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九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

トランプという人間  文科系

2018年06月12日 14時52分24秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 トランプの理不尽が、世界を騒がせている。唯一関心を示している朝鮮対策でさえ、「ノーベル賞狙い」と、僕は観てきたほどだ。そういう彼流のポピュリズム選挙対策ということなのだが、とにかくこれだけは言える。彼の動向が見ていなければ、日本の政治経済の目の前の先行きさえ分からないと。
 アメリカでベストセラーになった最初のトランプ本「炎と怒り」をこの4月にここでないよう紹介した。4月8~16日の間に6回連載で。 その最終回分を、ここに改めて再掲したい。

【 トランプという人間(12)「炎と怒り」の総集編⑥  文科系  2018年04月18日 | 書評・番組・映画・演劇・美術展・講演など

 今回を、この本の内容紹介最終回とする。以下は、この書評第4回目「この本の輪郭」とも重複する部分もあるが、要するに粗筋、概要、結論ということだ。

①大統領としてのトランプは、こんな事をやった。
・地球温暖化対策の枠組みから抜けた。
・エルサレムを首都と認定し、シリアを爆撃し(この4月で2回目である)、サウジの皇太子交代(宮廷革命?)にも関わってきたようだ。
・メキシコとの国境に壁を築き、移民に対して厳しい施策を採るようになった。
・ロシア疑惑によって、コミーFBI長官を解任し、モラー特別検察官とも厳しい関係になっている。
・続々と閣僚、政権幹部が辞めていった。

②これらを推し進めたトランプは、こういう人物である。
・知識、思考力がないことについて、いろんな発言が漏れ出ている。「能なしだ」(ティラーソン国務長官)。「間抜けである」(財務長官と首席補佐官)。「はっきりいって馬鹿」(経済担当補佐官)。「うすのろ」(国家安全保障担当補佐官)。
・その代わりに目立ちたがりで、「他人から愛されたい」ということ第1の人柄である。マスコミの威力を信じ、これが大好き人間でもある。
・対人手法は、お世辞か恫喝。格上とか商売相手には前者で、言うことを聞かない者には後者で対する。大金持ちの父親の事業を継いだ後、そういう手法だけで世を渡って来られたということだろう。
・反エスタブリッシュメントという看板は嘘で、マスコミと高位の軍人、有名会社CEOが大好きである。よって、閣僚にもそういう人々がどんどん入ってきた。

③本人に思考らしい思考も、判断力もないわけだから、政権を支えていたのは次の3者である。スティーブ・バノン他ボストンティーパーティーなど超右翼のネット人間。共和党中央のごく一部。そして娘イヴァンカ夫妻(夫の名前と併せて、ジャーバンカと作者は呼んでいる)である。トランプへの影響力という意味でのこの3者の力関係は、30代と若いジャーバンカにどんどん傾いて行き、前2者の顔、バノンもプリーバス首席補佐官も1年も経たないうちに辞めていった。つまり、トランプ政権とは、「アットホーム」政権、家族第一政権と言える。なお、二人の息子もロシア疑惑に関わる場面があり、アメリカではこれも話題になっている。

④よって、期せずして棚から落ちてきて、何の準備もないままに発足した政権の今までは、言わば支離滅裂。選挙中から「アメリカファースト、外には手を広げない」という右翼ナショナリズムが戦略枠組みだったのだが、エルサレム首都宣言によってアラブの蜂の巣をつつくし、発足3か月でシリア爆撃も敢行した。ロシア疑惑でコミーFBI長官を解任して、大変な顰蹙も買っている。閣僚幹部はどんどん辞めていく。「馬鹿をさせないために側にいる」位置が嫌になるいう書き方である。

⑤こうして、この政権の今後は4年持つまいというもの。ロシア疑惑が大統領弾劾につながるか、「職務能力喪失大統領」として憲法修正25条によって排除されるか、やっとこさ4年任期満了かの3分の1ずつの可能性ありと、バノンは観ている。

 なお、何度も言うようにこの本の執筆視点は、バノンの視点と言える。全22章の内4つの題名に彼の名がある上に、プロローグとエピローグとがそれぞれ「エイルズとバノン」、「バノンとトランプ」となっているし、そもそも内容的に「バノンの視点」である。ちなみにこのバノンは今、次期の大統領選挙に共和党から出馬しようという意向とも書いてあった。


 以上長い連載を読んで頂いた方、有り難うございました。これで、このトランプシリーズは終わります。なお、外信ニュースによるとコミー元FBI長官がトランプに解任されたいきさつなどを書いた本を最近出したそうです。日本語訳を楽しみに待っている所です。 】
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書評 「シリア情勢」(2)  文科系

2018年05月15日 20時13分33秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 先回も見たように、米政権がこのままであれば、イラン問題含みでシリアとベネズエラ現政権との転覆に関わる何かが、必ず起こると観る。そしてそのことはまた、世界的な格差の2極分化がさらに進んでいく道であるとも思う。原油の世界独占価格化とは、米英大金融が世界中の普通の民からお金を奪い取る一大方法なのだ。ガソリン代が上がるだけではなく、輸送費絡みで全ての物価も上がるということも含めて。トランプが「北朝鮮との融和・イラン敵視」を西欧の反対を押し切ってまで強行したのは、そういうことだと観てきた。イラン核合意からアメリカが抜けた途端に原油価格が上がり、アメリカの株が高騰したことも、その証拠になる。過去も常に、イラン問題が起こる度にこうなってきた。
 ちなみに、トランプ政権の国務長官レックス・ティラーソンは、エクソンモービルの前会長である。3月1日まで合衆国国家経済会議委員長と経済担当大統領補佐官とを務めたゲーリー・コーンは、ゴールドマンサックスの社長であった。彼がこの職を退いたのは、鉄鋼、アルミなどの関税問題。この問題では、物と金融とそれぞれの米経済界が、トランプ政権の下で一部矛盾をはらんでいるということなのであろう。
 ちなみに今は、資源大国ロシアが、イラン転覆でアメリカと蔭の取引をしていなければ良いのだがと、願うばかりだ。
 シリアとイランを潰せば、サウジアラビアなどアラブの王制、貴族制国家が米英大金融とともに世界の民主主義発展の足をますます引っ張っていくことになるだろう。サウジの新しい皇太子がトランプ一家を大歓迎した去年の出来事が、鮮やかに思い出されるのである。


【 書評 「シリア情勢」(2)  文科系 2017年07月17日

 今回は「第2章『独裁政権』の素顔」、「第3章『人権』からの逸脱」、「第4章『反体制派』のスペクトラ」の要約をする。

 アサドの父ハーフィズはバース党の若手士官として政権を掌握し、長く共和制首長として君臨してきた。その次男がこれを世襲したから、シリア政体は世襲共和制と呼ばれる。アサドはイギリスで学んだ眼科医で、その妻も英国生まれの元JPモルガン銀行幹部行員である。父の時代のいわば強権安定政権に対して、37歳で世襲後は一定の政治自由化に努めた。政治犯を認めて恩赦をなし、メディア規制を緩和したなどである。
 政体を支える組織は強力で、このようなものがある。政権の蔭の金庫役「ビジネスマン」。数万人の武装部隊にも成り代わることが出来る「シャッビーア」と呼ばれる裏組織。及び、国防隊などの予備軍事組織である。つまり、血族を中心に大きな参加型独裁ともいうべき政体ということだ。

 これに対する「人権派」諸組織はシリアの友グループと呼ばれる外国勢力によって支えられていた。米英、サウジ、カタール、トルコである。彼らは、アサド政権の背後にいたイラン、ロシア、レバノン・ヒズブッラーをも、人権抑圧派として当然批判した。

 シリアの友グループのデモなどが過剰弾圧されたというのは事実である。樽爆弾やクラスター爆弾などが、解放区などにも使用されているからだ。ただし、両勢力のどちらがこれを使ったかは、判明していないものが多い。シリア人権ネットワークの発表は解放区のみの映像などであって明らかに偏向があるし、シリア人権監視団も「民間人」というのはまやかしの側面がある。
 また、アサド政権が難民を作ったというのも、おかしい。難民が急増した時期がイスラム国やヌスラ戦線などの台頭によってアルカーイダ化が進み、国民の命が脅かされる事態が進んだ時期と重なるからである。

 初め、英米はシリアに経済制裁をしようとしたが、国連ではすべてロ中の拒否権にあって有志国としてやっている。ただし、欧米は初め「政権崩壊」を楽観視していて、アルカーイダ化が進み、テロが激化して国際問題になるにつれて、アサド政権の「化学兵器使用」を強調し始め、オバマによる制裁戦争寸前の地点まで行った。が、政権側の化学兵器全廃、引き渡しがロシア・国連の努力で成功すると、戦争は遠のいた。シリア国民連合はこれに反対したが、他二つの反体制派政治団体はこれを歓迎した。
 なお、2014年のマスタードガス使用がイスラム国によってなされたことは、はっきりと分かっている。

 いわゆる「反体制派」「自由・民主派」がいかにも強大なように語るのは、実力で政権を挫いたイスラム国やヌスラ戦線の拡大、残酷な仕業を隠すやり方でもある。それこそ無数の「穏健派」武装勢力が、イスラム国やアルカーイダと、外国人も含めた戦闘員の相互流出入を絶えず繰り返していたことでもあるし。欧米などシリアの友グループは、シリアのアルカーイダなら、政権抵抗勢力として支持していたと言って良い。現に、イラクで14年6月にカリフを名乗ったバグダーティーと、シリア・イスラーム国のジャウラーニーとは、仲違いをしている。イラクとシリアのイスラム国は別組織になったとも言えるのである。米英サウジなどシリアの友グループは当初、シリアのイスラム国を「民主化闘争勢力」と扱っていたことさえとも言える。

 ホワイト・ヘルメットとよばれ、ノーベル賞候補にも上がった「中立、不偏、人道」の救助・救命・治療団体が存在した。2016年には8県にまたがる114のセンターを有し、2850人を擁する大きな組織だ。が、これが不偏というのは偽りであろう。「解放区」でしか活動していないから、イスラム国、アルカーイダ、その他諸団体のいずれからも認められてきた一方で、政府軍地区ではなにもやっていないのだから。この組織を作ったのは、英国人ジェームズ・ルムジュリアー、元NATOの諜報員であり、国連英国代表部にも在籍し、2000年代半ばからはUAEの危機管理会社に移っている。このルムジュリアーが、2013年にトルコのイスタンブールでシリア人の教練を始めたのがホワイト・ヘルメットの発足であった。この組織には、米英独日の資金が流れ込んでいる。アメリカは13年に2300万ドル、イギリスも12~15年で1500万ポンドをここに支出している。】
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書評「シリア情勢」  文科系

2018年05月14日 08時33分01秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
朝鮮半島がひとまず、と観えたら、「中東・積年のアメリカ・イラン問題」がにわかに世界最前線としてクローズアップされてきた。今や、トランプ政権最重要のブレーンの一人・娘婿ジャレド・クシュナー(有名なイヴァンカの夫)はユダヤ教徒。トランプ政権発足後すぐにエルサレム首都宣言とか、トランプとサウジ新皇太子との相互訪問とかが起こったのも、このクシュナーの助言もあってとか。そして、今の中東問題を理解するのに不可欠なのが、長年続いた米英のシリアへのこだわり。これらのことは、ここでも紹介したトランプ政権初の内幕物「炎と怒り」(この本の内容紹介は、今年4月8日から5回連載があります)の通りです。

 去年7月に掲載した4回連載の書評、内容紹介を再掲します。


『 書評 「シリア情勢」(1)  文科系 2017年07月16日

 青山弘之著「シリア情勢 終わらない人道危機」(17年3月22日第一刷発行)の要約第一回目である。東京外大アラビア語科と一橋大学院社会学研究科を出て、日本貿易振興会付属アジア経済研究所などを経られた、シリア研究30年という東京外語大教授という方だ。
 この本全6章と「はじめに」「おわりに」の8つのうち、今日は「はじめに」と1章を要約する。ここはこの本の概要が最もよく分かる箇所だ。世界を騒がせているが日本政府は冷淡な難民問題の最大震源地。かつ、イラクと並ぶ21世紀の悲惨極まりない世界史的大事件国。こういう地点には、現代世界史が集約されているということも可能と愚考した


 はじめに

 ダマスカスという世界最古都市の一つを有し、かつては中東随一の安定、強国を誇ったシリア。その面影は、2011年3月「アラブの春」(この作者が括弧付きで使う言葉は全て、「そう呼んでよいのか?」という疑問符付きと、ご理解頂きたい)の失敗以来すっかり消えてしまった。47万人が亡くなり、190万人が傷を負った。636万人の国内難民と、311万人の国外難民とを合わせると、全国民の46%が家を追われたことになる。
 この悲劇の根本的な原因の一つは確かに、このこと。シリア・アサド政権の初動の誤りである。過剰防衛弾圧と述べても良い。ただし、通常言われる所の「内戦」とか「自由と人権を求めた反政府派」などという通常解釈も頂けない。内乱の最大主役、イスラーム国とかヌスラ戦線とかはシリア内部の反乱などとは言えないからである。シリアへの米軍空爆は、2014年8月にイラクで起こった翌9月にシリアでも始まったものであるし、2015年9月にロシアが大々的に始めた空爆が、結局この「内乱」を終わらせる雲行きになっている。2015年はまた、シリア内乱がイスラム国による世界的テロ事件として広がった年でもある。

 シリア研究30年の筆者として、この「内戦」をば、可能な限り「冷静」、「冷淡」に記述してみたいと、述べていた。


 第1章 シリアをめぐる地政学

 シリアの「内戦」は、以下のような5段階を辿った。「民主化」「政治化」「軍事化」「国際問題化」「アル=カイーダ化」である。そのそれぞれを記述していこう。

 まず当初の「民主化」は、以下のようにハイジャックされた。
 シリアの「民主化」勢力は強い政権に対して小さかったが、2011年8月の「血のラマダーン」で1000人ほどの国民が虐殺されると、一挙に急進化した。「アラブの春」のどこでも軍の離反が起こり、シリアも例外ではなかったが、2~6万とも推計される「自由シリア軍」では、すぐに海外亡命が始まっている。以降、反政権政治勢力3派による「政治闘争化」していくのだが、これらのうちクルド民族関連を除いては通常の社会生活とはほとんど接点を持たず、海外在住でお金持ちの「ホテル革命家」など夢想家たちの団体ともいえる。
 シリア国民連合は、カタールはドーハでアメリカの金と支援により結成されたものだし、国民調整委員会はダマスカスで結成されたが、古くからのアラブ主義者、マルクス主義者などから成っていた。民主統一党だけが、5万人の人民防衛隊や女性防衛隊を持つなど社会との接点を持っているが、これはクルド民族主義政党なのである。

 この政治化混乱は2011年後半から内乱に発展していき、政府支配地がどんどん縮小されていく。諸外国の猛烈な「援助」があったからだ。①欧米とサウジ、カタール、トルコなど「シリアの友グループ」は、政権を一方的に否定し、「国民を保護する」と介入したし、②ロシア、イラン、中国は、「国家主権は尊重されねばならぬ」という立場だった。③インド、ブラジル、南アフリカ(今で言うBRICS諸国の一角である)は、アサドの過剰防衛を批判はしたが、国家主権尊重という立場であった。
 世界史的に見てシリアの地政学的位置が極めて大きいから、こういう事態になったという側面がある。まず、東アラブ地区というのは、反米・反イスラエルのアラブ最前線基地であった。冷戦終結後に米の強大化から、親イラン・ロシアの性格を強めた。レバノンのヒズボラ、パレスティナ諸派とも結びついていく。ロシアは、地中海唯一の海軍基地をシリア内に有しているし、2015年以降にはラタキア県フマイミール航空基地に空軍部隊を常駐させている。イランとは、1979年王制打倒革命以降フセイン・イラクを共通の敵とした味方同士である。
 つまり、各国がせめぎ合う地点における前線基地として、「それぞれの正義」が飛び交って来た国なのである。「自由と人権」「国家主権」そうして残ったのが「テロとの戦い」。

 この混乱の中でそもそも一体、誰が「悪」なのだろう。
 アル=カーイダとは総司令部という意味だが、イスラム原理主義に基づくこの組織はアフガンにおいてビンラディンが創始し、ザワーヒリーを現指導者としている。この性格は以下の通りである。
 ① 既存社会を全否定し、イスラム化を図る。
 ② ①の前衛部隊として武装化を進め、ジハードを行う。
 ③ 目標はイスラム法に基づくカリフ制度の復興である。
 なお、著者はこの勢力は他の反政府派とは全く違うとして、こう断定している。この点は極めて興味深い。
『懐古趣味や「神意」を引き合いに出して展開される利己主義がそれを下支えしている点で異彩を放っていた』

 シリアのアル=カイダはヌスラ戦線とイスラーム国が主だが、これ以外にもいわゆる過激派は多く、また、無数の反政権派軍事勢力からこの二つへの流入流出も多いのである。なお、「自由」「人権」よりも、「イスラーム」を提唱した方が義援金や武器取得で有利という特徴が存在し続けてきたのも大きな特徴だ。
 外国人戦闘員の数は、2015年末の推計で約100カ国から3万人。多い国はこんな所である。チュニジア6000人、サウジ2500人、ロシア2400人、トルコ2100人、ヨルダン2000人などだ。なお、これらの外国人戦闘員はサウジ、カタール、トルコなどに潜入支援をされて、トルコ、ヨルダン経由などでやってくる。


(あと数回続きます。途切れ途切れになるとは思いますが、頑張ります。なんせ21世紀世界史の最大悲劇の一つですから) 』
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僕が政治論以外も書くわけ   文科系

2018年05月02日 12時07分31秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 以下のエントリーは、半年に1度ほどここに載せ続けてきた、僕にとっては極めて大切なもの。日本の政治文化への批判のつもりだ。日本の政治論では「どういう人間がそれを論じているか」を気にしない傾向があった。それと並んで、「公の場では私を出さない」という公私の峻別のような習慣もあり続けてきた。そして、こんな風習が、語られる公を実や心のないものにしたり、立派な公を語る人が私はデタラメであったりをもたらしてこなかったか。人々の中で「ムラ社会」だけが唯一の公になるなどは日常茶飯事に起こってきたことだ。
 またこのことは、旧社会主義国崩壊の理論的問題の一つにもなっていたことを考えれば、「世界的な政治問題」でもあったはずだ。スターリンや毛沢東の「私生活」が「あんなにひどいもの」になったのはどうしてか。こんな反省に連なる問題でもあるのだろう。そして、この反省が世界的に不十分だったからこそ、その後に、公らしい公を否定して憚らぬ新自由主義が大手を振ってまかり通ってしまったのではないか。新自由主義社会においては、公は私利を目指す手段のように扱われている。

   
【 改めて「僕が政治論以外も書くわけ」  文科系  2012年01月15日 | 文化一般

 表記のことを、改めてまとめてみたい。随筆、サッカー評論などなど一見関係ないようなことを僕はなぜここに書いてきたか。ここが始まった6年前からしばらくはかなり気にしていたことだが、最近はあまりこれを書いたことがなかったと思いついて。

 僕がまだ若い頃から、こんなことが当時の大学で当たり前であった左翼の世界の常識のように広く語られていた。「外では『民主的な夫』、家での実質は関白亭主。そんなのがごろごろ」。そういう男たちの政治論に接する機会があると、正直どこか斜めに構えてこれを聞いていたものだ。どんな偉い左翼人士に対しても。レーニンの著作にたびたび出てくるこういった内容の言葉も、そんなわけでなぜか身に染みて受け取れたものだった。
「どんな有力な反動政治家の気の利いた名演説や、そういう反動政治方針よりも、恐るべきものは人々の生活習慣である」
 こういう僕の身についた感覚から僕の左翼隣人、いや人間一般を観る目も、いつしかこうなっていた。その人の言葉を聞いていてもそれをそのままには信じず、実は、言葉をも参考にしつつその人の実生活がどうかといつも観察していた。誤解されては困るが、これは人間不信というのではなくって、自分をも含んだ以下のような人間認識と言ってよい。人は一般に自分自身を知っているわけではなくって、自分の行為と言葉が知らずに自分にとって重大な矛盾をはらんでいることなどはいっぱいあるものだ、と。こういう人間観は実は、哲学をちょっとでもまじめに学んだことがある者の宿命でもあろう。哲学史では、自覚が最も難しくって大切なことだと語ってきたのだから。ソクラテスの「汝自身を知れ」、近代以降でもデカルトの「私は、思う(疑う)。そういう私も含めてすべてを疑う私こそ、まず第一に存在すると言える思考の出発点である」などは、みなこれと同じことを述べているものだ。

 さて、だとしたら政治論だけやっていても何か広く本質的なことを語っているなんてことはないだろう。そんなのはリアリティーに欠けて、ナンセンスな政治論ということもあるし、「非現実的話」「非現実的世界」もはなはだしいことさえもあるわけである。それでこうなる。生活も語ってほしい。その人の最も生活らしい生活と言える、好きなこと、文化活動なんかも知りたい。どういう人がその論を語っているかということもなければ、説得力不十分なのではないか、などなどと。もちろん、何を書いてもそれが文章である限りは嘘も書けるのだけれど、その人の実際や自覚のにおいのしない政治論だけの話よりはまだはるかにましだろうし、随筆なんかでもリアリティーのない文章は結構馬脚が顕れているものだと、などなど、そういうことである。
 やがて、こんな風にも考えるようになった。幸せな活動が自分自身に実質希薄な人が人を幸せにするなんて?とか、人の困難を除くことだけが幸せと語っているに等しい人の言葉なんて?とか。そういう人を見ると今の僕は、まずこう言いたくなる。人の困難を除くよりもまず、自分、人生にはこれだけ楽しいこともあると子孫に実際に示して見せてみろよ、と。

 なお、以上は政治論だけをやっているのだと、人生の一断面の話だけしているという自覚がある論じ方ならばそれはそれでよく、五月蠅いことは言わない。だが、当時の左翼政治論壇では、こんなことさえ語られたのである。「歴史進歩の方向に沿って進むのが、人間のあるべき道である」と。つまり、政治と哲学が結びついていたのだ。それどころか、戦前から政治が文学や哲学や政治学、そういう学者たちの上位に君臨していたと言える現象のなんと多かったことか。
 そんなわけで僕は、当時では当たり前であった大学自治会には近づいたことがなかった。そして、左翼になってからもこの「政治優位哲学」には常に距離を置いていたものだった。これはなぜか僕の宿痾のようなものになっていた。

 なお、こういう「公的な場所」に「私的な文章」を載せるなんて?という感覚も日本には非常に多いはずだ。こういう「公私の峻別」がまた、日本の公的なもののリアリティーをなくしてはいなかったか。公的発言に私的な事を入れると、まるで何か邪な意図があるに違いないとでも言うような。逆に日本ではもっともっとこんな事が必要なのだろう。政治をもっと私的な事に引きつけて、随筆風に語ること。正真正銘の公私混同はいけないが、私の実際に裏付けられないような公(の言葉)は日本という国においてはそのままでは、こういったものと同等扱いされることも多いはずだ。自分の子供をエリートにするためだけに高給をもらっているに等しい文科省官僚の公的発言。
「貴男が男女平等を語っているの?」と連れ合いに冷笑される亭主。

 ややこしい内容を、舌足らずに書いたなと、自分でも隔靴掻痒。最近のここをお読み頂いている皆様にはどうか、意のある所をお酌み取り頂きたい。なお僕の文章はブログも同人誌随筆も、ほぼすべて連れ合いや同居に等しい娘にもしょっちゅう読んでもらっている。例えば、ハーちゃん随筆などは、彼らとの対話、共同生活の場所にもなっている。】
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トランプという人間(12)「炎と怒り」の総集編⑥  文科系

2018年04月18日 09時28分50秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今回を、この本の内容紹介最終回とする。以下は、この書評第4回目「この本の輪郭」とも重複する部分もあるが、要するに粗筋、概要、結論ということだ。

①大統領としてのトランプは、こんな事をやった。
・地球温暖化対策の枠組みから抜けた。
・エルサレムを首都と認定し、シリアを爆撃し(この4月で2回目である)、サウジの皇太子交代(宮廷革命?)にも関わってきたようだ。
・メキシコとの国境に壁を築き、移民に対して厳しい施策を採るようになった。
・ロシア疑惑によって、コミーFBI長官を解任し、モラー特別検察官とも厳しい関係になっている。
・続々と閣僚、政権幹部が辞めていった。

②これらを推し進めたトランプは、こういう人物である。
・知識、思考力がないことについて、いろんな発言が漏れ出ている。「能なしだ」(ティラーソン国務長官)。「間抜けである」(財務長官と首席補佐官)。「はっきりいって馬鹿」(経済担当補佐官)。「うすのろ」(国家安全保障担当補佐官)。
・その代わりに目立ちたがりで、「他人から愛されたい」ということ第1の人柄である。マスコミの威力を信じ、これが大好き人間でもある。
・対人手法は、お世辞か恫喝。格上とか商売相手には前者で、反対者には後者で対する。大金持ちの父親の事業を継いだ後、そういう手法で世を渡ってきた。
・反エスタブリッシュメントという看板は嘘で、マスコミと高位の軍人、有名会社CEOが大好きである。よって、閣僚にはそういう人々がどんどん入ってきた。

③本人に思考らしい思考も、判断力もないわけだから、政権を支えていたのは次の3者である。バノン他ボストンティーパーティーなど超右翼の人々。共和党中央の一部。そして娘イヴァンカ夫妻(夫の名前と併せて、ジャーバンカと作者は呼んでいる)である。トランプへの影響力という意味でのこの3者の力関係は、30代と若いジャーバンカにどんどん傾いて行き、前2者の顔、バノンもプリーバス首席補佐官も1年も経たないうちに辞めていった。つまり、トランプ政権とは、「アットホーム」政権、家族第一政権と言える。なお、二人の息子もロシア疑惑に関わる場面があり、アメリカではこれも話題になっている。

④よって、期せずして棚から落ちてきて、何の準備もないままに発足した政権の今までは、言わば支離滅裂。選挙中から「アメリカファースト、外には手を広げない」という右翼ナショナリズムが戦略枠組みだったのだが、エルサレム首都宣言をしてアラブの蜂の巣をつつくし、発足3か月でシリア爆撃も敢行した。ロシア疑惑でコミーFBI長官を解任して、大変な顰蹙も買っている。閣僚幹部はどんどん辞めていく。「馬鹿をさせないために側にいる」位置が嫌になるいう書き方である。

⑤こうして、この政権の今後は4年持つまいというもの。ロシア疑惑が大統領弾劾につながるか、「職務能力喪失大統領」として憲法修正25条によって排除されるか、やっとこさ4年任期満了かの3分の1ずつの可能性ありと、バノンは観ている。

 なお、何度も言うようにこの本の執筆視点は、バノンの視点と言える。全22章の内4つの題名に彼の名がある上に、プロローグとエピローグとがそれぞれ「エイルズとバノン」、「バノンとトランプ」となっているし、そもそも内容的に「バノンの視点」である。ちなみにこのバノンは今、次期の大統領選挙に共和党から出馬しようという意向とも書いてあった。


 以上長い連載を読んで頂いた方、有り難うございました。これで、このトランプシリーズは終わります。なお、外信ニュースによるとコミー元FBI長官がトランプに解任されたいきさつなどを書いた本を最近出したそうです。日本語訳を楽しみに待っている所です。
 

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トランプという人間(11)「炎と怒り」の今⑤  文科系

2018年04月13日 09時49分52秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今回も閑話休題。この本のその後や結末に当たる重大な新聞記事二つが昨日載っていたから、その記事と本の内容とを照合してみたい。神が「炎と怒り」を示すような所業が、今尚続いているということである。

 一つは、「米下院議長が引退表明 ライアン氏 中間選挙 出馬せず」。
 これは以前の共和党副大統領候補にもなった人物で48歳とまだ若い。この本によると、こんな立場、人物ということになる。
『2016年春の時点でも、ライアンはなお共和党の候補者指名でトランプに対抗できる位置にあり、このころにはそうできる唯一の人物になっていた』
『だが、ライアン本人はもっとしたたかな計算をしていた。指名はトランプにとらせたうえで、本選で彼に歴史的な敗北を味わわせる。そうなれば当然、ティーパーティー=バノン=ブライトバード(バノンの新聞社)一派は一掃される。その後は誰の目にも明らかなリーダーとして自分が党を主導していく、というシナリオだ』
 こういう、初めはトランプを馬鹿にしていた人物が、当選後はトランプ政権に急接近。法案作りなどにも協力して来た。それが今、引退。トランプと違って非常なやり手だそうだから、家族支配などの政権内情を知って、もうやる気が失せてしまったのではないか。


 もう一つの記事の見出しは、こうだ。
『特別検察官の解任 「米大統領に権限」 報道官が見解』
 トランプのロシア疑惑に関わるニュースなのである。大統領選挙中からこれを調べていたコミーCIA長官を、トランプは首にしてしまった。この本に書いてあるその場面をご紹介すると、こうなる。
 この解任は、バノンを初めとして周囲のほとんどが反対したもの。それを押し切って一人で密かに決めて、解任通知書を自分のボディガードにFBI長官室に直接届けさせるという方法が採られた。通知書の最も肝心な部分には、こう書いてあったとのこと。
『これにて貴殿は解任、免職とする。本通知は即刻発効する』
 大統領首席補佐官らは、今後のことをすぐにこう考えたのだそうだ。
『「となると、次は特別検察官だ!」五時前にこれから何が起きるかを知らされたプリーバス(首席補佐官)は呆然とし、誰に聞かせるともなくそう言ったという』

 この歴史上なかったような暴挙以降の成り行きは、司法省が特別検察官を任命し、彼にロシア疑惑を捜査させることになる。事実として、後に司法省は、元FBI長官のロバート・モラーを任命したわけだ。

 さて、昨日の新聞記事は、こういうモラー検察官に対して「こうやれば首に出来るんだぞ!」とばかりに、トランプがわざわざ記者会見発表をさせたということなのだ。新聞記事中にはこんな一文があった。
『米CNNテレビは十日、トランプ氏がローゼンスタイン司法副長官の解任を検討していると報じた。トランプ氏はモラー氏を直接解任できないが、副長官を解任し、後任者にモラー氏解任を間接的に指示することは理論的には可能である』

 コミーと言い、モラーに対してと言い、法理念を無視して、その間を擦り抜けるような荒技ばかりが続いている。まさにトランプらしく、こんな所がネット右翼らに人気が高い理由なのだろう。
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トランプという人間(10)「炎と怒り」、その「輪郭」 ④  文科系

2018年04月12日 19時07分00秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この500ページ近い本の内容を3回に渡って大急ぎで紹介してきてまだその途中であるが、今日は閑話休題として、この本の最も大きい輪郭、狙いに触れてみたい。そもそも200件の聞き取りを経て書いたと言われて、その内容はいわば激しい政争話だ。ついては、この争いの何を取り上げ何を落としたかという著者の立場の客観的概括がなければ、公平な読み方とは言えなくなる。本自身の中身としても「・・・という話だ」「・・・と誰それは述べていた」というある意味無責任な印象批判とも言える表現もかなりあることだし。

 さて、この輪郭、狙いを僕なりに客観的に推察すればこんな事があると読んだ。
① バノンのサイドの目で書いており、トランプの娘夫婦を批判する内容になっている。この内容なら、バノンの復帰すら形としてはまだ残っているという程度の内容だと読んだ。

② ということはつまり、こういうことだ。米大統領トランプ政治の1年が結局、娘夫婦とその周辺の財界人らによってこう動かされてきたという内容になっている。なお、行方も定まらぬ泡沫候補上がりのトランプ政権内の娘夫婦にどんどん近づいてきた人物には、こんな人々が居る。マスコミ人でFOXテレビのビル・マードック。ゴールドマン・サックスの現役社長だったゲイリー・コーンはトランプの経済閣僚になった。また、超高齢政治家ヘンリー・キッシンジャーも所々出てくる。

③ ①②を併せると、こういうことになる。ここに書かれた「全体像」が真実か否か、どれぐらい真実かなどは分からないとも。つまり、当然のことだが、「裁判になっても言い逃れできる程度の内容」ばかりだとも言えるのである。

 ちなみに、去年8月にバノンが大統領府を退いた瞬間に、こんな声明も発表されている。
『バノンが首席戦略官および上級顧問を辞任すると、古巣のブライトバート・ニュースは直ちに同年8月18日付でバノンが会長に復帰すると発表した。このときバノンはブルームバーグ・テレビに対して次のように話した。「自分はホワイトハウスを去り、トランプのために、トランプの敵との戦争を始める。その敵はキャピトルヒル(連邦議会)やメディアやアメリカの経済界にいる。」翌19日、トランプ大統領はツイッターに「バノンに感謝したい。彼は不正直なヒラリー・クリントンに対抗して立候補した私の運動に参加してくれた。それは素晴らしいことだった。Thanks S」と投稿した。』
(ウィキペディアから、文科系引用) 
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トランプという人間(9)「炎と怒り」から③  文科系

2018年04月11日 11時25分25秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 前回の最後に書いたのが、「(政権首脳の)組織図とブレーン3人」。今回はこの続きとして、彼らの力関係の在り様、その流動と結果ということになる。以下の場面は、政権発足後わずか2か月あまりでバノンが凋落していくまでのことだ。トランプ大統領誕生の最大功労者にして、政権の主席戦略官が、わずか2か月で実質解任! そのちょっと前に、ホワイトハウ内幕についてこんな文書が流れていたが、大統領に次ぐ権限を持った人物が、責任を取らされたというかたちになるのだろう。
 この電子メールは、この本の著者も同意する内容と言える。

 政権内幕暴露メール

『四月には、当初は十数人に送信された電子メールがどんどん転送され、かなり広範囲に広まってしまった。その内容は、ゲーリー・コーンの見解を評しているとされ、ホワイトハウスのスタッフが感じた衝撃を簡潔に表現している。メールの文面にはこうある。
 想像も及ばないほどひどい。まるで道化師に囲まれた愚か者だ。トランプはたった一枚のメモも、短い政策文書も、何一つ読もうとしない。世界各国の首脳との会談でも、退屈だからといって途中で席を立つ。部下も同じようなものだ。クシュナーは赤ん坊が地位を与えられたようなもので、何一つ知らない。バノンは傲慢なひどい男で、それほどでもないのに頭がいいとうぬぼれている。トランプにいたっては、もはや人間というより不愉快な性格の寄せ集めだ。一年もすれば、家族以外、誰も残っていないだろう。この仕事は嫌いだが、トランプの行動を知っているのは私だけだから、辞めるわけにもいかない。欠員が非常に多いのは、馬鹿げた“適性試験”に合格した人しか採用しないからだ。日の目を見ることのない中堅レベルの政策策定業務のポストですら、そんなことをしている。絶えずショックと恐怖にさらされる毎日だ』(P300~301)

 ここに言うコーンとは、現役のゴールドマンサックス社長だった人物。ニューヨーク財界人をバックに抱え始めた娘婿クシュナーが、大統領経済補佐官としてを引き抜いてきたお人だ。クシュナー自身は、ユダヤ人で億万長者の御曹司で民主党支持者。メディア王として知られるルパート・マードックも彼のブレーンになっていた。
 こうして、大統領府内の実権が、バノンや、プリーバスが代表した共和党中枢部から、クシュナー・ニューヨーク財界主流へと移っていく流れができたのである。

 バノンの凋落
 
 トランプ政権発足直後の乱暴すぎるような新移民政策は、バノンの力が示された。が、次のオバマケア問題が、バノンの最初のつまずきだったと述べられた後、こんな展開になっていく。折りしも、4月4日午前中に、シリアでの化学兵器攻撃に関する情報が、ホワイトハウスに集まってきた。
『バラク・オバマは、シリアの化学兵器攻撃に直面しても行動を起こさなかったが、いまなら行動を起こせる。限定的な対応になるだろうから、マイナスの影響はあまりない。それに、事実上アサドを支援しているロシアに対抗しているように見え、国内での受けもいいはずだ。
 当時、ホワイトハウス内での影響力が最低レベルにまで下降し、辞任は時間の問題だと多くの人から思われていたバノンは、軍事的対応に反対した唯一の人間だった』(P306)

 こういう事実が最後のきっかけとなって、シリア政府軍の攻撃の翌日、バノンを国家安全保障会議から外すと発表されたのである。
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トランプという人間(8)「炎と怒り」から②  文科系

2018年04月10日 16時28分56秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 トランプ(大統領府)の内幕を暴露した「炎と怒り」、2回目の紹介である。先回は、「当選が分かった時のトランプの七変化」、「トランプの会議の進み方」、「トランプの性格」の三つを書いたが、今回は以下を紹介したい。「続、トランプの性格」、「就任演説」、「組織図とブレーン3人」。ここまでで、この本の4割ほどの紹介になるはずだ。

「続、トランプの性格」

『バノン(選挙戦中盤以降大統領府に至ってからも、トランプ最高位のブレーンだった人物。大統領府では、主席戦略官、上級顧問)はトランプを、ごく単純な機械にたとえた。スイッチオンのときはお世辞だらけ、オフの時は中傷だらけ。卑屈で歯の浮くようなお世辞があふれるように口から出てくる──何々は最高だった、驚くべきことだ、文句のつけようがない、歴史に残る、等々。一方の中傷は怒りと不満と恨みに満ち、拒絶や疎外を感じさせる。
 これは、トランプ式経営術のコツでもあった。見込みのありそうな顧客候補はとにかく褒めそやす。だが、相手が顧客になる可能性が消えたとたん、屈辱や訴訟を雨のように降らせる。押してもだめなら引いてみよ。バノンはこう思っていた──トランプを簡単にオンにもオフにもできる』(P68)

『ホワイトハウスで、トランプは自分の寝室に閉じこもっていた。・・・・トランプは入居初日に、すでに部屋に備えられた一台に加えて、さらに二台のテレビを注文した。ドアに鍵を付けさせ、緊急時に部屋に入れないと困ると言い張るシークレットサービスと小競り合いを起こしたりもした。・・・スティーブ・バノンと夕方六時半のディナーをともにしない日は、その時間にはもうベッドに寝転がって、チーズバーガー片手に三台のテレビを観ながら何人かの友人に電話をかける。電話は彼にとって、世界とつながる真の接点なのである』(P148)
 なお、上記のような三台のテレビと頻繁な電話がトランプの学習、情報収集手段なのだが、以上以外で彼が本を読むという習慣は皆無だと紹介される。一冊の本さえまともに読み通したことはない人物と書かれていただけでなく、本書の中には、こんな下りさえあった。
『ミスタートランプは、オバマのスピーチなど一度たりとも最後まで聴いたことがないとおっしゃっています』

「就任演説」

 就任式演説内容は、こんな風に描かれている。
これはほとんどバノンが文章化したものである。因みにこの本の著者は、トランプはまともに構成された文章など書けないと観ている。
『これらのメッセージは、トランプの好戦的な”カウンターパンチャー”としての側面には響いたが、もう一方の”愛されたがり”の側面には受け入れがたいものでもあった。トランプに内在するこの二つの衝動を、バノンはうまくコントロールできていると自負していた。前者を強調し、ここで敵をつくることはよそで仲間を増やすことにもつながると説得したのである』
 こういう演説への、ご本人とある有名人物一人との評価を観ておこう。
『このスピーチはあらゆる人の記憶に残るだろう』
『一方、貴賓席にいたジョージ・W・ブッシュは、トランプの就任演説に対して歴史に残るであろうコメントをした。「クソみたいなスピーチだったな」』 

「組織図とブレーン3人」

 従来の政治集団が何もないままに思いもよらず当選したこの大統領陣営には、組織とか、組織を作る人々というのがほとんど欠如している。父から譲られた会社が上手く行っただけのトランプも同じ事だ。そこにあったのは混乱のみだが、その混乱の中から選挙にも貢献した3人の人物が浮かび上がってくる。以下は、そういう様子に関わることだ。
『トランプ率いる組織ほど、軍隊式の組織から遠い存在はそうあるまい。そこには事実上、上下の指揮系統など存在しなかった。あるのは、一人のトップと彼の注意を引こうと奔走するその他全員、という図式のみだ。各人の任務が明確でなく、場当たり的な対処しか行われない。ボスが注目したものに、全員が目を向ける。・・・・大統領執務室はあっという間に、トランプの側近が日々入り乱れる喧噪の場に変わってしまった。大統領のそばに近づける人間がここまで多いのは、歴代政権を見わたしてもトランプ政権くらいだろう。執務室で大統領を交えて会議をしていると、ほぼいつも大勢の側近が周囲をうろつき、何かと割り込んでくる。事実、側近の誰もが、どんな会議にも必ず居合わせようとしていた。彼らははっきりした目的もないのに室内をこそこそと動き回るのがつねだった。バノンはいつも何かしら理由をつけては執務室の隅で書類をチェックしつつ、会議の決定権を握ろうとした。プリーバスはそんなバノンに監視の目を光らせ、クシュナーは他の側近の居場所をつねにチェックする。』
『トランプがジェームズ・マティスやH・R・マクマスター、ジョン・ケリーといった誉れ高い軍人(それぞれ、元海兵隊大将。元陸軍中将。元海兵隊大将。国防長官、安全保障補佐官などになった)にへつらうことの皮肉。そのほんの一端が、そこには表れている。彼らは、基本的な指揮原則をあらゆる面で害するような政権のもとで働く羽目になったのだから』

 なお、上で述べられた政権当初の頭脳、バノン、プリーバス、クシュナーについて、紹介しておこう
 バノンは、超右翼団体の、いわゆるボストンティーパーティーから台頭してきたジャーナリストで、大統領主席戦略官、上級顧問。プリーバスは、共和党全国委員長を経てトランプ当選に貢献し、大統領首席補佐官。この首席補佐官という地位は、内閣総理大臣にも当たるものだ。そして、トランプの娘婿、クシュナーは、大統領上級顧問である。
 なお、このうち、バノンは後に辞任して政権から離れるし、プリーバスに至っては解任されている。この辞任、解任続きというのはこの政権で有名な出来事だが、広報部長などはこの本が出た時点ですでに3回も交代させられている。それぞれ、辞任、辞任、解任ということだ。
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トランプという人間(7)「炎と怒り」から  文科系

2018年04月08日 12時42分53秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今年1月発刊なのに瞬く間に全米170万というベストセラー「炎と怒り」。それも、この日本語訳が出た2月下旬に既にこの数字! 読み進むうちに、それも当然と、どんどん感慨が深くなって行った。この本を読むと、何よりも、「今のアメリカ」が分かるのである。こういう人物が大統領選挙に勝ってしまったというアメリカの現状が常軌を逸しているというそのことが。そういう内容紹介を、ほぼ抜粋という形で始めていく。泡沫候補の時代からトランプ選挙陣営の取材を許可されていた著者は、何回か全米雑誌賞を取った著名なフリージャーナリスト。そんな彼が経過順に22の題名を付けて描いたこの本の紹介には、エピソード抜き出しというやり方が最も相応しいと考えた。

 さて初めは、既に有名になった大統領当選が分かった時のトランプの様子
『勝利が確定するまでの一時間あまり、スティーブ・バノンは少なからず愉快な気持ちで、トランプの様子が七変化するのを観察していた。混乱したトランプから呆然としたトランプへ、さらに恐怖にかられたトランプへ。そして最後にもう一度、変化が待ち受けていた。突如としてドナルド・トランプは、自分は合衆国大統領にふさわしい器でその任務を完璧に遂行しうる能力の持ち主だ、と信じるようになったのである』(P43)

 次が、「トランプの会議のやり方」。「初めて出席した時には本当に面食らった」とこの著者に話したのは、ラインス・プリーバス。政治や選挙の素人ばかりが集まったトランプ選挙陣営に選挙終盤期に初めて入ってきた玄人、共和党の全国委員長だ。彼の協力もあって当選後は、大統領首席補佐官になったが、間もなく解任された人物でもある。
『プリーパス自身はトランプに望みはないと思っていたが、それでも万一の保険にトランプを完全には見捨てないことにした。結局は、プリーパスがトランプを見捨てなかったという事実がクリントンとの得票差となって表れたのかもしれない。・・・・それでもなお、トランプ陣営に入っていくプリーバスには不安や当惑があった。実際、トランプとの最初の会合を終えたプリーバスは呆然としていた。異様としかいいようのないひとときだった。トランプはノンストップで何度も何度も同じ話を繰り返していたのだ。
 「いいか」トランプの側近がプリーバスに言った。「ミーティングは一時間だけだが、そのうち五四分間は彼の話を聞かされることになる。同じ話を何度も何度もね。だから、君は一つだけ言いたいことを用意しておけばいい。タイミングを見計らってその言葉を投げるんだ」』
(P67)

 さて、今回の最後は、トランプの性格。選挙中からトランプに張り付き、200以上の関係者取材を重ねて来た著者による、言わば「結論部分」に当たる箇所が初めの方にも出てくるのである。
『つまるところ、トランプにだまされまいと注意しながら付き合ってきた友人たちがよく言うように、トランプには良心のやましさという感覚がない。トランプは反逆者であり破壊者であり、無法の世界からルールというルールに軽蔑の眼差しを向けている。トランプの親しい友人でビル・クリントンのよき友でもあった人物によれば、二人は不気味なほど似ている。一つ違うのは、クリントンは表向きを取り繕っていたのに対して、トランプはそうではないことだ。
 トランプとクリントンのアウトローぶりは、二人とも女好きで、そしてもちろん二人ともセクハラの常習犯という烙印を押されている点にはっきりと見て取れる。ワールドクラスの女好き、セクハラ男たちのなかにあっても、この二人ほど躊躇も逡巡もなく大胆な行動に出る者はそうそういない。
 友人の女房を寝取ってこその人生だ、トランプはそううそぶく。・・・
 良心の欠如は、トランプやクリントンに始まったことではない。これまでの大統領たちにもいくらでも当てはまる。だがトランプは、誰が考えても大統領という仕事に必要と思われる能力、神経科学者なら「遂行機能」と呼ぶべき能力が全く欠けているにもかかわらず、この選挙を戦い抜き、究極の勝利を手にしてしまった。トランプをよく知る多くの者が頭を抱えていた。どうにか選挙には勝ったが、トランプの頭では新しい職場での任務に対応できるとはとても思えない。トランプには計画を立案する力もなければ、組織をまとめる力もない。集中力もなければ、頭を切り替えることもできない。当面の目標を達成するために自分の行動を制御するなどという芸当はとても無理だ。どんな基本的なことでも、トランプは原因と結果を結びつけることさえできなかった。』(P51~2) 

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アルハンブラ・トレモロのレッスン   文科系

2018年02月10日 14時53分30秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 「アルハンブ宮殿の想い出」の何度目かのレッスンを始めている。誰でも聞いた覚えがあるというクラシックギターの名曲、スペインのタレガの代表作である。この曲に因んで、ギター弾きにはこういう人がとても多いもの。これは一応弾けるとか、暗譜もできているとかであっても、この曲を人前でとなると弾けない人だ。僕もずーっとそういう人のまま、これを暗譜してからすでに10数年経つというのに。トレモロという弾弦法に自信のない人々のことである。定年後にギターを習った僕とは違って、「昔は弾けたけど年を取ったら難しくなった」という人も多い。

 さて、今回これを始めてから別のエントリーに書いたコメントをまず。

『 アルハンブラ (文科系)2018-01-18 12:01:36
 上の998(バッハのBWV998のプレリュードのこと)はなんとかなったようで、次の暗譜群曲はいよいよアルハンブラ。10数年も弾いているこの曲を今度こそ一応完成させようと、意気込んで20日ほど。
 全く駄目なのだ。しっかり音を出すとテンポが遅すぎる。速い方は、速すぎて、トレモロ音もかすれる。そして、その中間スピードでは弾けないのである。その原因も、今度の20日ほどで分かってきた。こういうことのようだ。
 遅く弾く時に分かるのだが、i指が遅れるのだ。速く弾く時にその分、i指の音が鳴らない。遅れる原因は、i指が、弾いた後に上に上がり過ぎるのである。第2関節が曲がりすぎる癖である。これがなかなか治らない。なんせ10年弾き続けてきた癖なのだから。
 原因は分かったが、どうも大変なことになったようだ。直せるのだろうかと、不安になってきた。』


『 ちょっと直せた (文科系)2018-02-05 20:04:02
 トレモロには二つの弾き方がある。一つは、普通のタッチで弾く。もう一つのタッチは、弦を下に押して離すとトレモロ音が大きくなるというもの。ただし、普通のタッチで弾いても、それと同じ音量が出る人はいる。僕の先生もこちらだ。この二つの間で、現在の僕は迷っている。少し遅いスピードなら「下押し離し」奏法は出来る。が、これだとちょっと力が入る分どうしても微妙な表現が難しくなるように思う。それで「普通奏法トレモロ」を目差している。そして、今回1か月ちょっと、なんとか出来るようになったかという所。上コメントで述べたi指の癖が直ってきたからだ。でもまだトレモロ音にムラがある。
 普通弾弦法のトレモロって、本当に難しい。ただし、最初からトレモロが出来ていた人というのはいっぱい居る事も僕はよく知っている。以上全ては主として、トレモロが最初は下手であった老人の場合ということである。老人が、初め上手く弾けない場合のトレモロを上手く弾くようにするのはとても難しい。これは、年を取ると細かい身体の動きの記憶力がなくなるからだし、悪癖がついてしまうと、直すための根気が続かないからと考えてきた。本当に、いったん身につけてしまった悪い癖を一つずつチェックして修正していかねばならぬのだが、これを観察、分析していく論理が難しいのだろう。』


 さて、9日のレッスンで、先生に言われた。「これは、もう、トレモロ行けますね!」。 僕もちょっと前からそう思えるようになっていたから、この評価が嬉しかったこと! 悪癖をどう分析して、どう直したか。上に『「普通奏法トレモロ」を目差している』と一方向だけでやってきたのだが、こちらだけに徹底したのが良かったようだ。こんな風に進んできた。

身につけてしまった上記二つの弾き方の間で、迷いがあった。どちらかに徹底しなかったから、このお互いが脚を引っ張り合って前進できないようになっていた。その現れは・・・・

②上に書いたi指悪癖の他、a指にも悪癖があった。iが遅れる分aが早く弦に触り一瞬止まっているので前の音を消してしまう

③改善法は、iを上げないように、かつ、aを一瞬で素速く動かすこと。これに成功するのはとても難しく、こんな要件が必要だったと今分かったような・・・。

とにかく脱力して、「爪先だけでのように」軽く優しく弾く。その日の弾き初めは音が小さ過ぎても良いからこの「脱力、軽く優しく」を徹底する。これとは別にi、aの独自改善は、こうやった。iの改善は、miだけとか、pを入れないamiだけで練習する。aの改善は、pとaとだけ、もしくは、pとamiを1回だけ弾くやり方を続けて練習した。

トレモロ3本指の弦移動がまた難しい。弾くべき弦の上で3本指先がなるべく同じ並び方をしていることが鉄則のようだから。そうでないと、弾く弦によって隣に触るとかの雑音が出るのが怖くて、大きなトレモロ音が出せない。このために、こんなやり方があるようだ。一つは、右肘をギターに付けず、肘から先を同じ形に固めたまま弦上を移動するやり方。もう一つは、普通に肘を付けて弾くやり方であるが、僕はこっちだが、これだとまた独特のいろんな工夫が要るようだ。観察してみると分かるが、右肘をギターに付けたままでは、第1弦のトレモロと3弦のそれとでは、各弦に対する3本指の並び方(角度など)が変わってくるはずなのだ。そこをどう飼い慣らすかが、難しい。これを飼い慣らせないと、どうしても音量が出せないことになる。音量がないトレモロ曲は曲想も出せないから、ただ弾いているだけで、人前ではちょっとということ。

 初めから自然に身体が覚えてしまう若い人、あるいは自然に正しい方法を身につけてしまった方が羨ましくて仕方ない。ただ、ちゃんと弾けてた人が急に自信が無くなることが、トレモロには起こるようだ。プロでもそう語る人がいるから、トレモロはやはり難しいということだろう。まー、出来るだけ多くを意識化し切った弾弦法を身につけるに越したことはないのだろう。
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書評「アベノミクスによろしく」(5)最終第8章の「総まとめ」を  文科系

2018年02月09日 07時37分10秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本の8章には、この本全体について著者による「総まとめ」がある。それを書き写して最後の要約とします。

「第8章 それでも、絶望してはいけない」にある「総まとめ」

①異次元の金融緩和を行っても、マネーストックの増加ペースは変わらなかった。物価上昇は消費税の増税と円安によるものだけ。マイナス金利も効果なし。

②増税と円安で物価は上昇したが、賃金はほとんど伸びなかったので消費が異常に冷え込み、経済は停滞した。

③経済停滞をごまかすため、2008SNA対応を隠れ蓑にした異常なGDP改定が行われた。

④雇用の数字改善は労働人口減、労働構造の変化、高齢化による医療・福祉分野の需要増の影響。これはアベノミクス以前から続いている傾向で、アベノミクスとは無関係。

⑤株高は日銀と年金(GPIF)でつり上げているだけ。実体経済は反映されていない。

⑥輸出は伸びたが製造業の実質賃金は伸びていない。また、輸出数量が伸びたわけではない。円安で一部の輸出企業が儲かっただけ。

⑦3年連続賃上げ2%は全労働者(役員を除く)のわずか5%にしか当てはまらない。

⑧アベノミクス第3の矢の目玉である残業代ゼロ法案は長時間労働をさらに助長し、労働者の生命と健康に大きな危険を生じさせる他、経済にも悪影響を与える。

⑨緩和をやめると国債、円、株価すべてが暴落する恐れがあるので出口がない。しかし、このまま続けるといつか円の信用がなくなり、結局円暴落・株価暴落を招く恐れがある。


 以上でこの本の要約を終わります。ここまで読んで下さった方、有り難うございました。それにしても、政府統計数字だけを使って示されたこんな無能な政治を「経済数値はほとんど上向き」とか「民主党政権時代よりどれだけ良くなったか」などと語ってきた、そんな宣伝の出所は一体どこだったのでしょう。
『嘘も百編言うと、真実になる』
 ヒトラーらの遣り口と全く変わりませんよね。


(おわり)
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書評「アベノミクスによろしく」(4)第6~7章各末尾より、著者の「まとめ」  文科系

2018年02月08日 04時14分06秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本の各章末尾に著者による「まとめ」があって、それを書き写して内容要約としています。

「第6章 『第3の矢』は労働者を過労死させる」のまとめ

①残業代ゼロ法案とは「高度プロフェッショナル制度の導入」と「企画業務型裁量労働制の拡大」の2つからなるもの。
②「高度プロフェッショナル制度」は、当初こそ年収1075万円以上の人を対象としている。しかし改正が繰り返され、最終的に経団連の目標である「年収400万円以上」が対象とされる可能性が高い。
③「企画業務型裁量労働制」は、何か企画して業務を管理する人や、法人相手の営業マンが対象となる。対象者は、実労働時間に関係なく、あらかじめ決められた時間働いたと「みなされる」。その結果、残業しても残業したことにならない。最大の問題点は、年収要件がないこと。例えば年収200万円の人も対象になってしまう。
④残業代ゼロ法案は、労働者の健康を害するだけではなく、経済にも悪影響を与えるもの。経済発展のためにはむしろ逆効果。

「第7章 アベノミクスの超特大副作用」のまとめ

①日銀が金融緩和をやめる、つまり国債の買い入れをやめると、国債が暴落する可能性がある。
②国債が暴落すると、円と株も暴落する可能性がある。
③国債が暴落すると長期金利が上昇し、国の借金返済が余計に困難になる。
④上記①~③の事態を避けるため、このまま金融緩和を続けたとしても、どこかで円の信用が失われ、円が暴落する可能性がある。


(続く。最終第8章に、作者によるこの本全体の「総まとめ」があり、それを紹介します)
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書評「アベノミクスによろしく」(3)第4~5章各末尾、著者の「まとめ」  文科系

2018年02月07日 10時26分07秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本の各章末尾に著者によるその章の「まとめ」があって、前回からそれを書き写して内容要約としています。今回は4,5章。8章にはまとめがありませんから、残りは、6、7章になります。

「第4章 GDPかさ上げ疑惑」のまとめ

①GDPが改定され、数字が大きくかさ上げされた。その要因は、「2008SNA対応によるもの」と「その他」。
(文科系注 「SNA対応」とは、GDP算出の国際基準変更のことで、1993年基準から2008年基準へと変わった。が、日本の場合は、これ以外の上記「その他」が極めて多かった)
②「その他」のかさ上げ額は、アベノミクス以降だけが桁違いに突出している。アベノミクス以前の「その他」かさ上げ額は平均するとむしろマイナスであり、特に1990年代が大きくマイナスになっている。
③改訂によって、アベノミクス失敗を象徴する5つの現象のうち4つが消失。そして、2016年度の名目GDPは史上最高額を記録。
④「2008SNA対応」を隠れ蓑にして、それと全然関係ない「その他」の部分でかさ上げ額を調整し、歴史の書き換えに等しい改定がされた疑いがある。

「第5章 アベノミクスの『成果』を鵜呑みにしてはいけない」のまとめ

①雇用改善は、生産年齢人口減少、医療・福祉分野の大幅な需要拡大、雇用構造の変化(非正規雇用の増大)によるもので、民主党政権時代から続いていた傾向。アベノミクスは無関係。
②株価の上昇は、日銀(異次元の金融緩和、ETF爆買い)とGPIF(年金資金投入)によるもので、実体経済を反映していない。公的資金投入をやめると暴落は必至。
③円安の恩恵を一番受けた製造業ですら、実質賃金は大きく下落。
④賃上げ2%を達成できたのは、全労働者のわずか5%程度。労働組合組織率が低いことも影響して、そもそも日本は賃金が上がりにくい構造になっている。


(続く)
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書評「アベノミクスによろしく」(2)第1~3章各末尾の著者「まとめ」  文科系

2018年02月06日 07時43分57秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本の全8章各末尾に著者による「まとめ」があることは、前回に述べた。それを書き写して内容要約としていく。さて、第1章まとめは特に長い。というのは、この本の重要基本用語説明があるからだ。さて、・・・

「第1章 アベノミクスとは何か」のまとめ

『①マネタリーベースとは日銀が供給する通貨のこと。より具体的に言うと、「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」の合計値。異次元の金融緩和はこのうち「日銀当座預金」のお金を増やしていく政策。日銀当座預金とは日銀が民間銀行のお金を預かる口座。日銀は民間銀行から国債を大量に買い取り、その代金を日銀当座預金に入れている。
②マネーストックとは世の中に出回っているお金の総量で、個人や企業、地方公共団体が保有している現金・預金を全部合計したもの。日銀当座預金を増やしても、それが貸し出しに回らなければ、このマネーストックは増えない。マネーストックが増えないと物価も上がらない。
③GDPとは「Gross Domestic Product」の略語で、日本語では「国内総生産」と訳される。要するに日本国内で儲かったお金を全部合計したもの。この儲かったお金は日本国内の誰かが支出したもの。その支出を合計したものを「GDE(Gross Domesutic Expenditure)」という。日本語では「国内総支出」と訳される。GDPとGDEの額は概念上一致する。なお、内閣府はGDEを「GDP(支出側)」と表記している。「GDPの6割は国内消費」などと表現されることが多い。この時の「GDP」は、内閣府の表記に従うと「GDP(支出側)」とするのが正確。本書ではこの「GDP(支出側)」を検証の対象としている。単に「GDP」と表記してあれば「GDP(支出側)」を意味すると理解してほしい。
 日銀の金融政策は、マネタリーベース(のうち、日銀当座預金)を異次元のペースで増やしていくもの。対名目GDP比でいうと、マネタリーベースの規模はすでにアメリカの4倍を超えている。マネタリーベースが異常な勢いで増大することで、人々が「物価が上がる」と予想する。それにより、次の現象が起きて景気が良くなると日銀は予想した。
④実質金利が下がり、民間銀行の貸し出しが増えて、マネーストックが増える。
⑤物価が上がる前にみんな物を買おうとするので、消費も伸びる。』

「第2章 マネーストックは増えたか」のまとめ

①異次元の金融緩和でもマネーストックが増えるペースは変わらなかった。
②暦年データで見ると、物価は3年間で4・8%上がったが、うち2%は増税、残る2・8%は円安によるもの。円安だけで年2%ずつ物価を上げていくことは不可能。

「第3章 国内実質消費は戦後最悪の下落率を記録」のまとめ

①2014年度の実質民間最終消費支出はリーマンショック時(2008年度)を越える下落率を記録した。
②戦後初の「2年度連続で実質民間最終消費支出が下がる」という現象が起きた。
③2015年度の実質民間最終消費支出は、アベノミクス開始前(2012年度)を下回った(消費がアベノミクス前より冷えた)。
④2015年度の実質GDPは2013年度を下回った(3年分の成長率が1年分の成長率を下回った)
⑤暦年実質GDPにおいて、同じ3年間で比較した場合、アベノミクスは民主党政権時代の約3分の1しか実質GDPを伸ばすことができなかった。

(続く)
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