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随筆再掲  「気品ある」サッカー選手   文科系

2023年08月25日 13時46分23秒 | Weblog
 本日サッカー記事を書いたついでに、拙稿の古い物を再掲します。岡崎慎司は、日本サッカーマスコミでほとんど騒がれたことがない。これが日本サッカーマスコミの能のなさというか、一種の歪み。今サッカー批評で名高い中村憲剛やJリーグ創設の頃のFW武田修宏が、釜本邦茂らを差し置いて歴代日本最高FWにあげている選手。それも当然なのであって、チームがプレミア優勝を勝ちとったその時のレギュラー選手など、今後しばらく日本から出てこないはずなのだ。さっき書いたエントリーの三笘薫は、今その可能性がある唯一の選手だからこそ、騒がれるのである。


 随筆  「気品ある」サッカー選手  文科系  2021年06月18日

 イングランドのフットボール界で、十八年ぶりのある珍事が起こっている。二部降格が常で一部にはたまにしかいないレスター・シティーが十八年ぶりにプレミアリーグ開幕二連勝を収めて、強豪相手の第三戦目も引き分けに持ち込んで、暫定ではあるが首位に立っている。なんせ選手給料総額で二十チーム中十九位という貧乏チームのこと、地元レスター市では大変な大騒ぎだ。日本でいえば野球とサッカーとを合わせた規模をも遙かに超えるイングランドサッカー界のこととて、大騒ぎの程度も違うのである。

 さて、この大躍進の立役者・攻撃陣三人のうちの一人が今期新加入の日本人だとは日本の人々は案外知らないようだ。今期ドイツからここに移ってきた我が日本代表FW、岡崎慎司。いつかはイングランドでやりたいという幼い頃からの夢をとうとう今年叶えたのである。リーグ開始後の三戦を先発した彼のプレーは何と生き生きと見えたことだろう。

 点取り屋として前にいるだけではなく、守備時にはかなりの距離を後ろに下がって行くのは彼のいつものプレーだ。下がっていくゆっくり走行が相手ボール保持者の視野の外に出た辺りから得意の猛ダッシュが始まって、あっという間に相手とボールの間に身体か脚をねじ込んでいる。その時の一メートル七四センチが、すぱっと思い切りよくって、一歩も引かない強靱さを示すのである。一九〇センチの大男相手にも迷いなど一切ない。相手ボールが浮いたある場面では、こんなプレーさえ観られた。相手の長い脚が、高く浮いたボールを迎えに上がらんとする。その脚とボールとの間に岡崎が得意のダイビング・ヘッドで飛び込んだ。短い足で競り合ってもボールを奪えないという窮余の判断なのだが、次に何が起こるかは誰にも想像が付く。スタート地点が高い頭でジャンプしていけば相手の脚は最後の一瞬緩むことにもなり、紙一重の差で頭が競り勝つ。そんなことまでを岡崎は計算済みなのだ。頭が奪ったボールが左前方の味方へと飛んだときには、当然頭と脚の衝突である。相手反則でプレーが止まり、蹲る岡崎、すぐに飛んでくるドクター。頭に流血があるらしく、吹き付ける血止めで髪の毛が真っ白だ。ちょっと頭を抑えた岡崎、ドクターの制止素振りを振り切って、すたすたと歩き出す。こんな彼のプレーがイングランド人には堪らないのである。

 後先を考えないような全力疾走とぶつかり合い。天空に頭を突き出し合う跳躍合戦。こういった果断、勇気にどっとわくのが、真冬にも詰めかけるイングランド観衆だ。かくして、岡崎のプレーにはこんな寸評が付される。第三戦に『ロンドン・イブニング・スタンダード』(相手の本拠地ロンドンの新聞である)に実際に書かれた表現である。
『気品ある疲れ知らずのランナー。素晴らしい獲得であると証明できた』
 別の新聞にはこんな問答もあった。
「凄い勇気ですが、怖くないんですか?」
「いいえいいえ。これがやりたくてプレミアリーグに来たんですから」

 さて、こんな岡崎を見ていると今年に入ってからは特に、日本国内ゲームが何とぬるく見えることか。サッカーという競技を足技サーカスと勘違いしているようだ。そんな日本人の締めとして、往年の代表FW武田修宏の相応の岡崎評を上げておく。
『日本代表で最多得点記録を持つ釜本邦茂さんには申し訳ないけど、日本人(歴代)最高のストライカーだと思っている。……現代サッカーで必要な技術はすべて兼ね備えている選手じゃないかな。』
(以上、15年8月24日当ブログに掲載。以下は、21年6月18日掲載部分のつづき)

 上で「足技サーカス」と書きましたが、ここ数年日本のサッカーも随分変わりました。これではアジア・チャンピオンズ・リーグでさえ勝てなくなって10年近く。その反省から、今は日本のゲームもこうなっています。「サッカーはまず、格闘技である!」。「1対1で負けていては、まず、どうしようもない!」。これは、日本のキャプテン長谷部誠の言葉です。ちなみに、岡崎の特技は、1ゲームの「規定ダッシュ回数」。100mを15秒以上のスピードで1秒以上走るその回数ですが、日本の並みの選手は先ず30回も無い。岡崎はこれを時に60回以上やります。ドイツ・ドルトムント(今リバプールの監督をやっている、ユルゲン・クロップ監督)が起こしたゲーゲンプレス隆盛以来、格別に攻守に走り回ることを要求される現代サッカーになりました。ダッシュ回数が少ないと、攻守にわたる格闘にさえ参加させてもらえないのです。ダッシュ回数が少ないと、攻撃選手なら守備に走れず、守備選手なら攻撃に参加できないということ。この能力はせいぜい高校生までの鍛錬で決まってしまうものですが、ガンバの天才宇佐美は僕が思うにはこれが弱かった。逆に、今この能力によって脚光を浴び始めたのが、知る人ぞ知る、横浜の前田大然。ゴールに駆けつける回数が断然多い分で点が増えるのは、岡崎と一緒と観ています。』




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