山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

皇太子55歳誕生日記者会見に注目!

2015年02月25日 04時44分41秒 | Weblog
 2月23日の皇太子55歳誕生日に際しての記者会見発言に注目した。

「先の大戦において日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ、多くの方々が苦しい、また大変悲しい思いをされたことを大変痛ましく思います。広島や長崎えの原爆投下、東京を始め各都市での爆撃、沖縄における地上戦などで多くの方々が亡くなりました。亡くなられた方々のことを決して忘れず、多くの犠牲の上に今日の日本が築かれてきたことを心に刻み、戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう過去の歴史に対する認識を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います。そしてより良い日本をつくる努力を続け、それを次の世代に引き継いでいくことが重要であると感じています。」
「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であるとかんがえています。両陛下からは、愛子も先の大戦について直接お話を聞かせていただいておりますし、私も両陛下から伺ったことや自分自身が知っていることについて愛子に話をしております。
 我が国は、戦争の惨禍を経て、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受しています。戦後70年を迎える本年が、日本の発展の礎を築いた人々の労苦に深く思いを致し、平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにする機会になればと思っています」

 「過去の歴史に対する認識を深め」ることで「平和を愛する心を育んでいくことが大切」だと述べています。また「日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」で、戦後70年の今年を「平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにする機会に」と訴えている。この前提として、「我が国は、戦争の惨禍を経て、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受」したと基本的認識を示している。
 今の日本の政府が、憲法を否定し、これをくつがえそうという極右勢力によって占拠されていることとの対比で、皇太子発言を読み、思いをめぐらせたいと思う。
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中原教育長の人権侵害に断固とした処罰を

2015年02月22日 21時10分09秒 | Weblog
 中原徹大阪府教育長のパワハラ=人権侵害は想像を超える悪質なものだ。教育のトップの地位にいる資格はない。最低の人間を起用した知事の情実人事の責任は大きい。府議会は罷免にまで追い込むべきだ。

 ・職員Aに対して。
 統一テスト導入の議論で職員約40人の前で「職員としての不適切な態度から詰めて、知事のところに行きましょう。人を刺しに来るときは、刺され返されることを考えてやらないと。研修センターで研修してもらったらいい」
 立川教育委員に対して、「だれ(=知事)のおかげで教育委員でいられるのか。罷免要求を出します」とおなじ。「知事のところに行こう。研修センターで研修(=懲罰)してもらう」。不適格者だと断定して収容所送りのようなことをいって脅迫している。
 ・職員Cに対して。
 教員の評価方法の議論で、「全く理解できない。精神構造の鑑定を受けないといけませんよ」「プロレスでいえば、見えないところで凶器を持って攻撃しますよ。あらゆる手段を使ってねと発言。同僚職員が不適切と指摘したが撤回せず。人権侵害そのもの。かくれて凶器を持って攻撃すると脅す。脅迫罪。
 ・職員D
 教育長の英語改革の方針について指摘をすると、「誰が言っているのか」と問い詰め、仕方なく名前をあげると今度は「仲間を売るとはどういう人間か」と2~3時間追及。反省文としてレポートを書かせたが、「反省のチャンスを与えたことへの感謝の言葉がなく失礼」と修正させた。
 第三者委員会の評価は「著しく屈辱的と想像でき、体調不良や退職の原因となった。パワハラに該当する行為といわざるを得ない」と指摘。パワハラ=人権侵害で精神的に追い詰め、退職にまで至らしめたことの責任を徹底追及しなければならない。コミュニケーションに未熟さがあり、反省するなどという逃げ道を許してはいけない。

 松井知事は過去の事例に照らして罷免には該当しないなどと、身内には超甘い態度を示している。だが、過去にこんな事例があったのなら示したらどうだ。前代未聞だ。
 識者のコメントは正しい。脇田滋・龍谷大教授(労働法)「職員は自らの職責に照らして必要な意見をのべたにもかかわらず、頭ごなしに否定され、人格を非難するような言葉を浴びており、パワハラでも相当ひどい部類だろう。どこのブラック企業かと感じるような内容だ」(『朝日』2・21)
 森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)「通常のパワハラはノルマが達成できないことへの叱責などが多いが、今回は意にそぐわない言動をした部下への報復的行為だ。これまで見た中でも相当悪質だといえる。高い倫理観が求められる教育現場で起きたことも問題。教育長にふさわしくないのではないか。(『毎日』2・21)
 『毎日』がある府立高校長の発言として「認定されたパワハラは氷山の一角。中原教育長はやめるべきだ」を紹介している。校長の中には府教委の事務局あがりの人も多い。とうぜん中原教育長のもとでの事務局の実態について状況を知っていた校長は多いと思われる。実態は、もっとひどく、広範囲で、悪質だということだ。教育の原理に相反するこんな人物をトップにおいていては、大阪の教育は崩壊してしまう。
 
 
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中原教育長の人権侵害に断固とした処罰を

2015年02月22日 21時10分09秒 | Weblog
 中原徹大阪府教育長のパワハラ=人権侵害は想像を超える悪質なものだ。教育のトップの地位にいる資格はない。最低の人間を起用した知事の情実人事の責任は大きい。府議会は罷免にまで追い込むべきだ。

 ・職員Aに対して。
 統一テスト導入の議論で職員約40人の前で「職員としての不適切な態度から詰めて、知事のところに行きましょう。人を刺しに来るときは、刺され返されることを考えてやらないと。研修センターで研修してもらったらいい」
 立川教育委員に対して、「だれ(=知事)のおかげで教育委員でいられるのか。罷免要求を出します」とおなじ。「知事のところに行こう。研修センターで研修(=懲罰)してもらう」。不適格者だと断定して収容所送りのようなことをいって脅迫している。
 ・職員Cに対して。
 教員の評価方法の議論で、「全く理解できない。精神構造の鑑定を受けないといけませんよ」「プロレスでいえば、見えないところで凶器を持って攻撃しますよ。あらゆる手段を使ってねと発言。同僚職員が不適切と指摘したが撤回せず。人権侵害そのもの。かくれて凶器を持って攻撃すると脅す。脅迫罪。
 ・職員D
 教育長の英語改革の方針について指摘をすると、「誰が言っているのか」と問い詰め、仕方なく名前をあげると今度は「仲間を売るとはどういう人間か」と2~3時間追及。反省文としてレポートを書かせたが、「反省のチャンスを与えたことへの感謝の言葉がなく失礼」と修正させた。
 第三者委員会の評価は「著しく屈辱的と想像でき、体調不良や退職の原因となった。パワハラに該当する行為といわざるを得ない」と指摘。パワハラ=人権侵害で精神的に追い詰め、退職にまで至らしめたことの責任を徹底追及しなければならない。コミュニケーションに未熟さがあり、反省するなどという逃げ道を許してはいけない。

 松井知事は過去の事例に照らして罷免には該当しないなどと、身内には超甘い態度を示している。だが、過去にこんな事例があったのなら示したらどうだ。前代未聞だ。
 識者のコメントは正しい。脇田滋・龍谷大教授(労働法)「職員は自らの職責に照らして必要な意見をのべたにもかかわらず、頭ごなしに否定され、人格を非難するような言葉を浴びており、パワハラでも相当ひどい部類だろう。どこのブラック企業かと感じるような内容だ」(『朝日』2・21)
 森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)「通常のパワハラはノルマが達成できないことへの叱責などが多いが、今回は意にそぐわない言動をした部下への報復的行為だ。これまで見た中でも相当悪質だといえる。高い倫理観が求められる教育現場で起きたことも問題。教育長にふさわしくないのではないか。(『毎日』2・21)
 『毎日』がある府立高校長の発言として「認定されたパワハラは氷山の一角。中原教育長はやめるべきだ」を紹介している。校長の中には府教委の事務局あがりの人も多い。とうぜん中原教育長のもとでの事務局の実態について状況を知っていた校長は多いと思われる。実態は、もっとひどく、広範囲で、悪質だということだ。教育の原理に相反するこんな人物をトップにおいていては、大阪の教育は崩壊してしまう。
 
 
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中原大阪府教育長のパワハラ第三者委員会が認定

2015年02月20日 20時37分35秒 | Weblog
 今日(2015・2・20)、大阪府教育委員会の第三者委員会が、中原徹教育長の府教委職員に対する発言がパワーハラスメントであるとの認定をおこなったことが公表された。
 立川さおり教育委員に対して「だれのおかげで教育委員でいられるのか。罷免要求出します」などと脅しをかけたのが去年の10月。そのとき、パワハラだとの指摘があったが、いや教育委員は対等で上下関係にないからパワハラではないとの反論もあった。たしかに地位を利用したという意味でのパワハラとはいいがたい面があった。たがいに教育委員会議の構成メンバーだから。とはいえ松井知事の意向に背く発言をして「誰のおかげだと思っているのか」といったのは、まぎれもない脅迫だ。
 これが問題になる中で、教育長と上下関係にある教育委員会の職員に対してパワハラをやっていることが発覚し、弁護士3人による第三者委員会が設置された。前代未聞のことだ。
 報告によると部下4人にパワハラをやっていたということだ。その中身は、学校の事務長に配置転換をする、大勢の前に連れ出されて叱責された、精神科で鑑定してもらえ、などだ。4人のうちひとりは退職したという。定年退職ではないということは、追い詰められて退職したのではないか。
 中原氏は記者会見で、辞職するつもりはない、任命権者から罷免されれば別だがと発言した。任命権者の松井知事は、罷免に該当するような事例ではない、反省すればそれでいい、教育改革をやってもらうと、中原氏を全面的に擁護した。中原氏は和泉高校校長の時も同様の行為をやっており、反省は全く期待できない。確信犯的人権侵害だから。反省するのなら自ら責任をとって辞職すべきだ。
 維新政治家と維新教育長、維新政治と符合する方向に教育を変質させるために送り込まれたのが中原氏だ。松井・橋下連合はやめさせないために、策を弄するだろう。だが、明白なパワハラをした人物を罷免せずに擁護することは許されない。中原氏は去年、立川氏に「わたしのキャリアに傷をつける気か」ともいっていた。教育長に成り上がって、これをステップにさらに上昇をねらっていたのに、と思っているのだろうが、こんな人物が教育行政のトップにいることが、大阪の教育にとってどれだけ不幸なことか。
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翁長知事、防衛局にコンクリートブロック投入禁止の指示

2015年02月17日 17時10分36秒 | Weblog
 安倍政府が辺野古沖に巨大コンクリートブロックを不法に投入してサンゴを破壊している問題で、沖縄県尾長知事は16日(2015・2・16)、沖縄防衛局にブロック投入禁止=海底面の現状変更を禁ずる指示を出した。
 前知事が許可を出したと沖縄防衛局はいうが、その範囲を超えたところに投入しており、明らかに不法行為となっている。県が現場調査をして違反が確認されたら、ブロックの撤去と原状回復を命ずることも付け加えている。
 翁長知事の断固とした姿勢が県民を励まし、つけあがって暴走をしている安倍首相を追い詰めることになるだろう。
 
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藤井聡京大教授にけんかを売る維新橋下

2015年02月11日 12時08分28秒 | Weblog
 藤井聡京大教授が都構想について解説していることに維新松井・橋下らが腹を立て、京大総長に告げ口してやめさせてもらおうと子どもじみた行動に出てひんしゅくを買っている。橋下氏は公開討論もしようといっている。
 だが、橋下氏の討論なるものは、およそ討論とはいえず、口げんかのレベルだ。その極端な例が、極右在特会との言い合いだった。同レベルだということだけがはっきりした。
 橋下氏のこれまでの討論をみると、お互いに意見を述べて学びあい、真理に近づくという作業とは正反対のものばかりだった。やくざのやり方そのものだ。相手のいい分の中ですこしでも弱いと見た点をくりかえし、徹底的に攻撃する、自分の土俵に引きずり込んでやっつけるというやり方だ。これまで何人もの学者が橋下氏と討論して、けんかという点では負けてきた。最後に橋下氏に「役立たずの学者」という誹謗中傷をなげつけられた。 
 橋下氏と「討論」などすべきではない。都構想の本質を明らかにするのなら、文書で意見を述べ、反論も文書で展開するという形のやりとりをすべきだ。だが、橋下氏は決して文書で意見を述べようとしない。いままで見たことがない。口先だけで勝負しようとする、すねわちそれはテレビで人を引き付けることに狙いを定めているから。ろくに文章がかけないということがあるかもしれないが。
 藤井教授は討論の挑発に乗らずに冷静に対応しているから、橋下劇場の舞台に不用意にのぼることはなさそうだ。
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都構想賛否の世論調査(朝日)、賛否は拮抗

2015年02月11日 11時24分36秒 | Weblog
 『朝日』が大阪都構想に対する大阪市民の世論調査を発表した(2015・2・10)。都構想「賛成」が35%、「反対」が44%だ。よし、もう大丈夫と思ったら大間違い。
 「投票に行くと思う」という人の中では、賛成44%、反対45%だ。完全に拮抗している。「投票に行くと思う」人は61%だ。これにつづいて「たぶん行くと思う」が23%。総選挙などでも、事前に「行く」といった人が実際の投票者になっている。住民投票でもそうなる恐れが強い。
 住民投票に対し「大いに関心がある」「ある程度関心がある」と回答した人は66%だ。問題は、このうち都構想に賛成する人は47%、反対は36%ということだ。投票に行くという人と関心がある人の関係に、これほどねじれが生じているのはなぜだろうか。
 いずれにしろ、賛否が拮抗していることがはっきりした。橋下のけんか腰のもの言いが街にひびき渡るようになるとやばい。草の根のスピーカーが大阪中で名乗りをあげて発信するしかない。小さい声でも数で対抗することだ。もじもじしていては橋下に負ける。
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橋下大阪市長、京大教授の発言で京大総長に告げ口

2015年02月07日 17時07分38秒 | Weblog
 橋下徹大阪市長は、自分を批判した藤井聡京大教授を驚いたことに京大総長に見解を問うと訴えている。藤井教授は内閣官房参与もし、最近はテレビのバラエティ番組で政治問題でコメントしている。藤井氏は、大阪都構想を「大阪市民の税金が府に吸い上げられ、市外へ流出する」と批判している。もっともな批判だ。橋下氏には下手にものを言うと激しい攻撃をしてくることをみんな知っているから、関西のテレビではまともに橋下批判をするコメンテーターはいない。それでも数年前に比べて、こびへつらったり、もちあげたりする人物はいなくなった。橋下氏の慰安婦発言から流れが変わった。
 今度、橋下氏は、2012年の藤井氏と自民党議員の対談で、橋下氏が「どれだけヘドロチックか教えたいってすごい思っている」と発言していたのを掘り起こして問題にしている。5日(2015・2・5)の定例記者会見で「限度をこえて調子に乗っている。この小ちんぴらだけは政党の代表、市長としてただしていきたい」「たぶん京都大学の総長が来ると、ああいう人はハハーってなる」としゃべった。
 限度を超えて調子に乗っているのは橋下氏自身だ。彼の右に出るものは関西には、いや日本にはいない。橋下氏の言葉の汚いことも右に出る者はいない。今度の「小ちんぴら」という新語にもびっくり。総長が来るとハハーとひれ伏す小チンピラだというのだ。こういう人物像が実は橋下氏にぴったりなのだ。過日も、安倍首相から憲法改悪で維新への期待の言葉をもらって、「うれしくてしょうがない」と子どものような反応をした。自分の感覚で人を評するから、人を批判しているつもりが、じつは哀れにも自分の人間性をさらすことになるのだ。
 総長に告げ口をすれば、びっくりして大人しくなるだろうと思っている。大の大人が、まして政治家がすることではない。堂々と言論で(汚いことばではなく)やればいい。総長に訴えればと考える、その思想の貧困。研究者はもとより独立した人格だ。自分の言論には自分で責任をとるのが研究者だ。大学は総長が教員を管理するというシステムではない。橋下氏は、社長が決定し社員が従って実行するという会社システムを大阪の学校に持ち込もうとして激しい軋轢を生み、学校を腐食させている。大学でもそんなものだと思って、総長に告げ口してやっつけてもらおうと思ったのだ。
 橋下氏は藤井氏の都構想批判が相当堪えたのだろう。そこで古い発言を見つけ出して、いちゃもんをつけ、総長告げ口作戦にでた。藤井氏は、総長への「申し入れは自由に」「しかし都構想についての言論を変える圧力にはいっさいならない」といっている。まともだ。人間性を観察するのに、じつにおもしろいケースだ。みずから実験台に乗ってくれた橋下氏に拍手。
 
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「イスラム国」の人質殺害を糾弾するとともに、安倍首相の危険な「積極的?平和主義」を糺す

2015年02月03日 15時08分03秒 | Weblog
 1日(2015・2・1)早朝、後藤健二さん殺害映像を「イスラム国」はインターネットに流した。「イスラム国」はいかなる意味でもイスラムを名乗る資格のない犯罪集団だ。本当の意味で人道的な活動をしていた後藤さんの命を無残にもうばう行ないのどこがイスラムの教えにかなうのか。一片の道義もない。
 ひるがえって、わが安倍内閣の対応はどうだったか。菅官房長官も検証するといっているからきっちりやらなければならない。人権を標榜する「民主主義国家」だから。
 問題の出発点を1月20日に置くのは最大の間違いだ。出発点は、8月の湯川遥奈さん拘束からだ。少し短く見ても、10月末後藤健二さんが行方不明、拘束されてからだ。一連の流れの中で、日本政府の対応を検証しなければならない。


・11月から「イスラム国」関係者から後藤さんの妻に脅迫メールが届くようになった。拉致された段階で通信手段がうばわれ、妻のメールアドレスも把握された。
 ※ メールが届いたということは、「イスラム国」関係者のアドレスも日本側で把握できた。妻は外務省に連絡し、政府はすべてを掌握していた。政府高官(官房長官の非公式発言)は「イスラム国との連絡手段もなく、日本が主導的にできることは最初から限られていた」という平気で言う。
・12月2日に、妻に20億円ほどの身代金要求があった。
・湯川さん、後藤さんの拘束を受け、それぞれ直後に官邸に情報連絡室、外務省に対策室、ヨルダン・アンマンに現地対策本部を設置した。
 ※ ところがこれを公表したのは、1月27日。非公表とした理由は「発生したことを明らかにすれば被害者の身に危険が及ぶため」(官邸幹部・『朝日』2月2日付)という。
 ※ 非公表の理由はまず、総選挙対策。安倍自民の票を減らさないため。つぎは明らかにすれば、中東外遊中止の世論が起きると予測されたためだ。
 ※ もし、公表した程度で被害者の身に危険が及ぶと政府が考えたのなら、わざわざ中東外遊にでかけ、さらに挑発的発言をすればいっそう、確実に被害者の身に危険を及ぼすと考えるのが普通ではないか。
・外務省関係者から中東外遊を見直すよう進言があったが、官邸はこれをしりぞけた。
・外遊初日の17日、エジプト・カイロで演説。「IS「イスラム国」の脅威を食い止めるため」「イスラム国と戦う周辺国に2億ドルの支援を贈る」と宣言した。この演説には2億ドルは人道支援だという説明はなかった。
 ※ 人道支援として2億ドルといわず、あえてイスラム国と戦う国に2億ドル支援というのは、挑発以外の何物でもない。この言い方も外務省の原案に首相の意向でこのようにつくりかえられた。イスラム国とたたかう国に2億ドルというのは米英有志連合の一員として名乗りを上げたという風に中東の人々は受け取っただろう。これまでの日本の平和主義の国というイメージを決定的に傷つけた。
・21日夕、帰国した首相は、「宣伝戦」「情報戦」を展開するといって、日本の支援は難民・国内避難民への人道支援で非軍事だと、外務省ホームページに英語、アラビア語で発信し始めた。あきらかにカイロでの演説は誤っていたと認めたようなものだ。誤っていたという程度で済む問題ではない。重大な結果をまねいた。
・後藤さんの妻へ接触してきた「イスラム国」関係者のメールアドレスがわかっているにもかかわらず、政府はチャンネルがないと直接交渉することをいっさいしなかった。ヨルダン政府、宗教指導者、部族長に仲介者になってもらって情報収集と接触をこころみた。だが何の成果も挙げられなかった。
 ※ 直接接触、あるいは交渉する手段がありながら、なぜ、あえて、やろうとしなかったのか。完全に外交放棄だ。身代金交渉はしない方針だからというかもしれない。しかし自らは何の接触もしようとしないというのは、容認できない。あまりに米英有志連合と一体化した考えだからか。「イスラム国」が理性的に人道にもとづく話し合いができる連中だとは思えない。しかし、直接には何もしないまま、殺害にまで至ったのは納得できない。政府高官(官房長官)は「ひたすら待ちだ。あとはヨルダン政府にお任せする、それに尽きる」というのだ。たびたび関係閣僚会議を開いて、「緊張感を持って情報収集、分析をつよめる」「緊張感を持って対応していく」とのことばの強さだけが浮いて聞こえた。
・後藤さん殺害後の安倍首相の声明は、「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わさせるために、国際社会と連携してまいります」と強い調子
のものだった。これも安倍首相自身が原案をこのように作り替えたのだ。犯人たちを軍事力で抑えるぞというニュアンスをもっているが、のちの国会答弁では法の裁きをうけさせると説明したが、正常な国家が存在するもとで警察活動、法の裁きによることはありえず、現実は米英有志連合軍の空爆による殺害でしかない。空爆によって「イスラム国」の勢力は弱体化しているようだが、空爆によって無辜の人々も巻き添えになって殺されていることを明記しなければならない。
 安倍首相の「積極的平和主義」なるものが具体化されたのが一連の事態だ。とても容認できるものではない。






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