山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

修学旅行のひとコマ

2008年10月26日 02時09分48秒 | Weblog
 木曜、金曜は伊勢志摩方面への修学旅行だった。北野定時制廃校間際の最後の修学旅行だった。9名が参加した。11名のうち9名で、実に空前の参加率だった。それで空前の?と思われるかも知れないが、定時制ではかつてないことだ。さまざまな事情で1泊2日の日程だ。みんな喜んでくれてよかった。
 旅行中の体験で、私自身初めてのことをひとつ紹介しよう。それは、鳥羽・佐田浜港からイルカ島を経て真珠島への遊覧船でのことだ。出発するとともに、カモメが追いかけて来た。そのうち、乗組員の方が、えさをやったからか、カモメがふえて来た。私が生徒のポテトチップのかけらを手に持ってかざすと、風圧に抗して、カモメがえさを取ろうと近づく。一瞬にしてポテトチップをくちばしではさんでいった。生徒は自分もとポテトをもって手をかざした。イルカ島のあたりでは、上空にトンビが5羽ほどくるくる回っていた。
 ところがそのうち気がつくと、トンビが下のほうに降りていた。売店でカッパえびせんのような細長いお菓子を他の客が買って、空中に放り投げ始めた。するとトンビがそれを足でさっと取った。滑空しながら、頭を下げてつかんだ菓子を食べた。羽を広げたら1.2メートルはゆうにあろうかというトンビを目の前で見たのは初めてだ。昔、子どもの頃は、田舎にはトンビはたくさんいた。でも、人間の近くに来ることは絶対なかった。ところが、どうだ。2メートルから5、6メートルのところで野生のトンビが、羽を広げて一瞬止まるようなしぐさに入る。茶色を主に黒、やや白い色の羽が入り混じったトンビを間近で何十回と見ることができた。いまだかつてない経験だ。
 なんで、トンビは小さな菓子を足でつかむのか。カモメのようにくちばしでつかめば、目に近いから確実なのにと思った。でも、よく考えると、野球のキャッチボールでも、目からずいぶん離れたグローブでボールをキャッチする。だから、不思議なことではない。それよりも、カモメのくちばしが真っ直ぐなので前へ飛びながらくわえるのに適しているが、トンビのくちばしは、下へ曲がっているので、くちばしでくわえるのに適していない。トンビは田んぼにいるねずみなどを上空で見つけて、急降下して足でつかまえる。くちばしで突っ込んだら、地面に激突する。この解釈に自分で納得した。
 それにしても、トンビはいつの間にか、10羽以上15羽近くに増えていた。上空にはいなかったのに、どこからきたのだろう。えさは、完全にトンビに独占された。カモメもなんとか餌にありつこうとするが、排除される。とり損ねて水面に落ちたのも、別のトンビが降下し、まだ浮かんでいるえびせんをつかんで飛び上がる。飛び上がりながらそれを食べる。
 人間には近寄らないトンビだったが、楽にえさを取ることができる魅力というより魔力に負けて、人間の前にむらがるという姿を演じることになってしまった。鳥羽のトンビは、トンビの道からはずれていると、全国のトンビから指摘されているかもしれない。
 
コメント
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