伊勢堂岱遺跡に行ったのは、土偶に再会したくて。
最初の出会いから、気になっていたのが、このツルツルした土偶。
顔に、穴が一つ開いているだけ。誰だ、キミは。宇宙人か。それともヘルメットか。この表現しがたい異質感。
現代人がロボットを作るとしたら、丁度このくらいの
大きさだろう。サイズ的には、可愛い。彼女は人気投票ではランキング外だ。ここにあるのは、48体。全部、本物。凄いでしょ。それがわずか1m四方のガラスの中にある。
隣の土偶に注目した。
似ている。やっぱり女性だ。個人的には、ロケットおっぱいが素晴らしい。良く触られたらしく、模様が消えかかっているように見える。こっちの彼女はまだ、顔が分かる。でも一番凹んでいるのは口のようだ。では左のは、もっと使い込んで、口だけ残ったか。
それほど、愛用された証拠だね。土偶冥利に尽きる。ってもんだ。
さて、本命に戻ろうか。なんたって、コレでしょ。
常にランキングで、トップを争っている。美しい。これは芸術だ。赤い色が鮮やかに残っている。漆だろう。縄文後期前半、四千年前の色だ。
この可愛いサイズなのに、なぜ中空に作る必要があったのだろう。壊すためか。頭の上の髪の編み込み方といい、精緻を極める。もし髪の毛だったとして。
これはアンテナ、という解釈もある。いづれにしても、職人の仕事だ。アートとも言える。この作者が(集団かも知れないが)現代にいても、名工と言われただろう。と思う。
それほど謎めいた、魅力を放ってやまない工芸品だと思う。