山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

悲鳴をあげるタクシー労働者

2020年03月31日 23時32分00秒 | Weblog
 前にも書いたが、知り合いのタクシー労働者が悲鳴をあげた。今日、久しぶりに会った。「どうですか」ときいたら、「ガタガタや」と。1カ月前は、水揚げが1日1万円落ちているといったが、今日は1万5千円落ちているという。東京のタクシーの空車のことは報道されたが、空前の落ち込みだ。半分以下になっている。出歩くなという要請が相当効いて来たので、客をつかまえるチャンスはガタ減り。夜の街へも自粛要請だから、頼みの綱のドル箱が、空箱に。通常の不況の時は、まずタクシー需要が報道されるが、コロナではタクシーに関心が向かない。
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志村けんさんコロナで死亡、ご冥福をお祈りします

2020年03月30日 10時42分38秒 | Weblog
 志村けんさんが3月29日、70歳で亡くなった。ご冥福をお祈りします。コロナウイルス感染による肺炎が死因だろう。3月17日に倦怠感を覚え、19日に発熱、呼吸困難に陥ったようだ。翌20日病院に救急搬送され、肺炎と診断された。23日にPCR検査で陽性と判明。29日死亡だから、あっという間だ。治療の切り札といわれる人工心肺装置(エクモ)で治療していたといわれるから、重症ではあっても助かるものと思っていたのでびっくりした。志村さんは若い時から1日60本も吸うヘビースモーカーだったから肺が弱っていただろう。でも数年前から禁煙したらしい。
 つい数日前、あるテレビ番組で、35年前に結婚寸前まで付き合っていた女性が出演して付き合いのてん末を話していた。志村さんは、女性が今結婚もし幸せですというのを嬉しいとよろこんでいた。その姿に志村さんの人間性を見た。今年12月公開をめざした山田洋次監督の「キネマの神様」の主演も決まっていたのに残念だ。あれほどの人なのに、映画初主演だったそうだ。期待できたのに残念だ。
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安倍昭恵氏、コロナ自粛のさなか、花見。首相はあきれた逆切れ

2020年03月29日 11時38分27秒 | Weblog
 安倍首相の妻・昭恵氏が、都内で有名タレントといっよに桜の花見をし、その集合写真が「週刊ポスト」3月30日発売に先行する電子版で明らかになった。
 夫の安倍首相が国民に自粛を要請してるときにお花見写真に興じている。しかも、自らの森友疑惑で自殺に追い込まれた財務省職員の手記が公表された後なのに、平気だ。立憲民主党の杉尾氏が不謹慎ではないかと首相に問うたが、その答弁は驚くべきものだった。普通の神経の持ち主ならば、「配慮に欠けた行為だった、申し訳ない」くらいのことは言うだろう。
 ところが逆襲に出た。「自粛を求められている公園での花見ではない。レストランの敷地内の花見だ」「プライベートなレストランでの会合。レストランに行ってはいけないのか」ときた。
 杉尾氏は、「ファーストレディの行動として、そして森友疑惑の中にある人物として、こうした行動は適切なのか」とたしなめた。もっともだ。
 安倍首相は2月26日、イベント自粛を要請、27日には感染者ゼロの県も含め全国の学校一斉休校に始まって、自粛要請を強めてきた。根拠も示せない一斉休校はまったく馬鹿げていたが、濃厚接触をしないなどの要請はただしい。それを進めている首相の妻が軽薄な行動をしたことが問題となるのは当然だ。それを「レストランに行ってはいけないのか」と逆につめ寄るのは、安倍氏の人間性が問われる。昭恵氏がレストラン花見をしたときはまだ外出自粛の時期ではなかった。しかし国会で問われたときは、すでに不要不急の外出はするなという要請を知事が出していた。この時点で、多くの人がレストランも居酒屋も控えなければならないのかと思っているときに、逆切れして言い繕うのは一国の首相としてふさわしい。

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シャープがマスク生産開始、政府はなぜ備蓄を全部放出しなかったのか

2020年03月26日 11時18分29秒 | Weblog
 シャープが3月24日からマスクの生産を開始した。2月28日に政府補補助金を使ってマスク生産に踏み切ることを決めたのだという。突貫作業だ。当面1日15万枚だ。他社でも増産体制をつくっており、3月末には大量生産ができる。シャープはまず政府に納入し、生産が増えれば市場に供給する。
 ひとつ腑に落ちないことがあった。それは、3月11日に政府が640万枚備蓄しているマスクのうち、250万枚を医療施設と北海道に提供した。なぜ継続して放出しなかったのかということだ。政府業務のために必要分以外を出したそうだが、医療機関の業務以上に必要な業務が政府のどこにあるのか。しかも400万枚も。いまでも医療機関でマスクの不足が叫ばれている。シャープなどの努力で4月頃から行き渡りそうだが。
 一般市民の生活では、何日も使い回したり(衛生上よくないが)、水で押し洗いして使い続けてしのいでいる。
 医療機関はそんな使い方は絶対しないので今でも足りない。「1日1枚のマスクを医療・介護従事者に!」というネット署名までおこなわれている。
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和歌山レモンいいね!

2020年03月22日 11時07分58秒 | Weblog
 業務スーパーで和歌山レモン4個入りを手に入れた。葉でこすれたと見えて表面のきれいさには欠けるが安い。日本でレモンとえばカリフォルニア。しかしポストハーベストの農薬たっぷり。国産のレモンは値が高く普及しなかった。しかし、和歌山レモン、ちょっと傷ありだったが、安くて普及がすすめばいい。国産和歌山レモンがんばれ。
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「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」「本当に胸が痛みます」「麻生大臣の下で事実関係を徹底的に調査し、明らかにした」

2020年03月21日 11時38分24秒 | Weblog
 赤木俊夫さんが、公務員の自覚と改ざんに手を染めた責任とのはざまで死を選ばざるを得なかった。その無念さを安倍首相、麻生大臣らは理解しようとしない。麻生氏は、正直にも「赤木さんの遺書は読んでいない」といった。漫画しか読まない麻生氏には遺書はあまりに長文だ。
 安倍氏は衆院総務委員会で「本当に胸が痛みます」「麻生大臣の下で事実関係を徹底的に調査し、明らかにした」といったが、本当に胸が痛むのだったら、遅まきながらも辞職すべきだ。赤木さん、赤木夫人がこれほど恐れたのが、この安倍首相の権力だったのだ。赤木夫人までもが死を考えた。権力を絶対手離さないという圧力の下で日本の官僚機構はウソ改竄機構に変質した。
 財務省の調査は、改ざんさせられた赤木さんの聞き取りをしていないではないか。赤木さんが命をかけて書いた手記が表に出たのだから再調査すべきだ。佐川の指示だと言明している、会計検査院の検査に資料を隠したという検査妨害が書かれている。会検の検査妨害だけでも犯罪だ。第三者委員会による調査をせよ。ウソ報告書で終わりにさせてはいけない。
 検査妨害について付け加えれば、アメリカではトランプの弾劾裁判に相当する問題だ。トランプは前回大統領選で民主党バイデンの不祥事調査をするようウクライナ政府に圧力をかけて、自国選挙への干渉を迫った。これが第1の容疑「権力乱用」。第2の容疑が「議会妨害」。この容疑を調査する議会への協力を拒否したことが犯罪容疑とされたのだ。「応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は『文書として保存していない』と説明するよう事前に本省から指示がありました」と赤木氏が証言したことは、会計検査院の検査を財務省が妨害したことを証拠立てている。なのに再調査しないとは恥の上塗りならぬ犯罪の上塗りだ。アメリカのトランプは、下院司法委員会で弾劾訴追が可決された。弾劾裁判は上院で行われ、3分の2以上の賛成が必要のため、否決された。だが、議会の国政調査に協力しないことが弾劾の理由とされた。
 日本では会計検査院は憲法第90条に基づき、会計検査院法第1条で「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する」と定められている。その検査に対して、資料を隠す、文書はないと、検査院を手玉に取って検査妨害をした。これはもう動かぬ事実だ。アメリカなら弾劾だ。検査をやり直さなければならない。手玉に取られ検査妨害されてうなだれたままでは、検査院の独立が疑われる。
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「週刊文春」森友公文書改ざんで自殺に追い込まれた職員の遺書

2020年03月18日 16時23分09秒 | Weblog
 「週刊文春」の2020・3・26号をさっそく買った。「妻は佐川元理財局長と国を提訴へ  森友自殺・財務省職員、遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」という14ページに及ぶ記事を読んだ。書いたのは大阪日日新聞・相澤冬樹(元NHK記者)氏だ。
 亡くなった職員・赤木俊夫さんが死の直前、最後に書いた文章。
「森友問題。佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それにNOを誰もいわない、これが財務官両王国。最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ、手がふるえる、恐い。命 大切な命 終止符」
 赤木夫人は、怖くて遺書を公表することをこれまで拒んできたが、国・財務省への憤りから、前からつながりのあった相澤氏を通じて公表し、国と佐川氏を提訴するに至った。遺書は、佐川理財局長によ森友問題の証拠隠滅、文書改ざんを詳細に告発している。命をかけて書き残した証言だ。
 国会でふたたび真相究明し、犯罪者をあぶりださなければならない。
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検査、検査、検査。疑わしい人はすべて検査!

2020年03月17日 23時40分10秒 | Weblog
 WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が、「検査、検査、検査。疑わしい人はすべて検査」といった。その通りだ。
 神戸の開業医の患者にコロナ感染者が出た。その医院の映像が拡散され、攻撃するものまで現れた。そこの先生が、自分自身が感染していないことを示して診療するために、保健所に自身のPCR検査の相談をしたら断わられた。サージカルマスクをして濃厚接触でもないのだから検査の必要なないということで。
 国の指示を四角四面に守って断る。しかし毎日患者と接する医師が安心を広げるために検査を求めたのに断るとはどういう神経か。心がない。
 この神戸のケースを聴いた日に、テドロス事務局長の宣言が届いた。国会でも野党が、1日6200の検査容量があるのに1200しか検査していないじゃないか、韓国でもやっているドライブスルー検査をしないのかと加藤厚労相に問うても、ドライブスルーと言われても実際見ていないとかまともに答えようとしない。安倍首相は質問には絶対まともに答えずに話をそらせる。加藤大臣もこれに倣う。トランプは悪辣だが、率直で、質問には真正面からこたえる。その点で嫌みがない。安倍グループはその言葉だけで腹が立つ。

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緊急事態宣言許せない。コロナウイルス、和歌山の教訓

2020年03月14日 18時20分17秒 | Weblog
 コロナウイルス対策で綿密な対策が遅れる中で、上からの思い付き的一律学校閉鎖で見得を切った安倍首相。ついに改正特措法で緊急事態宣言を手に入れた。国会での事前承認が不要で、国民の権利制限をできる、NHKなどの放送内容に首相が指示をできるなどの危険なものだ。憲法に緊急事態条項を盛り込みたい安倍首相がそれに先立って、コロナを利用してその予行演習をしようとのもくろみが見え見えだ。
 一方で、コロナ対策では正しい対応をした和歌山県のとりくみが教訓的だ。有田病院で感染者が出るという事態を受けて、仁坂知事が国の指示を無視してPCR検査をすすめて効果をあげた。37・5度以上が4日間つづき、湖北省からの人と接触したという人にしかPCR検査を認めないのが国のしばりだった。和歌山はこれには従わないと宣言し、和歌山で足りない分は大阪の検査機関に持ち込んだ。東京では発熱により相談が持ち込まれたうち1%しかPCR検査に至らなかったが、和歌山では34%が検査できた。検査こそが出発点だ。どっちがアホで、どっちが正しいか一目瞭然だ。
 一律学校閉鎖でも、県で、市町村で、そして学校を開くか閉鎖するかの権限を持つ学校=学校長の良識と判断が大事だ。従わないことはできるし、自主判断こそ必要だ。首相官邸で現場の、子どもの健康がわかるはずがない。
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佐賀県の学校再開をよろこぶ

2020年03月13日 12時35分43秒 | Weblog
 佐賀県が11日、県立の中学校・高校・特別支援学校を16日に再開すると発表した。県内の市町村立の学校も再開する。うれしい。安倍首相が科学的根拠を一言も語れなかった独断の、一律学校閉鎖要請の圧力で全国がひれ伏した。その必要が全くなかった感染者ゼロの県も、安全とみられる市町村も一律の圧力の下で学校は閉じた。多くの親が困惑した。昼の給食が唯一のちゃんとした栄養源という家庭の子はかわいそうだ。
 佐賀県が熟慮の末、再開を決断したことを歓迎する。他の県でも十分調査の上で再開してほしい。
 今、やや広めの公園は、昼間、子どもたちであふれている。これまでの平日には見られなかった光景だ。小学生もいるし幼稚園児もいる。学校は閉鎖で、一部の学校では外に出ないようにという誤った指示までしている。家に閉じ込めるのは子どものためによくない。外は感染の危険は少ない。こんなに公園があふれているのだから、小学校の校庭を開放してほしい。先生が見守れば一番安全だ。学校をとにかく閉じるというのは間違いだ。
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維新・音喜多の差別発言許せない

2020年03月13日 10時22分34秒 | Weblog
 維新の音喜多駿参院議員がれいわ新撰組の舩後靖彦参院議員に対してとんでもない差別発言をふりまいた。人工呼吸器を装着している舩後氏が感染症にかかると命にかかわると医師に言われ国会を欠席した。これに対して、維新・音喜多は「その分の歳費は返納されないと、国民の納得を得るのは厳しい」とツイッターに投稿した。障がい者への悪質な差別発言であり、許せない。
 こういうことを言うなら、その前に、当時維新の丸山穂高衆院議員や菅原一秀前経産相、河井克之前法相、河井あんり参院議員など悪質な国会長期欠席者への批判活動をどれだけしてきたのかが問われる。当然国会議員を辞職すべき人物を放置して、やむを得ない理由で休んだ障がい者議員をやり玉にあげるという、この底意地の悪さはどうだ。維新特有の行動パターンだ。
 諸田洋之静岡県議がコロナ騒ぎに乗じてマスクを888万円の高値で売りぬいたことが話題になっている。マスコミは無所属という。たしかにそうだが、この人物、元は日本維新の会の公認衆院候補だった。ここまではっきりさせないとものごとを知ったことにならない。
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センバツ高校野球は実施すべきだ

2020年03月12日 09時46分51秒 | Weblog
 日本高校野球連盟と毎日新聞社は3月11日、選抜高校野球大会を中止すると発表した。4日には無観客試合で実施する方向で準備するとしていたのをくつがえした。中止理由にかかわって、「選手が安心してプレーできる環境を担保できない」「選手の健康と安全を第一に判断した」と毎日新聞社社長、高野連会長らは述べている。専門家から、選手の家族や宿泊先の従業員まで健康管理を徹底する必要があると進言されたことが影響したと「朝日」は伝えている。また政府がスポーツ・文化イベント自粛をさらに10日間続けることを要請したことも要因となった。
 だがわたしは、実施すべきだと思う。イベント中止要請はあくまで一般的な要請だ。センバツ大会は閉鎖空間で行うものではない。広い空に向かって開かれている。ここで感染するなら日本中生きていけない。さらに無観客試合だから何の問題もない。
 家族やホテル・旅館の従業員の健康管理の徹底があげられているが、特別なことではない。当たり前のことだ。選手の家族が健康管理するのは、選手の家でなくともどの子の家でも同じだ。普通の客の世話をするホテル旅館の従業員は健康管理が適当でいいのか。選手であれ普通客であれ扱いは同じはずだ。何の理由にもなっていない。
 もうひとつ、どこかのテレビで、練習試合や練習自体をあまりやっていない選手が甲子園でけがをする危険性を言っていた。年寄りでもあるまいに、体が硬直した野球選手がいるはずがない。ちゃんと体は鍛えている。
 無観客試合にしてでも実施して選手の気持ちに応えたいとしていた大会関係者には敬意を表していたが、一転、なんかの圧力に屈したかのような中止決定にがっかりした。実施してはいけないという合理的、科学的理由がまったくない。
 つけくわえて、学校での部活動まで自粛している風潮には異を唱えたい。わたしは全国一斉休校そのものに反対だ。県民に感染者が出ていない、まして生徒に感染者が出ていないのに、従順に政府の要請に従うのは、政府自身がお願いするだけだといっているのにもそぐわない。またたとえ、授業は中止したとしても、外で活動する部活動まで禁止するのは道理がない。日本の学校が全体として思考停止的な反射的な反応をしていることが悲しい。
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アカデミー賞作品「パラサイト」を評す

2020年03月10日 17時20分55秒 | Weblog
 韓国のポン・ジュノ監督の映画「パラサイト -半地下の家族」がアメリカのアカデミー賞を外国映画として初めて作品賞を受けた。わたしは受賞発表後すぐに観に行った。
 道路を歩く人の足を半地下の窓から眺めて生活する家族と豪邸で暮らすセレブとの対比の中で巻き起こる出来事をみごとなドラマチックな手法でサスペンスたっぷりの映画に仕立てている。韓国映画らしい面白みたっぷりの作りだ。わたしにはちょっと趣味が悪いと思うエグイ要素があふれている。
 アメリカでも日本でも、そして韓国でも深刻になっている格差社会をみごとなドラマにしている。先年の是枝祐和監督の「万引き家族」と並び評される所以だ。題名の通り、陽のささないビルの半地下で生活し、豪雨のときはたちまち家が水浸しになる悲惨な生活環境の家族を描く。だからそこから抜け出そうというエネルギーはものすごい。それが金持ちへの寄生=パラサイトとなるのだ。まず主人公の一家4人のうちの息子が、大学の書類を偽造して金持ちの娘の家庭教師になる。妹が絵画による行動療法士のような仕事で金持ちの息子の面倒を見る。父は運転手として、母は家政婦として、奸計をもちいて入り込む。ただ、息子・娘が家庭教師となるのはあまりにうまくいきすぎという印象だ。これで半地下一家がセレブのおこぼれにあずかるに至る。しかし、最後はとんでもない結末を迎える。
 半地下の格差社会を描いたということだったので、「タクシー運転手」「1987、ある闘いの真実」「弁護人」などの系列に属するのかと思って映画館に行ったが、まったく違っていた。格差を題材としながらも、ホラーチックな要素たっぷりのエンターテインメントだった。
 いくつかの評論のなかで、ハン・トンヒョンさん(日本映画大学准教授)に共感した。「パラサイト」の家族像があまりに古臭いというのだ。半地下の4人は社会的困難の中でとても仲良しで、家長然とした父親に妻も子ども従順だ。現実の家族は貧困の圧力が家長への不満と相まって、家族を破裂させる要素となるはずなのに、映画の半地下家族は実にハッピーに団結している。父親の下で結び合っている。
 わたしはこの映画を見ながら、「万引き家族」を思った。「万引き家族」は格差貧困の最下層で犯罪に手を染め、親子で万引きをして生活をする。血縁のない者たちが寄り添って生活する。新しい家族を形成する物語りだ。とくに虐待を受けて捨てられていた少女をかくまい、家族のぬくもりの中心に据えていくストーリーは21世紀的貧困から先を照らすようだ。「万引き家族」は最終的には刑に捕らえられ、家族が解体する。しかし子どもは自立の道をめざす。万引きからぬけ出す。「万引き家族」もありえない設定だが、心地よい後味を感じた。「万引き家族」を頭に置きながら見た「パラサイト」はおもしろかったが、不満を残したまま見終わった。
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「新聞記者」日本アカデミー賞おめでとう

2020年03月09日 10時15分31秒 | Weblog
 3月6日、2020年日本アカデミー賞授賞式があった。日本アカデミー賞作品賞を藤井道人監督の「新聞記者」、主演女優賞をシム・ウンギョンさん、主演男優賞を松坂桃李さんが受賞した。
 わたしは、昨年6月公開後すぐに見た。東京新聞の望月衣塑子さんの活動をモチーフないしモデルとした作品だ。安倍首相官邸の腐蝕ぶりを念頭に置いて創られた。映画では、加計学園とおぼしき医科大学新設を首相官邸が推進する、それをシム・ウンギョン演じる吉岡記者が追及取材する、それに絡むのが公安官僚の松坂桃李だ。現実政治でも、内閣情報調査室が、「読売新聞」とタッグを組んで、世紀の大謀略=前川喜平・前文部事務次官買春スキャンダルをでっちあげた。ちょうどのその前後、安倍首相と読売・渡辺恒雄の会食がくりかえされた。ねんごろに酒食を共にしながら、謀略の仕上げをしたのだろう。まさにそんな時期につくられた作品で、松坂桃李がよくぞ反逆を試みる内調官僚役を引き受けたなと、その心意気にわたしは拍手を送ったものだ。わたしは、シム・ウンギョンを知ったのは初めてだが、その演技、存在感に圧倒された。一度に好きになった。
 アカデミー賞受賞おめでとう。再上映してほしい。
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大阪・市岡中学校の生徒の署名、素晴らしい

2020年03月07日 21時43分18秒 | Weblog
 全国一斉学校閉鎖に多くの人が困惑し、不満をいだきながらも協力している。その中で、大阪市立市岡中学校の生徒が素晴らしい動きをした。「朝日新聞」3月7日夕刊が報じた。
 3年生の薮下慶人さん(14)が中心となって93人分の生徒の署名を市の教育委員会に届けた。「学校を臨時休業にしたことについて、当事者の納得のいく説明と処置を求める」という趣旨の署名だ。卒業式まで一日一日を大事に過ごしていきたいと思っていたのに、卒業式も1時間以内に短縮され、歌の練習もなしになった。学校の主人公である「自分たちは蚊帳の外で、大人たちの納得だけで進められている」として「全国にいろんな思いを持っている生徒がいるはず。みんなが納得いくよう、大人は説明してほしい」と訴えている。新聞の写真には、個々の生徒たちの署名した理由も記されている。
 隠ぺい、改ざん、答弁そらし、説明拒否などいやなことばかりがつづく中で、さわやかな風が吹いた思いだ。中学生の率直な行動に感嘆する。
 
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