松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

世界に認知され始めた、縄文の1万年。

2015-12-27 15:08:39 | 日記・エッセイ・コラム

 食育、TPPを考える番組に小野寺前防衛相が出演していました。和食の7つの食材(根菜・菜っ葉・穀類・果物・山菜きのこ・豆類・海藻)は、すべて植物だとか興味深い話がありました。中でも一番驚いていたのは、白樺の樹液。これを長野で使って料理を出しているのは、フランス料理コンクールで3位に入った世界的シェフ。このシェフが師匠と仰ぐ地元のおじさんがいます。白樺の樹液の味を教えてくれたのは彼です。この人は例えばシカの食べる木の実や樹皮を試して、新しい味を発見します。自然の中に、美味い・まずいの2元論は通用しないそうです。

 ところで最近になって初めて、欧米の学者が縄文の1万年に注目し始めています。その長さは驚異的です。単に争いが無かった、というだけではありません。うまく自然を利用して、子孫に引き継ぐ食材の調達の仕方を受け継いできました。縄文人は農耕を知らなかったわけではありません。四季を利用して狩猟採集で、充分やっていける食文化を形成してきたのです。三内丸山では、栗の木を苗から栽培して、村中に植えていたことが分かっています。冬は干した魚などの乾物類や狩猟をし、ニワトコを発酵させた酒で、春の山菜が出るまで過ごします。海が近いから、魚や貝はたくさん獲れます。

 しかし待てよ。この生活、我々の楽しみと何ら変わらないではないですか。山里と海と森がある限り、ずっと変わらず行(おこな)ってきた祭祀行事と言ってもいい。つまり縄文の1万年は、今でも日本人は引き継いでいるのです。

 縄文土器や土偶は、あの頃の生活に余裕があった証です。今、遮光器土偶がオークションで1億9,000万円で落札されています。海外でようやくJŌMONが注目され始めました。「縄文人は1万年以上にわたって、崩壊することのない、持続可能な社会を築き上げました。これは偉業です。」とカリフォルニア大学ジャレド・ダイアモンド教授は言います。人類史上、誰も成し得なかった、戦争のない社会を、縄文人はいち早く達成していたのです。

 縄文土器で煮炊きする中身は、おらたちが言う「かやぎ」と何ら変わりません。魚のドンガラとホタテでダシをとって、身と野菜(山菜)を入れ煮込む。いつも日本人は外から自分たちの良さを発見してもらう。それまで自分たちの良さが分かりません。三内丸山から学ぶ事は実に多いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする