失業率3.0%に改善7月 21年ぶり低水準(16.8.30 毎日新聞夕刊)
総務省が30日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は前月比0・1ポイント低下の3・0%で、2カ月連続で改善した。1995年5月以来、21年2カ月ぶりの低水準。厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同じ1・37倍だった。
人口減少や景気の緩やかな回復基調を背景に企業の人手不足感が強まり、求人の増加傾向が続いている。このため新たに職に就く人が増え、失業率の改善つながった。総務省は「特に女性の求職者が順調に職に就いている」と説明している。
男女別では、女性の失業率は0・3ポイント改善の2・7%で、93年9月以来、22年10カ月ぶりの低水準だった。男女計の完全失業者数は前年同月比19万人減の203万人。
7月の新規求人数を業種別に見ると、宿泊・飲食サービス業が前年同月比4・3%増え、教育・学習支援業が4・0%増加した。一方製造業は3・5%減った。
有効求人倍率は、求職者1人当り求人数。都道府県別の有効求人倍率は、最も高いのが東京の2・04倍で、最も低いのが埼玉と鹿児島の1・03倍だった。
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最近としては嬉しいニュースでしたので、調査を担当した総務省統計局のホームページを開いて詳しく見てみました。そうしたら次のことが分かりました。役員を除く雇用者の合計は5382万人になり、前年同月(2015年7月)比89万人(2.7%)増でした。
雇用者を雇用形態別に見てみますと、正規の職員・従業員が3357万人(62.4%)。非正規の職員・従業員が2025万人(37.6%)になっています。これを前年同期と比べますと、正規の職員・従業者が21万人増えたのに対し非正規の職員・従業者の増加は69万人でした。雇用が増えたといっても増えた就業者数のうち正規の雇用者は23.6%だったのに対して非正規の雇用者は77.5%で、相変わらず非正規の労働者の増加が主流で、なかなか正規の労働者増にはつながらないようです。
政府発表の資料から何を読み取るかが記者の役割
政府の発表会見では政府の政策が機能していると強調するような説明が行われます。このニュースも政府発表の中で“雇用の拡大と失業率の改善”が詠われています。しかし政府の発表説明の範囲内だけで考えるのではなく、そのニュース(データ)の持っているポイントを読み込んで提示することが記者の役割だと、元記者は思いました。
大西 五郎