山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

3カ月の休校は子どもに負荷をあたえた

2020年05月30日 21時29分24秒 | Weblog
 3月初めから3カ月、子どもは学校から引きはがされ、子どもらしい生活を阻害された。公園で遊ぶこともバッシングの対象とされた。ステイホーム、引きこもれというのが社会の合言葉となり、強制された。
 朝8時、辻々に5、6人、7、8人とあつまり登校する。学校で3時頃まで勉強して下校する。学童保育に行く子もいる。その繰り返しでじっくりと成長する。
 ところがリズムのある生活は破壊された。自分で時間割を決めて規則正しい生活を送れといっても、どだい無理な話だ。習ってないところの宿題をもらっても納得の上での学習とはならない。
 5月25日から分散登校が始まった。勉強はまだだ。たった1時間半の登校だったが、孫の友達は「家に帰って早くゲームがしたいと」落ち着かなかったそうだ。久しぶりの学校で友達と会って楽しいだろうに、ゲームがしたいと。この話を聞いて暗い気持ちになった。ステイホームの期間、もとからゲーム好きの子はどっぷりとゲームに浸ったことだろう。この話はゲーム依存といってもいいように思う。ひとりや二人のことではないだろう。なんとかしなければならない。ケアが必要だ。
 「朝日新聞」5月30日の「耕論」ページに、日大教授・末富芳さんの「小中高校で大事なのは、勉強が遅れがちな子どもたちに学習支援員をつけたり、心身のケアのためのスタッフを充実させたりすることです。東日本大震災のときには、そうした取り組みが、学びの遅れた子どもたちの学力回復に効果があったことが実証されています」という貴重な発言があった。すこしだけ救われる思いがした。これをやるべきだ。
 3か月の休校が、表立った批判もなく、恐ろしいコロナを抑え込むためには必要なことだったと、検証もなしに肯定する思考停止には同意できない。専門家会議にも諮らず、側近と密室で決めて文科大臣もないがしろにして発表したという一事を見ても、とても教育的措置とはいえない。子どもの学習権はく奪が、法的根拠もなく全国に指示され、批判も抑え込まれたまま、いつしかよくやったと賛美される現状。専門家会議には議事録がないという。国家の危機だというのに、議論の記録を残さない。きっと後の専門家会議で、2月27日の学校閉鎖宣言への批判が出ていたに違いない。議事録を残さないという前提で諮問会議をつくるということはあり得ない。各種諮問会議には議事録があり、公開されている。だが、改ざん、廃棄の安倍内閣だから、へっちゃらだ。
 子どもにはちゃんとしたケアが必要なほど心身に負荷を与えた。それをほぐさなければならない。同時に3か月の閉校休校という政治的実験を批判すべく検証しなければならない。
 
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40人学級の回復で普通の学校生活を。9月入学にしなくてもいい道をさぐろう

2020年05月28日 10時50分55秒 | Weblog
  わたしは高校生の学校生活を保障せよとの署名運動を受け、5月1日から来年9月入学論をこのブログで述べてきた。ただし、財界や、自民党などが従来から留学の拡大、グローバル化のために9月入学を提唱してきたのとは一線を画すことを明言してきた。9月入学に素早く反応した人々は、おおむねこれを好機ととらえてやっと日本も欧米並みにという魂胆が見え見えだった。児童生徒がどれだけ困った状態に置かれているか、勉学の機会が奪われているか、学習権が侵害されているかについての思いは感じられなかった。
 そもそも害悪の出発は、安倍首相が2月27日に側近との密談で萩生田文科相をもないがしろにして打ち出した全国一律休校宣言だ。19県しか感染者がおらず、28県では無症状だったにもかかわらず、安倍首相は高揚感に満ちた表情で打ち出したのだ。こうして3月から学校は閉じられた。法的には学校を閉じるかどうかは校長の権限だ。しかし、従わないのは許されないとばかりに。安倍首相に近い河野克俊・元統合幕僚長はBSテレビで、この学校休校は大成功だったと絶賛した。危機の下での国民の動員、世論の操作のためには、ゆるぎない姿勢で上から、断固として押し付けるのが大事だということだ。割と多くの国民もこの休校に追随し賛成した。コロナ問題で正しい発言をしている研究者でも賛成している。
 しかしこれで子どもたちは学校から引きはがされた。安倍休校は根拠は一切示されなかった。前代未聞の休校だ。政治パフォーマンスそのものだ。
 学校を再開したとしても、人との間隔2mが生活の基本だとされ、必然的に学級を2分割せざるを得ないとなると、教室は2倍、教員も2倍必要になる。しかし教室も先生も余裕はない。必然的に期間を延長しなければ学習を保障できない。わたしが、そして元教員の仲間が主張するのは、生臭いグローバル化ではなく、子どもの学習権を真に保障することだ。そのためには9月入学にして学習の期間を確保するしかないと思った。グローバル論者、新自由主義者、安倍・小池・吉村氏らがこれをチャンスと相乗りしてくるが、私たちとしては子どもの学習権擁護のためには仕方ないと思った。
 だが、文科省が2mをむりやり押し付けない(マージャン店とは違って)、40人学級に戻すことを認めたことで、分割授業をしなくても済むことがわかった。ならば9月入学にしなくても乗り切れる。「朝日新聞」が社説で、入試時期をずらす、来春の始業時期を遅らせるなどの提案をしていたのも大いに参考になった。コロナで奪われた学習期間を2年間で回復する、そのために入試も含めて1カ月ずらすことは、十分可能だ。先生を2倍にしなくていい(できるはずはないが)。
 刈谷剛彦教授の試算が、多くのことを教えてくれたのもよかった。教員が何万人も足りなくなる、保育所と学童保育の待機児童がべらぼうな数になる、教育費の負担が家計と大学生の肩にのしかかる。この研究はこれをチャンスにというひとびとに冷や水をかけた。
 もとより保護者も生徒も賛否は分かれていた。だが、政府与党も世論に逆らえない今の事情をふまえて、長年の夢実現のためという生臭い目標をいったん据え置いた。子どもたちの最前の利益、教育権の保障のために負担の少ないぎりぎりの線をさぐっていきた。
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テレビを手玉に取れると思って調子に乗っている吉村大阪知事

2020年05月26日 15時33分08秒 | Weblog
 テレビの吉村大阪知事厚遇、持ち上げは異常だ。同じ近畿圏でも井戸兵庫県知事への冷遇と比べれはその差ははなはだしい。井戸知事の兵庫県のコロナ対策の成果は大阪より先を進んだ。神戸の市立中央病院の抗体検査1000件の研究成果は注目すべきものなのに、テレビではほとんど無視だ。
 一方でこの秋に大阪市廃止の住民投票をねらっている維新府市政のトップ吉村維新副代表のテレビ活躍は尋常ではない。「朝日新聞」が1か月余り前に、松井維新代表と吉村氏が毎日打ち合わせをし、コロナに関する記者発表は吉村に一本化するという手法をとっているとの小さい記事があった。しかも毎日、少しずつ話題となるものをぶら下げて、記者発表に立つ。テレビ中継にも呼ばれる。テレビをあやつる点で一頭地を抜く小池都知事をも出し抜く存在となった。官僚原稿をプロンプターで読み上げる安倍首相に比べれば自分の言葉で語っているところはある。だが、井戸知事よりも府民県民のことを何倍も大事にしているという証拠はない。
 先日のHNKに出演した吉村氏の発言にはあきれた。空港での検疫について、国になり替わったかのような発言をした。現在、入国制限対象地域からの入国については、PCR検査をして1~2日間自宅又は検疫所が指定した場所で待機し、もし陰性でも入国から14日間は自宅又は自費での宿泊施設で外出をさけ待機することを国は義務付けている。
 吉村氏は、このPCR検査を唾液での検査にすれば2日もかけず時間短縮できる、検疫がスムーズにすすむというようなことを言った。唾液で検査するのは国内在住者にまず大々的にやるべきだ。吉村氏は検疫を簡便にし、外国人の入国を増やそうという狙いのようだ。しかし14日間の待機という今の防疫の基本をもなしにしようというのか。新規感染者がゼロになって安定した国・地域については厚労省で十分検討して解除することはありうるが。唾液検査をなぜやらないのだというツイートで支持を得たからといって、国の権限をのり越えて、検疫体制を指図するとは、調子に乗りすぎだ。
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大阪市の児童生徒に16万個のフェイスシールドを配る?

2020年05月25日 14時26分08秒 | Weblog
 児童生徒本位でなければならない。ところがコロナが問題なってずっと、安倍首相先頭に子どもをふりまわし続けてきた。まだ19都道府県にしか感染者がいない、28県には感染者がゼロのときから全国一律の休校を押し付けてきた。まるまる3カ月子どもから学校を取り上げた。インフルエンザと違って子どもは感染源になっていないし、学校が感染場所になっていなかった。しかし、学校閉鎖休校が、やってる感満載の政策なのだ。営業自粛は猛烈な批判で、少しだけ補償ではない援助をはじめた(だがほとんど受理されていないし、受領していない)。だが、子どもたちは習ってないところをどっさりプリントをもらって、親も含めて頭を抱えている。こんなことで、もうこの範囲はやったということにされたら、虐待としか言いようがない。先生も頭を抱えているだろう。
 松井大阪市長が、先日、児童生徒に16万個のフェイスシールドを配るといった。安倍首相のマスク並みの、思いついたらすぐ発表して既成事実だ。医療従事者が飛沫を防ぐために使っているものだが、学校現場からフェイスシールドが欲しいとの要望が出ていたのか、聞きたい。学校再開している福岡県のある町でこれを付けさせているとのことだが、子どもたちから、曇る、暑いとの声が出ているようだ。大阪市は6月から学校再開だ。暑いときにフェイスシールド。学校の先生からこれがないと子どもが危ないと、強い要望でもあったのか?マスクでは役に立たないのか?

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アベノマスク、洗ったら縮んで子供用になった

2020年05月24日 22時42分42秒 | Weblog
 安倍首相が支持率調達のために、4月1日、政府対策本部会議で突然、全世帯に2枚のマスクを配る方針を発表した。発案したのは佐伯耕三秘書官で、「全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えますよ」と進言したそうだ。トランプといい勝負だ。7日閣議決定した。
 「そんなん要らんわ、病院に手当てしろ」という声がちまたにあふれた。とはいえ、配るんやったらどんなもんか見てみようと多くの人は思った。だがいつまで待っても届かない。我が家には1週間ほど前に届いた。すでにマスクはたくさん入手した後だ。さっそく付けて、安倍さんの付け心地をあじわった。不織布マスクも洗って再利用している。当然アベノマスクも洗ったら、なんと一回り小さくなった。子ども用のマスクになった。テレビで映る安倍さんのは縮んでいないから使い捨てにしているのだ。さすがに洗って子小さい子供用のをつけたら安倍さんも笑いものになる。
 アベノマスクの費用の問題、すべて随意契約での調達、実績ゼロの業者を指名したこと、ゴミや黄ばみの問題、その検査にさらに国費を投入した問題など腐臭ふんぷんだが、野党は、コロナ対策に力を集中するために、あえて疑惑はいったん横に置いてきた。ところが、ずるい安倍政権は、火事場泥棒的に検察庁法案を一気に強行しようと持ちだし、さらに憲法改悪のための国民投票法案をやろうとしている。さすがにだまされつづけた国民も立ち上がり、廃案に追い込んだ。野党は、森友の赤木さん証言、桜疑惑もいったん横に置いて国民の苦難に集中してるのに、安倍政権関係者は支持率調達、支持者対策がまず第一の行動だ。
 内閣支持率もついに2割台に落ち込んだ。
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大阪府教委、6月学校再開。6月15日からは完全に元に戻す。

2020年05月21日 11時16分14秒 | Weblog
 緊急事態宣言解除がすすんでいる。継続中の8都道府県のうち京都・大阪・兵庫の近畿3府県は新規感染者が十分減っているとして、政府は解除する方向だ。
 学校の本格再開もすぐだ。今日21日、「来月15日から通常授業・大阪府立高」との記事がでた。6月1日から府立高全学年で、人数制限したうえで短縮授業をはじめ、6月15日から通常授業に移行する。小6、中3、高3については5月25日から登校日にも授業するというものだ。
 わからないことがあったので、府教育委員会高校教育課に電話で問い合わせた。詳しく教えてもらった。6月1週は学級を2分割して3時間授業をする。2週は同じく2分割で3~4時間授業する。第3週15日以降は通常授業をするというこの通常授業が不明だったが、分割せずに40人学級のまま6時間行うということだった。1時限の時間は50分、1,2週でも、体育の授業は40人で行う。
 学級分割ではなく40人の原学級のまま本格再開するという方針に私はびっくりした。なぜなら、5月4日に政府は「新しい生活様式」を発表し、これを新しい日常生活の基本だと押し付けてきたからだ。人との間隔は2m、最低1m空ける、こまめに換気、3密の回避が学校生活でも基本とされるのだと思っていた。「感染の広がりを長期的にふせぐための新しい生活様式」だとしていたのだから。これをめぐって世間では多くのもめごとが起きている。
 だが、教育委員会は2mにはとらわれないとの姿勢だった。私は、政府は2mを指示しているのに、分割は休業中登校のときだけで解除後の指示はないのかと問うたのに対し、府教委の担当者は、文科省からは「宣言」解除後の学級分割の指示は特にないとの返答だった。だから40人学級で本格再開なのだ。担当者は、でないと教員が全く足りず対応できないとのことだった。その通りだ。だから私は、学級分割、隔日登校、来年9月入学しかないと考えてきた。
 教育委員会の職員は丁寧に答えてくれた。コロナ騒ぎで、テレビにモテモテなのが吉村大阪知事だ。毎日毎日ネタを持ち出して、テレビを完全に手なずけた。かつての橋下劇場の再来を思わせる。テレビの自覚、自律はどこへやら。吉村氏は日本維新の会の副代表だ。11月の大阪市廃止、知事に権限財源集中の住民投票を見越した政治プログラムにのっとった日々の行動だ。賛否2分割の住民投票を前にして、政治的公平をテレビは考えるべきだ。でないとすれば、何も考える力がないといわざるをえない。
 なんでもかんでも知事が自分の手柄のようにテレビに出てしゃべるのはパフォーマンスだ。学校再開も、教育委員会の長が本来記者発表すべきだ。
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安倍お気に入り黒川さん、「週刊文春」が賭けマージャンを暴露。自分で自分に手錠

2020年05月20日 18時26分36秒 | Weblog
 安倍お気に入りの黒川さん。「週刊文春」の最新号が大スクープを発した。産経新聞の記者宅に深夜に行って、賭けマージャンをしていたというのだ。接待麻雀だから、黒川さんは勝たせてもらえる。はっきりいって賄賂だ。産経がなんで検察を接待する必要があるのだろうか。
 賭けマージャンは賭博で犯罪だ。すぐに取り締まらなければ。黒川さん、捜査指揮を執って。安倍政治の黒い部分がどんどんでてくる。腐臭漂う。
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文科省が9月入学の案を二つ例示

2020年05月20日 16時26分28秒 | Weblog
 5月19日、文科省が「9月入学」に関し、来年秋から導入した場合の2つの案を示した。①第1の案は、本来の新入生に加え、4月2日から9月1日生まれまでの年中児も入学させる。17か月分の学年、児童数は1・4倍となる。②第2の案は、5か月分の児童を一気に受け入れるのではなく、5年に分割して、1年あたり13か月分の児童を入学させる。急増による負担を緩やかにする効果がある。
 ①でいくと、教室不足と教員不足が大問題になる。大阪市では維新市政が小学校の3分の1、11学級以下の学校を統廃合する条例をつくり(今年2月)、この4月から統廃合の策定作業に入っている。策定を止めれば、空き教室を十分使える。オックスフォード大の刈谷剛彦教授によれば、最大の問題は、教員が全国で2・8万人不足することだ。これを新規採用すれば、採用試験の倍率は0・88倍となり、教員の質の確保は崩壊する。でも教員がいなければ授業はできない。可能な道は、退職教員を説得して教壇に復帰してもらうことだ。医療の現場でもやっている。ありがたい協力だ。だが安倍悪政が待ったをかける。2007年6月、第1次安倍内閣が教員免許法を改悪して、免許更新制を採り入れた。究極の教員いじめだ。だから退職教員のほとんどは免許が切れている。看護士は免許切れはない。
 ①②とも9月まで保育すべき児童が大幅に増える。保育室、保育士とも足りずパンクする。今でも待機児童がいる下でどうするか見通しはない。26・5万人が保育園から放り出され、あらたな待機児童となる可能性が高い。政府のやる気のない保育政策のツケが一気に回ってきた。学童保育の待機児童があらたに16万7000人発生する。
 文科省は5月15日、小学校から高校生までの子を持つ家庭負担は2兆5000億円、大学生の負担増は1兆4000億円だと国会で述べた。しかしこれを家庭に負わせるのは道理がない。国の政策変更の費用を家庭に押し付ける根拠は何か。受益者負担?緊急避難として制度変更をするのなら、それは国が費用を用意するのが筋だろう。
 
 
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コロナ危機をどうとらえるか。

2020年05月17日 21時54分54秒 | Weblog
 「コロナ危機をどうとらえるか」と題して、5月8日発行の府立高校退職教職員の会の機関紙に投稿したものを掲載します。原稿は4月30日のものです。

        「コロナ危機をどうとらえるか」                          
                                  山上俊夫
 新型コロナウイルスは世界で感染者300万、死者20万を超え、14世紀のペスト、百年前のスペイン風邪に匹敵するものになりました。ペストは1億人が死亡し、スペイン風邪は5億人が感染し5千万人が死亡しました。医学が発達した21世紀のコロナの現状は、まさにそれらに匹敵します。

   新自由主義の帰結、人権危機
 公衆衛生、医学の発達にもかかわらず、アメリカ、イタリア、スペインに象徴的な姿は、新自由主義の帰結としかいいようがありません。国民皆保険がなく、貧富の差が命の差となっているアメリカ。新自由主義的緊縮政策が医療を破壊したイタリア、スペイン。これよりはましだという日本ですが、橋下元府知事・市長も認めたように、保健所の半減、病院の統廃合が医療崩壊の下地をつくりました。
 国連も社会的弱者ほど被害を受ける人権上の危機だと警告を発しています。

   大恐慌にも匹敵
 経済の現状は、08年リーマンショックを上回り、29年からの大恐慌に迫るものになっています。グローバル化が感染でも経済崩壊でも世界をひとまとめにしました。
 従来型の恐慌が、過剰生産やバブルが消費の限界に当たって連鎖的に落ち込んだのと違って、「コロナ恐慌」は移動の制限、飲食・観光宿泊・サービスから文化まで、経済活動を一気に絞めたことで瞬時に恐慌に至っています。
 欧米では経済の停止と補償は一体ですが、日本政府は、社会的圧力を利用して自粛要請をしながら補償は拒否しています。
 日本経済はコロナ以前にアベノミクスと消費増税によって後退局面にあり、その上でのコロナ恐慌なので、終息したとしても安倍首相がいう Ⅴ字回復はおとぎ話です。

   利潤第一でない社会の民主的再建へ
 日本では感染者への差別的言辞や監視社会化への誘導が見られます。安倍首相は責任を取るとは決していわず、自粛という名の自己責任に追い込んでいます。3月からの一斉休校もアベノマスクも専門家の意見を聞かず独断で進めました。強権を歓迎する世論もあります。
 これまで財界は、政府・政権党を使って自らの経済・税制・社会保障・教育政策を国民に押し付けてきました。新自由主義的国家改造です。
 ところが今、社会の危機に際して彼らは何ら展望を示すことができません。茶坊主理論家も存在感がありません。   
 一方、公衆衛生、医学の専門家が科学的根拠をもって方向性を示し、これが安倍内閣の政策的偏向をただす役割を果しています。高校生、大学生も要求を掲げて行動を広げています。
 終戦後、学者・文化人が、民主日本の構想に政治的役割を果たしました。今、再び、医学から人文・社会科学の専門家が、弱者救済と新自由主義的でない社会の再生へ理論的イニシアチブを発揮することが期待されます。


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火事場泥棒、検察庁法改悪

2020年05月13日 23時21分45秒 | Weblog
 「火事場泥棒「」とはよく言ったものだ。消火と救援にみんなが必死になっているときに、混乱につけこんで泥棒をする。泥棒はもとより犯罪だが、もっともひどい泥棒だ。
 安倍内閣と自公与党が今日明日にも強行しようとしている検察庁法改悪がまさにこれだ。野党がコロナ危機を解決することに国会もあげてとりくもうと、森友疑惑と桜疑惑について今は棚上げにしてコロナに集中しているのに、内閣・与党はその隙に付け込んで強行しようというのだ。そのやり口はあまりに汚い。
 もと検察幹部だった堀田力さんは、「私の経験から言えば、政治家がその権力を背景に捜査に圧力をかけてくることはよくあります。それでもひるまず真相を解明しようとする気概のある上司が多かった」(『朝日』5月14日)と述べている。政治家からの圧力は常態なのだ。いままでも。それが検察トップに内閣お気に入りを据えることができるようになれば、検察は国民の信頼もない、権力の茶坊主になるだろう。
 ネット署名がたくさん集まり、批判世論はかつてない広がりを示している。安倍内閣のやろうとしていることは、日本人のいちばん嫌いなやりかただ。内容も方法も。
 日本人は、泥棒でも金持ちから盗んで貧乏人に配ったねずみ小僧を好んだ。火事場泥棒はもっとも嫌いな泥棒だ。
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日本教育学会の5月11日の声明をうけて

2020年05月12日 18時19分39秒 | Weblog
 5月11日、日本教育学会が「『9月入学・始業』の拙速な決定を避け、慎重な社会的論議を求める」を発表した。全国知事会の9月入学の検討要請を受け、安倍首相が「選択肢の一つとして検討する」と答弁し、6月上旬にも方向性を示すともいわれている。そのような情勢のもとでの教育についての包括的な学会の声明として重要なものだ。その核心は、「時間をかけた丁寧な社会的論議が必要であると考え、政府に対して拙速な導入を決定しないよう求める」ところにある。
 9月入学については、過去、臨時教育審議会や、大学審議会、教育再生会議などで導入提言がなされてきた。それらの審議会は自民党政治をあやつる財界首脳がメンバーを務め、財界の統治策の一部としての教育政策を自民党・文部省に実施させるための装置として利用されてきた。詰め込み教育や、格差教育、いじめ、不登校など子どもの苦しみに寄り添うことから発して政策づくりをするものではなかった。逆に、統治機構の一部として、さらに財界の国際競争に利用できる人材育成のために、上から教育政策を左右してきた。そこでは子どもが犠牲だった。
 新自由主義と自己責任が日本の政治・社会の柱になるに及んで、子どもをひとしく大切にするという思想は吹き飛んだ。格差は当たり前、のり越えられないのは家庭と本人の自己責任とばかりに、差別を助長する政策が国・地方を問わず展開した。
 だが9月入学については実施には至らなかった。今度のコロナ騒ぎでは児童生徒の生活習慣・学習習慣の乱れにとどまらず、学習のいちじるしい遅れがあり、家庭によって学力格差が顕著になっている。オンライン学習が打ち出の小づちのごとくいわれるが、これこそ格差のさらなる拡大をもたらしている。
 学校を再開して、夏も冬も休みを圧縮し、土曜日も授業をしてという方向が進められようとしているが、声明がいうように「詰め込み・スピード教育が子どもたちのストレスを高め、不登校を増やすのではないかという心配」がある。
 わたしが来年9月入学案に至った一番大きい理由は、再開したとしてもクラスを2分割して授業をせざるを得ないというところにある。現に一部の県でも、ヨーロッパでもそうだ。「新しい生活様式」に従うならばこれしかない。だが先生を2倍に増やすことは不可能だから、隔日登校か、午前午後の分散登校しかない。すると日数は単純に言って倍かかる。だから9月入学を考えた。すべての休みをなしにしてということも考えられるが、もたないだろう。
 声明は、9月入学は子ども・家庭・社会に甚大な影響があるという。5か月間の学費をだれが持つのかという問題がある。最大の問題は、入学が5か月延びることで7歳5カ月で初めて学校教育を受けるという世界で最も遅い学齢になることだ。わたしは、目の前の子どもの学習の遅れ、学習権の保証ということだけを考えて9月案に至ったが、学齢の問題という点は考慮の外だった。ただ、9月入学は事態をさらに悪化させ、学力格差の是正への有効性には疑問があるという点については納得できない。
 財界は、留学しやすくなるグローバルスタンダードにしか関心がないだろうし、これをチャンスと9月入学を推進するだろう。わたしはコロナを利用して、コロナに便乗してには大反対だ。財界の政治目的ありきで本末転倒だ。子どもの最大の利益がどこかに飛んでいる。
 だが、財界の9月グローバルスタンダードには越えられない弱点がある。それは声明が言う学齢の問題だ。5カ月義務教育開始が遅れる。世界で最も遅くなる。子どもを木材ならぬ「人材」と考える財界にとってこの遅れは許されないことだ。となると急速に9月入学案は、日本の支配層からは敬遠されることになる。
  日本教育学会がさらに検討を深め、より詳細な見解を出してくれることを期待する。
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来年9月からの新学年・新学期についての提案(2)

2020年05月10日 21時30分51秒 | Weblog
来年9月からの新学期についての提案(2)(2020年5月10日)                                                                                                                                                 山上俊夫  

   5日付けで来年9月からの新入学新学期の提案をしましたが、事態の推移をふまえ、提案の補強をします。  安倍首相は、5月4日、7日から31日まで緊急事態宣言を延長し、専門家会議の「新しい生活様式」も提示しました。同時に、14日をめどに緊急事態を解除する可能性にも言及しました。また「特定警戒」の13都道府県以外の34県では、一定の感染防止策を前提に社会経済活動の再開を一部認めることも示しました。  すでに岩手、青森、鳥取、秋田県では7日から学校を再開しました。34のうち他の県でも、6月を待たず再開する県がふえるでしょう。しかし、13都道府県では5月中の再開は無理でしょう。6月からでもその保証はありません。  再開した県の新聞報道を見ると、換気はもとより、クラスを半分に分けた分散授業、1日おきの分散登校が多くの学校でやられているようです。少人数の小学校では元のクラスのまま机の間隔をあけてできるところもあるようですが。高校では電車時差登校もあります。  文科省は5月1日、臨時休校中の分散登校について各県教委に通知をしています。そこでは、小学校1年、6年、中学校3年について、学年や学級ごとに登校の時間帯や日を変えたり、学級内を複数のグループに分けて空き教室も利用した分散登校させる方法を提示しています。この通知に沿って、岩手、青森、鳥取などで分散登校による学校再開が行われています。ただしこの通知は臨時休校中のもので、全面的再開に対応した方針はまだ示されていません。  しかし、この通知と「新しい生活様式」がその後の方向性を示しています。     ≪ 来年9月からの新学年・新学期提案の補強 ≫ 提案は、今年度は4月入学で来年8月までの1年5か月を1学年とし、来年度は来年9月入学とするというものです。今年度は長期の学年となり、臨時休校で遅れた学習を取りもどすために活用します。 この提案の根拠として、「新しい生活様式」の要請が新たに付け加わりました。そのポイントは「人との間隔は、できるだけ2m空ける」にあります。そのほか、公共交通機関は混んでいる時間帯は避ける、こまめに換気する、食事は対面ではなく横並びで座るなどが重要です。 要注意事項の中で、2mの確保は再開した学校運営の基本となります。つまり、これまでの中高校での40人学級では2mはおろか1mでも無理です。少人数の小学校で元のクラスのまま可能なところもあるかもしれませんが、小学校でも多くは無理でしょう。必然的に1学級を2分割しなければなりません。2分割すると、単純に考えて、空き教室を活用したとしても教室が2倍必要になります。また教員も2倍必要です。しかしこれに対応できる余裕はありません。 可能な道は分散登校しかありません。その際、1学級をA・B2つのグループに分割することが前提です。そのうえで、①学年別あるいは②学級別の曜日交代の分散登校が考えられます。 ①学年別曜日交代登校は、月曜は1年と2年の半分、火曜は2年の半分と3年という風にします。しかしこれは、教員の担当する授業が特定曜日だけに集中する弊害があります。実際上無理です。 ②学級別曜日交代制は、月曜1・3・5・7組、火曜2・4・6・8組という風になります。各組のAグループBグループの授業が並行して行われます。しかし授業担当はA・Bとも授業します。同時にはできませんから、時間をずらして、あるいは曜日を変えた時間割となります。学級が2倍になるのではなく、便宜的に分割授業しているだけです。半年後に統一して授業するようになるかもしれません。 ③第3の案は、A・Bグループ別に曜日交代登校するものです。これは数カ月、半年であっても、クラスのまとまりがつくりにくいという問題があります。  学級2分割で教室が2倍要るわけですが、隔日登校にすることで従来と同数の教室を使い続けることになります。ただし、この教室は自分の教室として占有できない不満が残ります。曜日交代制ですから。さらにこの方式は、2日でひとくくりなので、土曜日も登校日にせざるを得ません。教員の勤務に支障が生じますが、6日で5日勤務などの工夫が必要になります。  1学級2分割は、週に3日しか授業できません。ということは通常の1年の長さでは教育課程をすべて履修することはできません。必然的に、1年を長く取る必要が生じます。4月入学・進級、実際は6月開始で来年7月まで授業という、長期学年方式が問題を解決します。そしてこれこそが児童生徒の学習権を保障する唯一の道となります。  いつになるかわかりませんが、感染が完全に終息して「新しい生活様式」が緩められれば、2分割授業を終えることができます。本来のまとまりのあるクラスを取りもどすことができ、学校生活も本来のスピードとテンポになります。  以上、事態の進展に合わせて、来年9月入学の補強提案とします。
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来年9月からの新学期についての提案

2020年05月05日 18時27分09秒 | Weblog
     来年9月からの新学期についての提案(2020年5月5日)
                             山上俊夫                                                 
 学校休校にともなう児童生徒の学力保障について提案をします。
 ここ1週間、休校が延長されることが不可避という情勢の下、9月新学期という案が相当の重みをもって受け止められています。9月はもとより新学期なので、新学年というべきかもしれませんが、実際には新学年は4月に始まっていますので、とりあえず9月新学期といういい方をします。
 
 根源は新型コロナの蔓延ですが、休校については安倍首相の科学的根拠にもとづかない独断専行が問題を深刻化させたと思います。詳しくはブログ「山上俊夫・世界と日本あちこち」に書いたことですが、2月27日の安倍首相の全国一律休校宣言が、間違いのもとです。19県しか感染者がいないもとでの一律休校要請の愚。政治的パフォーマンスでしかありません。河野元幕僚長が正しかったと擁護しましたが、政治実験として貴重なものだったということです。また4月7日の緊急事態宣言にもとづく休校についても、わたしは反対しました。それは児童生徒が感染源になっていないということでした。しかし休校が実施され、富山県で生徒の感染者が出る下で事態は変化しました。
 現在、緊急事態宣言が5月末まで延長された時点で、以後の方向性について、早急に討議しまとめる必要があります。
 すでに、4月1日からある高校生による9月新学期開始署名がつづけられ。多くの賛同を得ています。4月には大阪市立高校生による別の署名も行われています。
 私の意見は、来年9月新学期説です。その根拠は以下の通りです。
・問題の基本は、児童生徒の学ぶ権利、学力をいかに保障するかということです。
・その点で、現在の休校は、この権利、学力保障を成しえていません。コロナ感染危機の下でやむを得ない措置ですが保障はできていません。児童生徒は、学校から宿題をもらって自学自習をしています。概ねとりくんでいるようですが、授業抜きに課題を課されるのは過重な負担です。すべての児童生徒が本来の目標に到達しているとはとてもいえないでしょう。対面授業でやるのとは、その成果に大きな開きがあります。また学習習慣、生活習慣という点でその乱れが懸念されます。
・IT機器をつかっての授業も提唱されますが、その恩恵を被るのは、一部の私学とさらにごく一部の公立校の特定科目です。しかもすべての家庭の子どもが十分なIT環境にあるわけではありません。ここに今すぐ期待するのは夢物語です。さらにそもそも個別バラバラなIT授業が全員参加の授業とはその教育理念と成果において大きな差があるのは当然でしょう。
・現在の学期を不動のものとして、来年の3月までにすべてのカリキュラムを終えるというというのが文科省と全国の教育委員会の共通の考えです。現在の制度上、これを放棄することはできません。しかし3月で終わるというのは、児童生徒の権利侵害がつきまといます。
つまり、3月というまとめの月を奪われたまま、新学期に入り、2カ月間実体のない新学期がつづいています。6月からの再開の保証はありません。北海道で第2波が襲っています。このままでは夏休みはすべて授業、冬休みも短縮、さらには土曜日も授業ということになります。尋常ではない緊張状態になります。そうしないと予定されたカリキュラムを消化できません。
しかしこれは夏を軽く見すぎです。ほとんどの学校でクーラーが設置されているからできると思われがちですが、クーラーが効くには密閉空間でなければなりません。窓を開け放って日本の酷暑の中で授業などできるはずがありません。小学校1年生が、満足に授業に集中する作法も身に着けていない児童が、真夏の教室でシャンとしているでしょうか。
 教育課程の一部をやらなくてもいいという方針にすればいいという案もあります。これなら、3月までに形式的に1年の課程を終えたといい繕うことはできます。でもインチキです。教科によってはやらずに繰り延べすることが大きな弊害をもたらさないこともあり得ます。しかしこれは、学力保障を放棄したということです。児童生徒にとって、何年にもわたって学力遅れをかかえこむ重大な事態です。
・年間10カ月、210日の授業日でおこなうカリキュラムを8か月でおこなうことは不可能です。あからさまに削るか、形だけやったことにして詰め込むか、どちらかしかありません。いずれにしろ、このまま突き進むのは、児童生徒の学ぶ権利をないがしろにする以外の何ものでもありません。

 そこで浮かび上がるのが、今年度は、4月新学期は維持しつつ来年8月までの長期学年とし、来年9月に新学年入学とする案です。6月から学校再開できれば、実質12か月、大変余裕のある授業ができます。学力の遅れ、格差の広がりをとりもどす、ひとりの落ちこぼれも出さない授業が可能になります。北海道のような第2波の危険性にも対処できる時間的余裕が手に入ります。思いがけなく夏休みを2度経験できます。学校行事の季節移動は工夫しなければなりませんが、3月までの詰め込み方式に比べれば、豊かな行事を取り組むことができ、学校のよさを子どもたちは実感することでしょう。
 わたしは、これをチャンスに留学にスムーズに連結することを重視するという立場はとりません。あくまでも、児童生徒の学習権保障がすべてです。ここからずれたとき誤謬が生じます。

 5月1日にこの下書きを書いたのですが、今日、事態の推移に合わせて修正して発表します。今日5日、「東洋経済」オンライン5月4日付けに都留文科大学の石田勝紀氏が、私の考えと同じ提案を発表しておられるのを見つけ、心強く思いました。
児童生徒の学力保障、学習権保障という基本を一歩も踏みはずすことなく事態に対処することが重要です。
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PCR検査をふやすことが新型コロナを抑え込む確実で最短の道

2020年05月05日 15時38分36秒 | Weblog
 九州大学名誉教授で理論物理専攻の小田垣孝さんが「新規感染者数が10分の1になるまでの日数」について、PCR検査をどれだけ増やせばどんな結果が得られるかの計算結果を発表した。「羽鳥モーニングショー」が報じてくれた。
 試算①は、検査数が現状のままだと、接触を8割削減しても新規感染者が10分の1になるのに23日かかる。これが今の日本が必死にやろうとしているものだ。8割はむずかしい。
 試算②は、検査数を現在の2倍にすれば、接触5割削減で、14日で10分の1になる。5割削減は実行可能だ。なら、すぐに2倍にすればいいではないか。10分の1を100分の1、さらに0に近づく見通しがでてくる。
 試算③は、検査数を4倍にすれば、接触の削減なしで、つまり普通の生活をし、経済活動に制限をかけずに、わずか8日で10分の1になる。
 安倍首相は、4月6日に、PCR検査を「1日2万件に倍増する」と見得を切った。だがこの2万は何の見通しもなく側近との独断で発表したものだった。つまり支持率調達のためのパフォーマンスだった。マスク2枚と同じだ。じじつ、2万の根拠は以後もまったく語られなかった。じっさいの検査件数は1日7000件、よくて8000件が続いた。これを1日4万にすれば、「コロナ恐慌」をまたたくまに脱出し、零細中小業者の疲弊困窮を救い、全国民的引きこもりを解放することができる。
 4万に引き上げることは不可能か。そんなことはない。韓国に倣って、ドライブスルー検査をすればいい。嫌韓安倍政府が、韓国の成功を認めてそれにならうのが嫌なのは透けて見える。ならば、ノーベル賞の山中伸弥教授の提案を実行すればいい。山中さんは、iPS細胞研究所だけでもPCR検査機が30台あり、全国の大学のネットワークを使えば1日10万件程度の検査が可能だといっている。
 安倍官邸と厚労省は、「羽鳥モーニングショー」の玉川さんの発言を監視しているのに、いい提案をくり返しているのを無視し、決して取り上げない。野党の練り上げた提案でも退けるのだから、推して知るべしだ。
 新型コロナ対策の基本は、検査をふやして、感染者と非感染者を分け、感染者を隔離し必要な治療をする。これに尽きる。3か月前から繰り返し指摘されてきた。わたしもダイヤモンドプリンセス問題で2月上旬から言い続けてきた。検査しないで、本人でさえ自覚のない感染者を放置したまま、外出規制、営業「自粛」を強めるのが政府のやり方。わたしは、10日ほど前から、「やみくもな自粛」ということばを使うようになった。感染者を判明させることに注力せず、とにかく日本在住者全員にやみくもに自粛・ひきこもりを求めるという「やみくも路線」だ。いずれ、やみくもの袋は破れる。
 小田垣教授は、「市民生活と経済を犠牲にする8割削減ばかりを強調するのは国の責任放棄。検査と隔離のしくみの構築は政府の責任」と端的に述べている。

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韓国、軍事費削ってコロナ支援金。日本も軍事費を医療費に回せ

2020年05月04日 11時16分13秒 | Weblog
 韓国の国会が4月30日、コロナ対策の全世帯への支援金のため第2次補正予算を決定した。そこには軍事費9897億ウォン(850億円)の削減が含まれている(「赤旗」5月1日付け)。韓国政府は2171万全世帯に単身者40万ウオン(35000円)、4人以上世帯100万ウオン(9万円)を5月中旬までに配るという。
 軍事費削減の内訳は、F35ステルス戦闘機3000億ウオン、海上作戦ヘリ2000億ウオン、イージス艦1000億ウオンなどで、今年の支払いの一部を先延ばしするということだ。
 日本は現在、アメリカの戦闘機F35を105機追加購入し147機体制にする計画だ。維持費支払いなど入れて6・2兆円ともいわれる。イージス・アショア2基購入で6000億円だ。10万円支給の補正予算の財源は赤字国債となった。だが第2次補正も必要だ。補正予算ではPCR検査センターを全国につくる予算は入っていない。    
 安倍首相は4月6日、何の根拠も示さずに検査を1日2万に増やしますと見得を切った。これも支持率調達の独断発表だった。じっさいは7千件しかできていない。PCR検査を本気でやる、疲弊しきっている全国の医療機関を支援するための予算が必要だ。そのために、アメリカが恐ろしくてそぶりにも出せなかった軍事費削減を日本もすべきだ。北朝鮮と日々接し、銃撃戦もある韓国が思い切った措置に踏み切ったことを見習うべきだ。韓国を軽蔑するばかりでは品位が問われる。ドライブスルー検査で陽性者を徹底して洗い出し、感染をゼロ近くにまでし、アメリカ・トランプとも堂々と取引をする姿勢に日本との差を感じる。

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