新しい厚生労働大臣の舛添要一氏は、その就任記者会見で
ご母堂の介護体験をふまえ、国民の視点にたって仕事をする、
とのべていました。ここまでなら結構だと思いますが、
他方で私は、舛添要一氏が国民総背番号制の導入論者であることを思い出していました。
ことしの6月、「年金記録漏れ。全5000万件、1年で照合」
といった見出しが新聞紙上に躍っていたころのことですが、
偶然、参院厚生労働委員会の質疑をテレビ中継で見ていたところ、
舛添要一氏が、年金改革に際しての国民総背番号制の導入を提起したのでした。
聞いていて、アッと思ったところ、
安倍総理は、生き返ったように賛同する旨の答弁をしたのでした。
国民投票法成立にも貢献したという彼は、このたび年金制度の主務大臣となりました。
それはまた、年金改革に関連づけて
憲法改正の環境づくりを進めていく公然の場を与えられたのだともいえましょう。
今後、その言動には厳重注意が必要だと考えております。
【補遺1】舛添要一氏の改憲論~山内敏弘氏の論考より抜粋
舛添氏は、例えば憲法89条などのように日本国憲法には現状に合わない規定がいくつもあるし、また環境権や知的財産権などの新しい問題も出てきているので、これらの問題に対処するためにも、改憲が必要であると指摘した。
ついで、自民党の改憲の最大の眼目が憲法9条の改憲にあると述べ、その必要性を以下のように説いた。9条に関しては、現実と条文の乖離が大きくなっている。現在の自衛隊は明らかに軍隊であり、9条2項とは矛盾している。自衛隊はイラクやインド洋に展開しているが、これを明確に裏付ける憲法条項もない。このような乖離を法律での解釈で対処するやり方はもはや限界にきている。日本では戦前から例えば撤退を転進というように事実を言葉で隠蔽するやり方がみられたが、言葉の遊びで国民をだますやり方はよくない。自衛隊を軍隊として憲法ではっきりと認めて、その上で、自衛隊の活動に対して憲法や法律で歯止めをかければよい。外国の軍隊が長年駐留するのはまともではないが、ただロシアや中国、さらには北朝鮮までも核をもっている状態の下で、日本としてもアメリカと同盟関係を結んでアメリカの核に依存せざるを得ない。日本が攻撃されたら、アメリカが助けてくれる以上、日本もアメリカに対しては応分の協力をしなければならない。憲法のために国民があるのではない。国民の生活を良くし、世界の秩序維持のために憲法がどうあるべきかを考えることが必要だ。
*自民党新憲法起草委・舛添氏の改憲論とその問題点/2006年6月26日
山内敏弘さん(龍谷大学教授、法学館憲法研究所客員研究員)
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20060626.html
【補遺2】参院厚生労働委員会の質疑(’07.6.14)~議事録抜粋
<舛添要一>
(前略)これ最終的にはやっぱり、しかも、私の家内のを見せましたけれども、二つあったでしょう。だから、最終的には基礎年金番号を基礎にしていいんですけれども、全部やっぱり数字を、国民の、あなたのこれは番号です、それカードにしてもいいし、そうすると、納税のときもそれができます、それから社会保険もそうです。健康保険、病院へ行くときもそうです。そういうのを私は早急にやっぱり入れない限り、問題解決にならないと思いますんで。
ところが、どうしてもそれを言うと、プライバシーどうするんだということあります。だけれども、これはきちんと管理すればできるんで、私も若いとき欧米におりましたけれども、みんなソーシャル・セキュリティー・ナンバーというのを持っていて、何のプライバシーの問題もありゃしない。むしろ、今回のようなことを起こることを考えれば、やっぱり行政府も我々立法府もしっかり考えて、そういうのを入れたいと思いますが、総理はいかがですか。
<安倍晋三内閣総理大臣>
ただいま委員が御指摘になったのは、言わば社会保障番号を導入したらどうかというお話だと思います。
制度や保険をこれはまたがるそうした情報を処理をしていく上において、やはりこれまたがっていますと、いろいろとダブってきたり、またそのチェックに時間が掛かるという問題がございます。それを統一をして、社会保障番号のようなものをつくっていけば、処理も容易になるわけでありますし、コストの面においても効率の面においてもはるかに前進をすると思いますし、また国民の皆様にとっても、じゃ自分の情報どうだろうということについて非常にこれは確かめやすい。国民の皆様にとっても利便性はあるんだろうと思います。
もちろん、今やはり委員が御指摘になりましたように、個人情報の保護をどうするか、このセキュリティーの問題がございますから、国民的なコンセンサスを得ていく必要はあるんだろうと、このように思いますが、しかし、今委員がおっしゃったような問題意識の上において早急に検討をしていかなければいけない課題であると、こう考えております。
<舛添要一>
もし政府が動かないんだったら、私は会派を超えて議員立法やりたいぐらいに実は思っておりますんで、よろしくお願いしようと……(発言する者あり)いやいや、是非皆さんでやりたいと思います。(後略)
*http://www.masuzoe.gr.jp/seisaku070614.html
ご母堂の介護体験をふまえ、国民の視点にたって仕事をする、
とのべていました。ここまでなら結構だと思いますが、
他方で私は、舛添要一氏が国民総背番号制の導入論者であることを思い出していました。
ことしの6月、「年金記録漏れ。全5000万件、1年で照合」
といった見出しが新聞紙上に躍っていたころのことですが、
偶然、参院厚生労働委員会の質疑をテレビ中継で見ていたところ、
舛添要一氏が、年金改革に際しての国民総背番号制の導入を提起したのでした。
聞いていて、アッと思ったところ、
安倍総理は、生き返ったように賛同する旨の答弁をしたのでした。
国民投票法成立にも貢献したという彼は、このたび年金制度の主務大臣となりました。
それはまた、年金改革に関連づけて
憲法改正の環境づくりを進めていく公然の場を与えられたのだともいえましょう。
今後、その言動には厳重注意が必要だと考えております。
【補遺1】舛添要一氏の改憲論~山内敏弘氏の論考より抜粋
舛添氏は、例えば憲法89条などのように日本国憲法には現状に合わない規定がいくつもあるし、また環境権や知的財産権などの新しい問題も出てきているので、これらの問題に対処するためにも、改憲が必要であると指摘した。
ついで、自民党の改憲の最大の眼目が憲法9条の改憲にあると述べ、その必要性を以下のように説いた。9条に関しては、現実と条文の乖離が大きくなっている。現在の自衛隊は明らかに軍隊であり、9条2項とは矛盾している。自衛隊はイラクやインド洋に展開しているが、これを明確に裏付ける憲法条項もない。このような乖離を法律での解釈で対処するやり方はもはや限界にきている。日本では戦前から例えば撤退を転進というように事実を言葉で隠蔽するやり方がみられたが、言葉の遊びで国民をだますやり方はよくない。自衛隊を軍隊として憲法ではっきりと認めて、その上で、自衛隊の活動に対して憲法や法律で歯止めをかければよい。外国の軍隊が長年駐留するのはまともではないが、ただロシアや中国、さらには北朝鮮までも核をもっている状態の下で、日本としてもアメリカと同盟関係を結んでアメリカの核に依存せざるを得ない。日本が攻撃されたら、アメリカが助けてくれる以上、日本もアメリカに対しては応分の協力をしなければならない。憲法のために国民があるのではない。国民の生活を良くし、世界の秩序維持のために憲法がどうあるべきかを考えることが必要だ。
*自民党新憲法起草委・舛添氏の改憲論とその問題点/2006年6月26日
山内敏弘さん(龍谷大学教授、法学館憲法研究所客員研究員)
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20060626.html
【補遺2】参院厚生労働委員会の質疑(’07.6.14)~議事録抜粋
<舛添要一>
(前略)これ最終的にはやっぱり、しかも、私の家内のを見せましたけれども、二つあったでしょう。だから、最終的には基礎年金番号を基礎にしていいんですけれども、全部やっぱり数字を、国民の、あなたのこれは番号です、それカードにしてもいいし、そうすると、納税のときもそれができます、それから社会保険もそうです。健康保険、病院へ行くときもそうです。そういうのを私は早急にやっぱり入れない限り、問題解決にならないと思いますんで。
ところが、どうしてもそれを言うと、プライバシーどうするんだということあります。だけれども、これはきちんと管理すればできるんで、私も若いとき欧米におりましたけれども、みんなソーシャル・セキュリティー・ナンバーというのを持っていて、何のプライバシーの問題もありゃしない。むしろ、今回のようなことを起こることを考えれば、やっぱり行政府も我々立法府もしっかり考えて、そういうのを入れたいと思いますが、総理はいかがですか。
<安倍晋三内閣総理大臣>
ただいま委員が御指摘になったのは、言わば社会保障番号を導入したらどうかというお話だと思います。
制度や保険をこれはまたがるそうした情報を処理をしていく上において、やはりこれまたがっていますと、いろいろとダブってきたり、またそのチェックに時間が掛かるという問題がございます。それを統一をして、社会保障番号のようなものをつくっていけば、処理も容易になるわけでありますし、コストの面においても効率の面においてもはるかに前進をすると思いますし、また国民の皆様にとっても、じゃ自分の情報どうだろうということについて非常にこれは確かめやすい。国民の皆様にとっても利便性はあるんだろうと思います。
もちろん、今やはり委員が御指摘になりましたように、個人情報の保護をどうするか、このセキュリティーの問題がございますから、国民的なコンセンサスを得ていく必要はあるんだろうと、このように思いますが、しかし、今委員がおっしゃったような問題意識の上において早急に検討をしていかなければいけない課題であると、こう考えております。
<舛添要一>
もし政府が動かないんだったら、私は会派を超えて議員立法やりたいぐらいに実は思っておりますんで、よろしくお願いしようと……(発言する者あり)いやいや、是非皆さんでやりたいと思います。(後略)
*http://www.masuzoe.gr.jp/seisaku070614.html
背番号制などというと刑務所の受刑者のように思えますが、コンヒ゜ユーターがあらゆる場面に入り込んでいる現在民生の事務処理に個人識別番号の導入は必要ではないでしょうか。
我々は様々な場面で固有番号を登録しています。そして利用もしています。
プライバシーや国家権力の利用など問題はあるでしょうが、十分議論してメリットがあれば導入すべきではないでしょうか?
反対の方のご意見を教えてください。