルックスが良い司法長官」と形容したことで批判を浴び、謝罪に追いこまれた。カーニー大統領報道官が5日明らかにした。
大統領は4日に同州内で開かれた民主党のイベンで、カマラ・ハリス州司法長官を紹介。容姿を褒めた上で、聴衆に「事実じゃないか。そうだろう」と同意を求めた。女性の成功を容姿と関連づけるのは「男女差別的」ではないかとの批判がメディアなどから上がり、大統領はハリス氏に電話をかけて謝罪した。
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わが国では容姿の美しい地方議員などが評判になり、メディアが「美人すぎる市議」などと言い立てました。言われた本人も「容姿ではなく政治家としての業績を評価してほしい」と抗議していないようですし、新聞の読者・テレビの視聴者もそのことを批判したということを聞きません。アメリカのメディアが政治家を仕事で評価していることがよく分かるニュースでした。
毎日新聞はもう一つの「口が過ぎた」話を伝えていました(6日夕刊)。それは南米ウルグアイのムヒカ大統領(77)が4日の記者会見の会場で、マイクにスイッチが入っていることに気付かず、隣国アルゼンチンのフェルナンデス大統領(60)を「ばあさん」と呼ぶ侮辱発言をしたということです。
ムヒカ氏は記者会見場で、隣の政府高官に小さな声で「片方の目が見えない男より、あのばあさんの方がひどい」「ばあさんは頑固だ」と発言しました。フェルナンデス大統領の夫で2010年に病死したキルチネル前大統領は斜視だったことで知られているそうです。アルゼンチンのティメルマン外相は「極めて不快」とする声明を発表、ムヒカ氏は火消しに追われているといいます。
フェルナンデス政権は保護主義的政策を取るなど対外的に強硬な姿勢が目立ち、周辺国の反発を買っているといいます。大統領の政策や政治手法を公に批判することは許されますが、だからといって、「ばあさん」とは公人として口にしてはいけない言葉でしょう。また夫の前大統領の身体的欠陥を指摘することも問題です。
わが国には「口は災いの元」という箴言があります。日本の政治家も言葉に気をつけてほしいものです。日本維新の会代表は2人いてどちらも「共同代表」だそうですが、石原慎太郎氏も橋下徹氏も、「あぶない発言」があります。また安倍首相も「この憲法でなければ、めぐみさんを守れた」と憲法九条を誹謗する発言を行っています(「新聞の片隅に載ったニュースから」№77)。
「(福島の)低セシウムは無害。セシウム避難をやめろ」と国会で発言した維新の会議員もいます。それらのオーバーラン発言に対して厳しく批判しないところが、日本とアメリカのメディアの違いでしょうか。
大西 五郎