4月5日の「朝日」の投書欄に鹿児島県の年配の方が「鳥や虫が来ない春 温暖化の影」という文章を寄せていた。この方は30年以上、生物日誌をつけているというからその記録は貴重だ。自然豊かな環境で、メジロ、ウグイス、ヒヨドリ、スズメなどの野鳥が集まっていたのに、ここ数年めっきり減ったそうだ。花が咲いてもチョウもミツバチもほとんど来ない、温暖化が要因としか思えないと。
そういえば、住宅と零細工場ぎっしりのわが町でも、以前はうるさくてしょうがなかったヒヨドリがほとんど来なくなった。ハクモクレンがまだつぼみのうちに散々つつき倒して花を台無しにしていたのに、今年は静かな3月だった。去年の夏もクマゼミが少なく、ある暑い日を境に鳴き声が完全に止んだ。家の横に木蓮の落ち葉を長年積み上げて、そこがセミなどの幼虫の住処になっていたが掘り返しても幼虫の姿が見えなくなった。秋のコオロギの鳴き声もほとんど聞こえなくなった。自然の少ない大阪の下町でも、以前は、鳥や虫の声がうるさかったのに、いまは死に絶えたかのようだ。
わたしたち人間も温暖化に耐えられなくなってきたが、鳥や虫たちはもっと敏感に悲鳴をあげていたに違いない。