海側生活

「今さら」ではなく「今から」

重ねた手

2016年08月17日 | 感じるまま

(NIGHT WAVE/逗子海岸)
リオ・オリンピックで日本のメダルダッシュが続いた。
競技種目の開催スケジュールが、日本のお家芸の柔道が開会式翌日から始まったためかもしれない。

柔道は選手が会場に上がる前に、コーチが選手の背中をドンと叩いて送り出す。水泳のリレーは選手同士が肩を組む。バレーボールでは選手が輪になる。こんな光景を何度も目にするたびに、ふと先日のテレビで流れたあるシーンを思い起こさせた。
それは4年後の東京オリンピックに関して、当選したばかりの東京都知事と関係機関等の四人が会談後に記者会見をした。
これから開催までの四年足らずの間に東京の街は、交通網を始めインターネット環境も劇的に変化するに違いない。しかし地球上のあらゆる地域から日本に来る人々に、どんなおもてなしで迎えるのか、今後競技場を始め多くの施設や建物が建設されるが、オリンピックが終わったらそれらの有効な利用計画はどうなっているのか。オリンピック開催に対し自分たちの使命感や夢、あるいは首都再生元年に位置付け、どんな計画が発表されるのかと期待してテレビに見入った。

そこで語られたのは開催に要する予算に関してのみで、まるで一時代前の会計係のような話だけだった。
そして四人は手を重ねあった。
重ねられた手を見て、つい思い出すのが子供の頃、トランプ遊びで似たような事をしたものだ。勝った者が叩き役で負け組が手を重ねる。一番負けた者が一番上で、二番目がその下と言った順に手を重ねる。一番下だからと言って安心は出来ない。叩き手がビシッと来る直前に上の手が逃げると、その下の手が叩かれる。全員が逃げると叩き手は空を切って痛い目に遭う。

四人の会見はいかにも意味深いシーンではあったが、使命感や夢は無いが、トランプ遊びの時のように、手を重ねつつ相手のイキを計っている。叩き手はわざとらしい手ぶりをしてみせ、受けての方もヤバイと思えばサッと手を引く。その用意は抜かりがない。