大阪都構想の行方を占う堺市長選挙は、竹山氏の快勝、橋下維新の敗北で大きい意味をもった。1年後の大阪市での住民投票に大きい方向付けをしてくれた。
今回は、橋下氏の選挙のやり方をよく観察できた。テレビで見ると、候補者より日焼けしているのではないかと思った。17日のうち10日現地に入ったらしいから、応援とか支援ではなく、主役だ。橋下氏は大阪ではこれまで選挙は連戦連勝だった。選挙で勝ったものの考えが民意だとやりたい放題だった。
これまで橋下氏の街頭演説に出くわしたことがなく、テレビでのダイジェストしか知らなかった。今度初めて、9月14日と最終日28日の、維新支持者の多いニュータウン泉が丘での演説をインターネットで聞いた。
25分の演説で政策の説明はなく、初めから終わりまで感情に訴える話に終始した。14日は、大阪都構想に魅力があると思わせるために東京オリンピックにかこつけて大阪都でオリンピックをといって、政策的弱みをごまかしていた。橋下氏は、話がうまいといわれてきた。うまいという話の中身は、ほとんど相手の攻撃ばかり。とくに最終日の演説はひどい。公務員攻撃で喝采を浴びたり、既成政党を攻撃して若武者ぶりを演じていた時は、聴衆は橋下氏と同じ立場に立ちやすく、そうであれば、攻撃は激しければ激しいほど、効き目が大きかった。
今度の堺での竹山市長攻撃は、ののしるという言葉がぴったりだ。同時に、演説の締めのほうに必ず登場するのが共産党攻撃。これがえぐい。テレビでも流されたのが、「僕は、酢豚のパイナップルと共産党が大っっきらい!」と絶叫シーン。最終日にはこんなのが延々とつづいた。「こらあっ、共産党!ちょっと出て来い。お前らふざけんじゃない、嘘ばっかりつきやがって。お前らいい加減にしろよっ!」「あいつらほんとに陰で人の悪口ばっかりいいやがって。共産党のね、あの変な集団が、人の悪口、僕の悪口をいいふらして。」「選挙は2種類しかビラを出せないのに、あいつらは違法ビラをどんどん配ってる」と。さらに民主党辻本清美議員に対しても「なんですか、あの辻本なんとかというオバサン。出て来いっ!」書き取るのも大変なほど、こういう悪罵が延々とつづく。
悪口とは、橋下氏のこういうのをいうのであって、政策批判は悪口ではない。ところが、橋下氏は、大阪都構想の中身を真正面からは語らず、はぐらかしつづける一方、こんなえぐい共産党攻撃とあわせて、「堺はなくなる、堺の税金が吸い上げられるという嘘ばっかりつきやがって」とくりかえすのだ。
「住みよい堺市をつくる会」は候補者ではなく、前から発行している機関紙=ビラは選挙中も発行できる。だから違法ではない。このビラで、堺市が解体されることを法の条文も示して、ぐうの音も出ないほどに決着をつけたこと、東京都の例にしたがって堺市から大阪都に吸い上げられる金額を示したこと、大阪府市にくらべて圧倒的に低い借金比率の堺市が利用されることなど指摘してきた。この連発ビラにおいつめられた橋下氏は、反共演説をいっそう激しくした。吸い上げる金額はそれほど多くはないですよともいえず、吸い上げるという嘘にだまされないで、というしかなかった。
橋下氏はこれまで、公務員攻撃、既得権批判、既成政党批判で選挙をのりきってきた。公務員攻撃や既得権批判が庶民のためになるとは必ずしもいえないのだが、庶民が拍手喝采した。
今度の堺市長選挙はどうか。これらの手法が通用しない選挙だった。橋下維新が堺市を自らの構想に組み込むための選挙であり、自分たちが乗っ取りの批判を受ける側だった。だから激しく竹山攻撃、共産党攻撃をしても、維新のコアな信者以外は乗ってこない。逆に、「自民と共産の野合だ」とか、「こらっ、共産党!」などといっても、多くの市民からすれば、自分たちと同じ目標にむかって頑張ってくれる共産党をなぜそこまでという反応がでてくる。堺市民の思いが橋下維新の攻撃にさらされる形になった。「堺市民は堺はなくなると誤解している」といいまくるのだから、無党派層がそっぽをむくのも当然だった。無党派層で竹山氏に投票したの75%、維新に投票したのがわずか25%だった。
橋下氏はこれまで、ふわっとした民意が自分を応援してくれているといってきたが、堺市長選挙で、ふわっとした支持層が完全に離れたことがあからさまになった。慰安婦問題で良識ある人々はもう付いていけないと思ったことだろう。大阪市では今年、橋下氏の意向で民間人校長11人を採用したが、半年しかたたないのに、うち6人が不祥事を起こして問題になっている。公務員攻撃で喝采を浴びたのは過去のこと。今は橋下氏にへつらおうとする民間人校長や区長が公務員のシンボルだ。公務員攻撃は自分にはね返る。大阪では、橋下維新という巨大政治集団が、今や、既得権益集団であり、既成政党なのだ。
今回は、橋下氏の選挙のやり方をよく観察できた。テレビで見ると、候補者より日焼けしているのではないかと思った。17日のうち10日現地に入ったらしいから、応援とか支援ではなく、主役だ。橋下氏は大阪ではこれまで選挙は連戦連勝だった。選挙で勝ったものの考えが民意だとやりたい放題だった。
これまで橋下氏の街頭演説に出くわしたことがなく、テレビでのダイジェストしか知らなかった。今度初めて、9月14日と最終日28日の、維新支持者の多いニュータウン泉が丘での演説をインターネットで聞いた。
25分の演説で政策の説明はなく、初めから終わりまで感情に訴える話に終始した。14日は、大阪都構想に魅力があると思わせるために東京オリンピックにかこつけて大阪都でオリンピックをといって、政策的弱みをごまかしていた。橋下氏は、話がうまいといわれてきた。うまいという話の中身は、ほとんど相手の攻撃ばかり。とくに最終日の演説はひどい。公務員攻撃で喝采を浴びたり、既成政党を攻撃して若武者ぶりを演じていた時は、聴衆は橋下氏と同じ立場に立ちやすく、そうであれば、攻撃は激しければ激しいほど、効き目が大きかった。
今度の堺での竹山市長攻撃は、ののしるという言葉がぴったりだ。同時に、演説の締めのほうに必ず登場するのが共産党攻撃。これがえぐい。テレビでも流されたのが、「僕は、酢豚のパイナップルと共産党が大っっきらい!」と絶叫シーン。最終日にはこんなのが延々とつづいた。「こらあっ、共産党!ちょっと出て来い。お前らふざけんじゃない、嘘ばっかりつきやがって。お前らいい加減にしろよっ!」「あいつらほんとに陰で人の悪口ばっかりいいやがって。共産党のね、あの変な集団が、人の悪口、僕の悪口をいいふらして。」「選挙は2種類しかビラを出せないのに、あいつらは違法ビラをどんどん配ってる」と。さらに民主党辻本清美議員に対しても「なんですか、あの辻本なんとかというオバサン。出て来いっ!」書き取るのも大変なほど、こういう悪罵が延々とつづく。
悪口とは、橋下氏のこういうのをいうのであって、政策批判は悪口ではない。ところが、橋下氏は、大阪都構想の中身を真正面からは語らず、はぐらかしつづける一方、こんなえぐい共産党攻撃とあわせて、「堺はなくなる、堺の税金が吸い上げられるという嘘ばっかりつきやがって」とくりかえすのだ。
「住みよい堺市をつくる会」は候補者ではなく、前から発行している機関紙=ビラは選挙中も発行できる。だから違法ではない。このビラで、堺市が解体されることを法の条文も示して、ぐうの音も出ないほどに決着をつけたこと、東京都の例にしたがって堺市から大阪都に吸い上げられる金額を示したこと、大阪府市にくらべて圧倒的に低い借金比率の堺市が利用されることなど指摘してきた。この連発ビラにおいつめられた橋下氏は、反共演説をいっそう激しくした。吸い上げる金額はそれほど多くはないですよともいえず、吸い上げるという嘘にだまされないで、というしかなかった。
橋下氏はこれまで、公務員攻撃、既得権批判、既成政党批判で選挙をのりきってきた。公務員攻撃や既得権批判が庶民のためになるとは必ずしもいえないのだが、庶民が拍手喝采した。
今度の堺市長選挙はどうか。これらの手法が通用しない選挙だった。橋下維新が堺市を自らの構想に組み込むための選挙であり、自分たちが乗っ取りの批判を受ける側だった。だから激しく竹山攻撃、共産党攻撃をしても、維新のコアな信者以外は乗ってこない。逆に、「自民と共産の野合だ」とか、「こらっ、共産党!」などといっても、多くの市民からすれば、自分たちと同じ目標にむかって頑張ってくれる共産党をなぜそこまでという反応がでてくる。堺市民の思いが橋下維新の攻撃にさらされる形になった。「堺市民は堺はなくなると誤解している」といいまくるのだから、無党派層がそっぽをむくのも当然だった。無党派層で竹山氏に投票したの75%、維新に投票したのがわずか25%だった。
橋下氏はこれまで、ふわっとした民意が自分を応援してくれているといってきたが、堺市長選挙で、ふわっとした支持層が完全に離れたことがあからさまになった。慰安婦問題で良識ある人々はもう付いていけないと思ったことだろう。大阪市では今年、橋下氏の意向で民間人校長11人を採用したが、半年しかたたないのに、うち6人が不祥事を起こして問題になっている。公務員攻撃で喝采を浴びたのは過去のこと。今は橋下氏にへつらおうとする民間人校長や区長が公務員のシンボルだ。公務員攻撃は自分にはね返る。大阪では、橋下維新という巨大政治集団が、今や、既得権益集団であり、既成政党なのだ。