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世界はもはや、平時ではない  文科系

2011年11月29日 13時06分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 拙稿「ユーロ問題はどこまで行くのか?」にこの間書いた4つのコメントをまとめてみました。省略や補足修正を加えながら。文中で、西アジアや北アフリカの情勢の見方を除いては、過去の分析はほぼ仮説とは言えない状況だと考えています。一部経済記者が語っているように、ぞっとするような情勢が見えてきます。


【 正に深謝  文科系 2011-11-26 19:04:43
 らくせきさん、正に深謝。今の世界・日本の政治論議は、朝鮮日報のこの論議(25日拙稿「ユーロ問題はどこまで行くのか?」への、26日らくせきコメント)が指摘するように世界の金融が分からないと国内政治についても誤りもしくは空想を語ることになるだろうと、ある時から僕は気づきました。それで分かったことを最近よく書いてきたわけです。結論的に大胆に評してみれば、こういうことかな?

 野放しの極限的な弱肉強食と、おそらく、際限ない救貧対策と餓死の世界の深化だ。それもすべて合法に、もの凄いスピードで、それも世界法が追いついていないから野放しに。そしてまた、今世界の最強者は戦争も必要なし。戦争不要の世界金融皇帝が誰にも知られず、密かに、自然に、かつ猛スピードで、できあがって行きつつある。まず、ヨーロッパがユーロのままであれば、ドイツも含めて国債や株がずたずたにやられる。そして次は、もっと膨らんだ金で、レバレッジを効かせた大ばくち。日本の郵貯と銀行がアメリカのファンドと生死を決することになるだろう。(23日拙稿「空売りの説明」参照)
 これらの結果として一番困るのが、これ。実体経済は金転がしの手段でしかなくなってきたとは以前から語られてきたことだが、この「仕手戦」に死に物狂いの人々の、実体経済大不況や失業者など今は気にしていられるかという、そのやり口。

 空売りと、レバレッジに規制が掛けられない以上は、必ずそうなると思います。韓国の大統領が悪いのではなく、この流れは誰にもどうにも止められそうにないと、僕はきわめて悲観的です。
 こういう状況を離れたなんかの政治論議なんて、どういうか夢の世界を語っているようにすら見えてきたものです。民主主義とか人権とかは原理的には、もうとっくに吹っ飛んでいますよ。

 チュニジア、エジプト、リビア、イエメン、シリアの政変も、こういう最近の動きの目に見えた犠牲者だという側面があると観てきました。多分、フランス、イタリアなどの悪あがき、それへの反発に端を発しているのではないでしょうか。チュニジアは今でもフランス語が公用語だし、アフリカ最大の石油埋蔵量かと言われ始めたリビアは現代史の初めは伊仏英と結びついてきましたし、何十年も続いた独裁恐怖政権が次々と今年倒れたなんて、そのようにしか説明がつきません。これらの国は多分、都市生活者が食えなくなっていたのだと思います。

ユーロ、中国、日本 (文科系) 2011-11-26 19:59:36
 フランスが中心になって、ユーロ共通債券(ユーロ国債?)を作って「解決」しようとしていますが、これはドイツが承知するはずがない。フランスもスペイン、イタリア破産がらみでもう死にかけているのでしょう。ドイツは、よほどの異例のような助け船がない限り、泥舟を捨てざるを得ないと思います。
 以上すべての急速な動きを、実体経済がだめになったアメリカはそのファンドを止める必要を感じていないから、国連も動きません。外って置けば自然にこうなっていくものだから、本当に始末が悪く、悲劇的です。リーマンショックからアメリカが学び直したやり口だと思います。

 ただし、アメリカが日本の国債に本格的に着手し始めたら、こんな防御手段があります。保有し続けてきたアメリカ国債を売っていけばよい。ドルが暴落して米ファンドに日本国債を買うお金もなくなるはずだ。すべて大赤字の国、公私ともに借金国家だから。
 ただ、そうなったら戦争状態も覚悟? そんな決断が日本政府に出来るかな? 

ファンドと国家、日本と中国  (文科系) 2011-11-27 10:24:01
 日本がやることは、この二つの使い分けだと思います。
「(日本の)ファンド、大銀行がしていることは止められません」
「日本も超大幅累積赤字で(ユーロに)大きな支援はできません」
 こうなると、中国と違って超累積赤字がある日本は得なんですよね。
 かと言ってアメリカなどと違って日本は、超大量の国債があってもそれを自国で買っているから、この点不安もはい。10年間、各年10兆円の予算削減か増税かでアメリカ議会ががたついているのは、日本と違って預貯金がないどころか、公私、家計どこも赤字だからから。

 中国は日本より不利ですよ。ヨーロッパ情勢などから、世界の現物経済破壊が影響して、それがバブル破裂の引き金にもなり得る。そしたら本気で「米国債売り」だ。今のきな臭い太平洋西域はそういうことだと、僕は観ています。

 もはや平時ではない  (文科系)  2011-11-27 10:41:38
 らくせきさん
 ユーロは観てきたとおり。
 アメリカは、23日に書いた『米国内で「ギリギリの対立」』。
 中国は、ヨーロッパ情勢や日本の全面株安に真っ青。
 チュニジア、エジプト、リビア、イエメン、シリアなどの政変。
 これらは全部連なっていると観ています。そして、今はもはや平時ではない、とも。昔ならとっくに戦争ですよ。
 金融帝国主義が来るところまで来て、世界の諸国家を飲み込む大詰とも言えるのだと思います。17日の拙稿で観た中日春秋のこの表現が正に一事が万事、慧眼です。
『民主主義の政治制度で選ばれた宰相が、相次いで、いわば「市場」にクビを切られたことには、割り切れぬものがある。(中略)「市場」が政治をしのぐ力を持つなら、それは民主主義より”金”主主義とでも呼ぶべきである』

 平時でないのに平時のような政治論議をやっていたら、無邪気すぎて、滑稽なことも起こると思います。大変なことだ。まだまだ途方もないことが起こりますよ。


 さて、この結末は誰にも分からない。オバマなり誰か個人とか、日米などのある一集団が企てたような動きではないのだし、ファンドとか世界大銀行の人々は、この「仕手戦」以外の他の一切を勘案する余裕などなく、競走馬のように視野の狭い目前しか観ることが出来ないままにただ走っていくだけだ。昨夕刊を見ていたらこんな「本質に切り込む」記事もあったが、さて、どこまでが本気か、単なる口先か。『伊に62兆円支援検討 主要紙報道 IMF、金利5%見通し』。欧州中央銀行にも協力を仰いで、イタリア新政権が再建策を実行するまで12~18ヶ月の支援をIMFが想定しているというものである。

 以上の見方の証拠はこれだけで十分。15日の中日新聞6面経済欄の記事から取りました。
『りそなホールディングスの細谷英二会長は「銀行経営からすれば、国債に代わる商品はなかなかない」と苦しい胸の内を明かした』
『各グループ(日本五大銀行のこと)が保有するギリシャやイタリアなど欧州債務国五カ国向けの国債や貸し出しなどの投資残高(九月末時点)は約二兆円』
 「国債に代わる商品はない?」。そして、「欧州債務国五カ国向けの国債や貸し出しなどの投資残高(九月末時点)は約2兆円?」。2兆円あれば40兆円の空売り大バクチが出来るんです。株とか預貯金の利ざやだけで食っていくなんて、もうどの大銀行も出来なくなってしまったということでしょう。それに、そんな旧来手法だけでは、他の世界的大手にすぐに飲み込まれてしまう。現物経済、消費が、世界に無数の失業者が生まれて傷ついた分それだけ、大銀行、ファンドの大きさに比べて小さすぎるようになってしまったということでしょう。現実経済のどこに投資して生産、サービスを行っても、消費が小さすぎて到底追いつかないということでしょう。マルクスやケインズがずーっと叫び続けてきた問題の原理、本質的窮状を示しているのだと思います。
コメント (4)
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