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米からロシアへと、トルコがミサイルを買換した理由   文科系

2019年07月15日 10時05分19秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ユーラシア大陸の大国二つが、アメリカの兵器会社を忌避する行動に出た。こともあろうにロシアの最先端S-400対空システム購入を進めるという。日本が言い値でアメリカ兵器を買ってきたのとは全く違う姿勢だ。この同じ姿勢を見習おうという国が続々と出てき始めたが、昔からの親米大国のあからさまな反米行動の理由はどういうものであったか。ボルトンはいきり立っているだろう。「マスコミに載らない海外記事」から転載する。


『 グローバル軍事結社を弱体化させるS-400    2019年7月12日
ジーン・ペリエ New Eastern Outlook

 アンカラとニューデリーの両方に、ワシントンが前代未聞の政治圧力をかけたにもかかわらず、ロシアの最先端S-400対空システム購入を進めるというインドとトルコ両国の決定に、非常に多くのアナリストが注目している。本質的に、この決定は、アメリカ軍事支配に対する国際的な闘いの転換点だ。ある時点で、インド、トルコ両国がワシントン同盟国だったのに、両国は、そのための兵器販売の収益が全てアメリカ軍事産業の懐に入る、多数の国に軍事インフラを確立するあらゆる取り組みを進めている英米帝国から膨大な圧力を受けていたことは述べておくに値する。

 最近ベルギーのあるマスコミがこう報じた。「喧嘩腰で覇権主義的姿勢のワシントン・オリガルヒの、比類ない強欲のための軍装備品や兵器の売り込みとなると、アメリカの営業担当者(ポンペオのたぐい)の振る舞いは全く破廉恥で失礼なものだ。彼らは、常に「最新版」を購入する以外に選択肢がない立場に顧客を置く流通機構を確立しようとしている。全てが、いくら速く走ろうとも、決して逃れられないタコの触手や泥沼に似ている。
 これに加えて、アンカラに、ワシントンのパトリオット・ミサイルの代わりに、ロシアのS-400システムを購入するようにさせた理由をより良く理解するには、NATOが課しているワシントンの集団防衛と共通安全保障政策は一体何であり、一体誰がそれで恩恵を受けているかを思い起こさなくてはならない。

 たとえアンカラが、NATO経由でパトリオット・ミサイルを購入すると決めたとしても、引き渡し後はペンタゴンに委任されて交替勤務するNATO要員が配備されるだけで、トルコ軍はシステムの直接運用にかかわらないはずだ。過去のワシントンからの兵器購入で、トルコは既にこの種の経験をしており、どこかの時点で、この構造はトルコの国防目的で設計されておらず、国家安全を保障しないのをトルコ指導部は悟ったのだ。本質的に、アンカラは購入した武器のいずれも、国防総省が使って良いと言った時しか使うことができなかったのだ。

 2016年、先のトルコ・クーデター未遂の際、タイップ・エルドアンがワシントンの家臣としてのトルコの役割にうんざりして、自ら率いる国に有益な自立した政策を追求し始めるにつれ、欧米がエルドアンを何とかしようとする中、トルコ軍の一部が彼の命令に服従していないのを素早く知ったのだ。暴徒から逃れるためエルドアンがヘリコプターに乗った際、軍隊が最高指揮官に反抗し、国防総省の命令に従っていたので、トルコ全土に配備されたNATO防空システムで、トルコ空軍にヘリコプターが撃墜されかねないことを知らされたのだ。

 アラブのマスコミが明らかにしたように、軍事クーデターを始動する暗号化された命令をロシア諜報機関が傍聴し、何が起きようとしているかトルコ国家情報機構に警告したおかげで、エルドアンは、かろうじて死を逃れたのだ。さらに傍聴されたメッセージの中には、その時点でタイップ・エルドアンが宿泊していたマラマリスのホテルを目指して飛行する軍用ヘリコプターからの通信があった。アルジャジーラは、ヘリコプターがホテルに発砲する数分前、トルコ大統領はかろうじてホテルから逃れたと報じている。

 この点に関し、「全能の」NSAを含めアメリカ諜報機関は監視施設を世界中に配備していて、完全に暗殺未遂に気付いていたはずなのに、トルコに何の警告もせず、黙って見ていることを選んだことに大いに注目すべきだ。

 主としてこうした苦い記憶のおかげで、アンカラが支払ったアメリカ製兵器システムに要員を配置している部隊の裏切りによって、彼自身の安全と彼が率いる国家の安全保障の両方が、二度と危険にさらされないようにするとエルドアンは固く決心しているのだ。ロシアの対空システムが、アメリカが構築されたシステムに対する唯一の代案であることにはほとんど何の秘密もない。さらに好意を示そうとして、モスクワは、兵器システムの出荷と共に、S-400システム製造に必要な技術を部分的に移す意図を発表した。さらに、5月に、タイップ・エルドアンが明らかにしたように、S-500対空システムの共同製造でトルコが役割を演じる可能性を論じ始めた。これは、モスクワがアンカラを信頼しており、S-400の出荷が、単なる貿易取り引きを大きく越えるものであることを示している。

 他の国々も気がつかないわけがなく、彼らがそうするのを阻止するため、ワシントンがあらゆる術策を駆使したので、S-400を手に入れるため共にあらゆる苦難を体験したトルコとインドの例に、まず確実に従うにつれ、この進展で、今や彼らが国際武器市場でロシアに最有力の地位を奪われる危険があるため、アメリカ軍需産業内部に大規模なパニックを引き起こした。

 S-400のようなロシアの新世代レーダーと防空体制の購入が、アメリカの単極支配体制全体を破壊するのは確実だ。2015年、中国は最高高度36キロ、最長400キロの距離で、超音速迎撃が可能なS-400に賭けた。S-400を入手する機会を待っている国々のリストには、カタール、サウジアラビア、エジプト、アルジェリア、モロッコ、ベトナムや他の多くの国々がある。
 トルコのテレビ局T24が明らかにしたように、アメリカとトルコ間に、このような緊張をひき起こしたS-400システムは、中東政治の世界で形勢を一変させるものに思われる。S-400は、ワシントンへの属国服従を離脱する抵抗枢軸の象徴になったように思われる。

 ジーン・ペリエは独立研究者、アナリスト、有名な近東・中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。』
コメント (8)
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