3 名ボランチの時代
先回の最後に中村直志のことを述べた。ところで今のJリーグ、強いチームは全て良いボランチがいる所。そんな気がする。
ボランチとは、ブラジル語(ポルトガル語)のハンドルという意味らしいが、普通には守備的MFと呼ばれる後ろ目のミッドフィールダーである。漢字で言えばいわば後中衛と言ったところ。立場上攻守を繋ぐ役目であって、守備の前線に立ちつつ、そこで敵ボールを奪えたら即座に攻撃に移る第1攻撃手でもある。
もちろんボランチ個人の才能によって攻守の比重も変わってくるが、今の日本ではその両方を備えた最高の選手がここにいないチームは、もう勝てないのではないかと思う。
守りに比重をかけつつも、第1攻撃手としては正確な中長距離パスも繰り出し、攻撃時には時にワンツーなどで敵ゴール前にも顔を出し、スルーパスも放ち、(中長距離)シュートも打つ。このように何でもできると良いのだが、できることをフルに繰り出すためには、なんせ走れなければお話にならない立場である。それも特に前後の長い距離を。さらに、危険を察知したら即、左右にも馳せ参じなければならないのである。グランパスの中村直志はその上この13節まで、タックル数でJリーグ・ナンバーワンときているのだから、一体どれだけの体力の持ち主なのだろうか。途方もないことである。
浦和ではトゥーリオがボランチに上がった。中村(名古屋)、今野(東京)、憲剛(川崎)、小笠原(鹿島)、遠藤(ガンバ)。上位チームの第1ボランチは皆、オシムのお眼鏡に適った人物ばかりの感がある。いやむしろ、オシムのめがねに適った選手が、オシムに教えられたことを生かしてこの下克上を勝ち抜き、チームを上位に上げてきたと言うべきではないだろうか。
ただ走るというのなら、今の日本チームは世界1であろうと識者は言う。だから、「考えて走る」。「敵に走らせ、自分らは走りをなるべく倹約する」。そのためには、「ボールを走らせる。『ボールは疲れない』」。これら全て、オシムの言葉である。この言葉のように組織的指揮を各チームにおいて取っているのが、今の上位チームのボランチなのではないか。
こうして、今の「Jリーグ下克上」を作ったのは、他ならぬオシムなのだと僕は思う。そしてちなみに、若きピクシーは昔、オシムの弟子として世界デビューを果たしたのであって、名古屋の監督になる直前の段階から、常に彼に相談し、助言を求めてきたことも既に判明している。
ストイコビッチが初めての監督業でひとまずこんな成功を収めたその背後には、オシムが存在するに違いないのだ。そして、このまま2人が見事にかみ合っていくならば、「日本、ワールドカップベスト4に。代表監督はピクシー! 」と、こんなシーンも今や単なる夢ではないだろう。少なくともオシムは今、そんな目論みも持っているのではないだろうか。
ピクシーとサッカー監督との関係ということで言えば、もう一つニュースがある。ピクシー自身がこう述べているのだ。
「アーセン・ベンゲルとは去年のクリスマスの時期に1週間ほど一緒に過ごす機会がありました。ロンドンで買い物をしたり、アーセナルのトレーニングを見学させてもらったりしたのですが、彼と話していて改めて感じたのは、お互いのサッカ-観が似ているということです」(サッカーダイジェスト4月29日号)
フランスで監督実績を積み、グランパスに来ては選手ストイコビッチとともにチームただ1度の優勝杯をもたらし、現在は、クラブ実績世界1のイギリスで大活躍している名監督である。
(続く)
先回の最後に中村直志のことを述べた。ところで今のJリーグ、強いチームは全て良いボランチがいる所。そんな気がする。
ボランチとは、ブラジル語(ポルトガル語)のハンドルという意味らしいが、普通には守備的MFと呼ばれる後ろ目のミッドフィールダーである。漢字で言えばいわば後中衛と言ったところ。立場上攻守を繋ぐ役目であって、守備の前線に立ちつつ、そこで敵ボールを奪えたら即座に攻撃に移る第1攻撃手でもある。
もちろんボランチ個人の才能によって攻守の比重も変わってくるが、今の日本ではその両方を備えた最高の選手がここにいないチームは、もう勝てないのではないかと思う。
守りに比重をかけつつも、第1攻撃手としては正確な中長距離パスも繰り出し、攻撃時には時にワンツーなどで敵ゴール前にも顔を出し、スルーパスも放ち、(中長距離)シュートも打つ。このように何でもできると良いのだが、できることをフルに繰り出すためには、なんせ走れなければお話にならない立場である。それも特に前後の長い距離を。さらに、危険を察知したら即、左右にも馳せ参じなければならないのである。グランパスの中村直志はその上この13節まで、タックル数でJリーグ・ナンバーワンときているのだから、一体どれだけの体力の持ち主なのだろうか。途方もないことである。
浦和ではトゥーリオがボランチに上がった。中村(名古屋)、今野(東京)、憲剛(川崎)、小笠原(鹿島)、遠藤(ガンバ)。上位チームの第1ボランチは皆、オシムのお眼鏡に適った人物ばかりの感がある。いやむしろ、オシムのめがねに適った選手が、オシムに教えられたことを生かしてこの下克上を勝ち抜き、チームを上位に上げてきたと言うべきではないだろうか。
ただ走るというのなら、今の日本チームは世界1であろうと識者は言う。だから、「考えて走る」。「敵に走らせ、自分らは走りをなるべく倹約する」。そのためには、「ボールを走らせる。『ボールは疲れない』」。これら全て、オシムの言葉である。この言葉のように組織的指揮を各チームにおいて取っているのが、今の上位チームのボランチなのではないか。
こうして、今の「Jリーグ下克上」を作ったのは、他ならぬオシムなのだと僕は思う。そしてちなみに、若きピクシーは昔、オシムの弟子として世界デビューを果たしたのであって、名古屋の監督になる直前の段階から、常に彼に相談し、助言を求めてきたことも既に判明している。
ストイコビッチが初めての監督業でひとまずこんな成功を収めたその背後には、オシムが存在するに違いないのだ。そして、このまま2人が見事にかみ合っていくならば、「日本、ワールドカップベスト4に。代表監督はピクシー! 」と、こんなシーンも今や単なる夢ではないだろう。少なくともオシムは今、そんな目論みも持っているのではないだろうか。
ピクシーとサッカー監督との関係ということで言えば、もう一つニュースがある。ピクシー自身がこう述べているのだ。
「アーセン・ベンゲルとは去年のクリスマスの時期に1週間ほど一緒に過ごす機会がありました。ロンドンで買い物をしたり、アーセナルのトレーニングを見学させてもらったりしたのですが、彼と話していて改めて感じたのは、お互いのサッカ-観が似ているということです」(サッカーダイジェスト4月29日号)
フランスで監督実績を積み、グランパスに来ては選手ストイコビッチとともにチームただ1度の優勝杯をもたらし、現在は、クラブ実績世界1のイギリスで大活躍している名監督である。
(続く)
ファンにとって今年は楽しい年になりそうです。
http://jsoccer.ypnh.net/nagoya.htmlこれはもうご存知だとは思いますが、グランパスも載るサツカー・リンク集です。そこそこ面白いので覗いて見てください。
定点観測的グランパス論今後も楽しみにしています。
でも、変わったブログに載せるんですねえ?
サッカー専門の面白いところから声がかかったものですね。
それも「なかなかの目利きですね」だとか「定点観測的グランパス論今後も楽しみにしています」だとか。専門サイトのお方の、それも最大級の褒め言葉に、思わず僕の口元がほころびましたよ。
有り難うございました。
そう「楽しみにしています」というそのお言葉に、ずっとこのブログで、一生懸命応えましょう。もっともっと、勉強するよという決意も表明させていただいて。今回のシリーズもあと3回は続けますのでよろしくお願いいたします。
「でも、変わったブログに載せるんですねえ? 」
これって、みんなにもさんざん言われたんですが、僕は文化のない政治論議が大嫌いでしてね。「文化がなかったら、生活良くしても、何が楽しい??」、「生活が良くなって労働4時間で済んだら、あとは寝とるのかね? そんな老人も多いようだけど? 」ってなもんですよ。そして、「そんな感じの人々の政治論なんか誰が聴くかい!」と怒っている訳です。
重ねて、今後もよろしく!
別に分けへだてしないのが文科系さんの
良いところ。
人間バラバラになって生きているわけじゃないから。
分けるのは単なる方便。
その方便に振り回されないのって案外ムツカシイ。