3月9日、民間人避難のためにロシア提案の「人道回廊」が6か所設けられたが、そのうちの一つ南東部のマリウポリで産科病院が激しく爆撃された。被災写真を見ると3階建病院の窓はすべて吹き飛び、建物もゆがんでいる。病院の外はがれきだらけ。
国連憲章違反の主権国家への侵略に加え、ジュネーブ条約にも反する民間人・民間施設への無差別攻撃のオンパレードだ。なんのためらいもない。「人道回廊」による停戦をいいながら産科病院まで爆撃する。自分がロシアがどう見られているのかを考えようともしない、自分を対象化できない子どもの仕業だ。子どもか、根っからの独裁者だ。
ことの発端の2月21日の安全保障会議でのプーチンと他の出席者の席の配置は、ひな壇の上のプーチンと下から仰ぎ見る配下の面々という形で、閣僚級の人物たちが問い詰められていた。ロシア対外情報庁(SVR)長官で元KGBでプーチンの同僚だったナルイシキンは、ウクライナ東部2州の「独立」承認をめぐって自分の意見を言えぬままプーチンに問い詰められうろたえる哀れな姿があったと伝えられている。
トルコの仲介でウクライナ、ロシアの外相会談が開かれたが、ロシア・ラブロフ外相は何の検討材料も持たず、「戦争を望んだことは一度もない」、病院爆撃も「フェイクニュースだ」「われわれはウクライナを攻撃していない」とプーチンの口真似を繰り返すのみだ。
そのラブロフにしても、プーチンと話をしたときは粗末な扱いを受けていた。プーチンがフランス・マクロン大統領との会談では大きいテーブルをはさんで4、5メートル離れていたが、ラブロフ外相はもっと長いテーブル向うに座らされ、6、7メートルは離れていたのではないだろうか。ちらっと見た画面だったので不確かかもしれないが。上下のひな壇ではないが、近寄れない距離でしか話もできない、そんな閣僚があるだろうか。