海側生活

「今さら」ではなく「今から」

季節は気まぐれ

2010年12月27日 | 季節は巡る

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冬の便りが方々から届く。
今年はいきなり猛暑が来て、春は無かったに等しかった。そして秋は短かったと言うより、いかにもそれらしい気候や雰囲気を味わえぬうちに、急に枯れ葉が風に舞い、今度はいきなり冬が来た感じだ。

師走の声を聞いてから、十一月までは多くの観光客で賑わっていた鎌倉の寺社境内も驚くほど人影がまばらになった。

約束したこの日はそぞろ寒く、おまけに雪が降り出しそうな空模様だし、鋭く肌を刺す追い風も吹いている。人もコートの襟を立て、身を包んで町を行く。
閑静な住宅地に入ると、どこからとも無く微かに甘い芳香がして足を停めた。金木犀かと思い、見回してもその姿は見られない。暫くして一段と低い所に、その芳香の源があるのに気が付いた。垣根の一部に柊(ひいらぎ)がまだその花をつけていた。
葉の縁には先が鋭い棘がある。葉の付け根に、枝を隠すような感じで小さな白い花を固まって咲かせている。
垣根越しに庭の向こうの屋敷を見ると、この位置が建物の北東に位置し表鬼門だと言う事が分かる。ここからは見えないが建物の向こう側の南西の裏鬼門には南天が植えてあるのだろう。古い習しを大事にしている人に会ってみたい、節分の夜には柊の枝に鰯の頭を刺して門戸に飾り、悪鬼を払うのだろうかなどと考えながら先を急いだ。

柊は老樹になると、葉の棘は次第に少なくなり、葉は丸くなると言う。
よく人は言う、人間も同じだと。
しかし、丸くなると言う事は自分らしさが無くなるという意味も持つ。 
全く丸くはなりたくない。自分らしい棘だけは残しておきたい。

今年も穏やかな年の瀬を迎える事が出来た。

※明るく楽しい新年をお迎え下さい.