またこの季節がやってきた。わくわくする。北朝鮮が怖くはない。彼らが飛び道具を持って、漁船でやって来る理由がない。
そのことは去年の一連の出来事で分かった。だから太平洋側では絶対経験出来ない事を、今年も楽しむ。
これは出戸浜。解体してしまった船の残骸。の前に誰かが座っていた。長い足を放り出して座っている。男に思えたが、近づくと女だった。
黙って撮るのもなんだから、ひとこと断わった。「写真を撮るんだけど・・」彼女は耳からイヤホンを外した。「写真を撮りたいんだけど、そのまま座っていてもいいよ。大きさ比較ができるから。」
一旦行動を起こそうと動きかけたが、その言葉で理解し、またイヤホンを掛けた。
写るのがイヤじゃないらしい。珍しいなと思った。そしてその内面に踏み込んでいって、なぜ一人なのか聞きたい衝動にかられた。
凄い美人だったら、もう一言聞いたかも知れない。オレも一人だったから。
あとで思った。難破船を見に来て、ナンパする。
これじゃあ、シャレにならんって言うか、シャレじゃねえかよ。
すんごく体力が有り余っていたら、根掘り葉掘り聞いていたかも知れない。いいからだ、していたからね。
向こうにも何か見えた気がして、一度離れ、また戻って来て何枚か撮り。
バイバイって両手を振ったら、頭を上げ振り返してくれた。
ps. オレって、わがままだねえ。先に場所とっていたのは彼女なのに。
後から行って、座っていていいよは、ないね。