OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ルー・レヴィーの和みのメロディセンス

2008-11-25 11:30:04 | Jazz

Lou Levy Plays Baby Grand Jazz (Jubilee)

日頃からガサツなサイケおやじにしても、連日連夜、ハードなアルバムばかり聴いてるわけではなく、特に最近のように仁義なき戦いをやっていると、やはり和み盤に手が伸びてしまいます。

そして、そうなると当然、ピアノトリオの歌物アルバムでしょうねっ♪

本日のご紹介は、ちょっと前に我が国で復刻された紙ジャケット仕様のCDですが、ご覧のとおり、まずジャケ写がその雰囲気にどっぷりです♪ ピアノに向かっている主役のルー・レヴィーの目線が、寄り添う美女の胸の谷間にいっているのは瞭然という正直さが、このアルバムの内容の良さを現していると、サイケおやじは思います。

録音は1958年、メンバーはルー・レヴィー(p)、マックス・ベネット(b)、ガス・ジョンソン(ds) という練達の名人トリオ♪ 付属解説書によれば、ちょうどこの時期はエラ・フィッツジェラルドの歌伴をやっていたとかで、コンビネーションも全く最高です――

01 (A-1) Little Girl
02 (A-2) I'll Never Smil Again
03 (A-3) Undecided
04 (A-4) Lover Man
05 (A-5) The Gypsy
06 (A-6) A Sundy Kind Of Love
07 (B-1) I've Found A New Baby
08 (B-2) Sleepy Serenade
09 (B-3) The End Of A Love Affair
10 (B-4) Under Paris Skies
11 (B-5) Comme Cl Comme Ca
12 (B-6) You Don't Know What Love Is

――、という演目については、稚拙な筆を弄するまでもなく、すべからく「手」は同じなんですが、ルー・レヴィーの奇麗なピアノタッチと全てが「歌」のアドリブが極めて自然体♪ 気負いのないスイング感はまさに絶品です。

快適なテンポで演じられる「Undecided」の気持ちの良さ、アップテンポながら小粋なフィーリングが滲む「Little Girl」や「I've Found A New Baby」、さらにグルーヴィな「The End Of A Love Affair」には、躍動的なジャズの魂がいっぱい♪

しかしこのアルバムの魅力は、やはり「I'll Never Smil Again」や「A Sundy Kind Of Love」、「Sleepy Serenade」といった隠れ人気曲の、大人の解釈の素晴らしさでしょう。とにかく原曲メロディの歌わせかた、フェイクの上手さ、トリオがひとつの意図を大切にして、じっくりと醸し出しいてく雰囲気の良さ♪ それはお馴染みの「Under Paris Skies」での清涼としてせつない表現にも頂点として演じられています。

そして当然ながら、有名スタンダード曲の「Lover Man」や「You Don't Know What Love Is」においても、全く王道を外さない潔さ♪ 特に後者は、数多ある同曲のジャズバージョンの中でも、特に私が好きでたまらない演奏で、完全にこちらが思うとおりのフレーズと展開が終世の好みになっています。

さらに皆様がご推察のように、全ての演奏にアドリブが演じられているわけではありません。おそらくは慎重に選らばれたであろうその演目のメロディを、素直に彩りながら聞かせてくれるセンスの良さ♪ それこそが、このアルバムの魅力だと思います。

ちなみにルー・レヴィーは決してムード派のピアニストではなく、歌伴の仕事の他にもウディ・ハーマン楽団やスタン・ゲッツのバンドではレギュラーも務めたバリバリの硬派です。そこで披露されるハードにドライヴするスタイルは、自己のリーダー盤よりは助演として多くのレコーディングで楽しめますから、要注意かもしれません。

しかし現実は、そんな活動では食っていけないのがジャズ界の恐ろしさで、ルー・レヴィーほどの実力者でもカクテルラウンジやスタジオの仕事、あるいは歌伴の巡業がメインだったそうですし、当然ながら、クラブ出演の時にはリハーサルでダンサーのレッスンにも付き合うのが仕事の内だったとか!? まあ、手抜きをしないで丁寧にやれば、それなりの余禄もあったそうですから、このジャケットの雰囲気の良さも納得ですよねっ♪

ただし、それにしても、この手のオリジナルアナログLPは、盤質やジャケットが良好なブツに巡り合うのは至難です。おそらくホームパーティとかで日常的に使い回されるのが、アメリカでは当たり前の聞かれ方だったのかもしれません。実際、純粋に鑑賞用となっている、例えばブルーノートあたりの新主流派のオリジナル盤の方が、質の高いブツの入手は容易!

ですから、例え何であろうとも、こういう再発は大歓迎♪ まあ、欲を言えばジャケットが素敵ですから、LPサイズのアナログ盤復刻が望ましかったわけですが、それを言ったらバチがあたるほど、これは和みの名品だと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする