フジテレビのスーツは見ている。始まる前の宣伝はもっぱら、東京ラブストーリー以来のコンビということで、盛り上げようとしていたが。
思えばフジはトレンディー・ドラマの先端を走っていた。
うちの義母は、あの時の織田裕二の優ーぁしい姿が忘れられないようで、外科医の司馬先生が大嫌いだった。
振り返ればヤツがいる。あれは燦然と輝くハードボイルド小説だった。エセ・ヒューマニストのライバル石川先生を容赦なく責める姿こそ、ハードボイルドの極致だった。
オレは今回、あれ以来のハードボイルドな織田裕二を見ている。なんかアメリカのドラマの焼き直しらしいが、そんなことは関係ない。鼻について仕方がない部分は付いて回るが、そこを見ているんじゃない。
織田裕二の演技だけを注目している。傲慢不遜な言い方と顔の表情。それだけを見ていても、アイツが一回り成長して帰ってきた、そう思う。
あのワンマンで過剰な自信。その中にヒューマニズムが隠れているんだよ。そして亡くなった先代の社長との約束を守って、上司の鈴木保奈美を困らす。あれが、いいんですよ。
オレはね。このドラマもハードボイルド小説と思って、見ているのさ。
エセ・ヒューマニストは、海岸に打ち上がったクジラをみんなして沖へ戻そうとする。
あんなもん、食っちゃえばいいのさ。