万葉からだ歌ー(一〇) 「指」折り数えて N・Rさんの作品です
秋の野に咲きたる花を指折りて
かき数ふれば七種の花
(巻八―一五三七)
──咲きたる花を足元から指折り数えたら、尾花、なでしこ、おみなえしと七種もあった。──
指の古形は”および”「よ」は数えるという意味の数むからきたもの。古代から正確に数をたしかめるために指を折り、ひとつ、ふたつとはっきり声に出してきた。
『源氏物語』の一文でも「このたびは負けたり」と指を折って碁の目を数えている。
指には、それぞれに自然と生活文化を繋ぎ、命を大切に守るための名前がつけられていた。特に薬指がそれで、薬学史の中でも「薬を服し、紅を口にさすは薬指を用いること」── になっていた。
この指は一番自己主張が弱いので、薬的やさしさが必要とされた。一本だけ出そうとしても、他の指のようには思い通りに動かない。ピアノを弾いたり、パソコンを使っている人なら、誰もがよく知っている。
もう一つ、弱いから愛をそえる意味で、婚約、指輪も、この指にさす。誓いごとも、指をからめての姿。薬の呼び名がついたのはいつごろからだろうか。
これはなんと、万葉びとの後期からで、愛する女の髪の乱れに男が指櫛をそえる。あるいは指をからめて愛をたしかめあっている詩歌は多い。これが薬を服し、紅をさす指となったのは平安時代。
指を鳴らして骨を折ったとか、骨折り損──は指が発したからだ言葉。
昔、むかしから、最も指のいやらしい姿は”後ろ指をさす”だった──というのも面白い。
秋の野に咲きたる花を指折りて
かき数ふれば七種の花
(巻八―一五三七)
──咲きたる花を足元から指折り数えたら、尾花、なでしこ、おみなえしと七種もあった。──
指の古形は”および”「よ」は数えるという意味の数むからきたもの。古代から正確に数をたしかめるために指を折り、ひとつ、ふたつとはっきり声に出してきた。
『源氏物語』の一文でも「このたびは負けたり」と指を折って碁の目を数えている。
指には、それぞれに自然と生活文化を繋ぎ、命を大切に守るための名前がつけられていた。特に薬指がそれで、薬学史の中でも「薬を服し、紅を口にさすは薬指を用いること」── になっていた。
この指は一番自己主張が弱いので、薬的やさしさが必要とされた。一本だけ出そうとしても、他の指のようには思い通りに動かない。ピアノを弾いたり、パソコンを使っている人なら、誰もがよく知っている。
もう一つ、弱いから愛をそえる意味で、婚約、指輪も、この指にさす。誓いごとも、指をからめての姿。薬の呼び名がついたのはいつごろからだろうか。
これはなんと、万葉びとの後期からで、愛する女の髪の乱れに男が指櫛をそえる。あるいは指をからめて愛をたしかめあっている詩歌は多い。これが薬を服し、紅をさす指となったのは平安時代。
指を鳴らして骨を折ったとか、骨折り損──は指が発したからだ言葉。
昔、むかしから、最も指のいやらしい姿は”後ろ指をさす”だった──というのも面白い。
いい感じで、暴走。