岸田内閣の支持率下落が止まらない。共同通信の11月3~5日調査では、内閣支持率が4ポイント減の28・3%、不支持も4・2ポイント増の56・7%と過去最悪となった。要は政権浮揚から発した策がその本心を見透かされて、国民から見放されてしまったのだ。来年夏に焦点を合わせている解散総選挙の時に一人4万円の減税のエサをぶらさげれば勝てると踏んだ浅はかさがばれてしまった。そのあとに43兆円の大軍拡の増税が待ち構えている。円安による輸入品・物価値上がりが止まらず十分インフレなのに、デフレにとどめを刺すとかとんちんかんさも安倍の呪縛が解けない限界だ。
相次ぐ政務官・副大臣の不祥事も、派閥優先人事のでたらめさをわかりやすく示してくれた。財務副大臣が4度も税金滞納で差し押さえという最もふさわしくない人物を指名したのも安倍派への配慮から。適材適所といってこれまで繕ってきたが、その真逆の見本だ。これではさらに見放される。
≪【維新にも激震、地盤沈下。万博中止世論】≫
右翼ポピュリズム功を奏して立憲を上回る人気を得るようになった維新だが、ここへ来て地盤がひび割れ、沈下し始めている。ちょうどカジノ・万博の夢洲が土壌改良が必要にように。
2か月前に、共産党大阪府委員会が「大阪関西万博を中止に」という声明を出した時には、えっ、そこまで言っていいのという雰囲気だったが、なんと今は、世間では「万博なんか、もう中止や」という風が吹きまくっている。
共同通信では大阪関西万博は不要だがなんと68・6%、必要が28・3%。これが維新支持層でも不要65・7、必要28・3だ。これも岸田内閣と同時に見放されてしまった。維新支持も6月の13・6%から9・3%へとさがった(それでも高すぎると思うが)。
1250億円の万博会場の建設費が二度の見直しで、2350億円と1・9倍に上がった。吉村知事はもうないというが、多くの人は二度あることは三度あると思っている。
むりやり夢洲に万博を持ってきたのは、安倍元首相と蜜月を誇っていた維新の政治的思惑からだ。万博の先にあるのはカジノだ。まずカジノありきだった。大阪の子どもを賭博ができる子どもに育てることをぶち上げていた元大阪知事・市長の橋下徹以来の維新の政治目標だった。違法な賭博を夢洲でだけ合法化し、民間賭博事業者だけでは不可能な交通機関を含めたインフラ整備を万博でなら国・府・市の税金を投入してやることができる。そのための万博だった。そのからくりが大阪府・市民にもようやくわかってきた。カジノ反対運動がこの腐った関係を訴え続けてきた、その成果が世論調査についに現れた。
パビリオン建設の遅れが表面化したのは春。それから必死に手を打ってきたのだろうが、あれから5か月もたっているのに、改善の話は聞こえず、なんとメキシコなど複数の国が撤退することが明らかになった。ほころびどころではない、崩れてきている。
識者も、もう堂々と中止あるいは見直しを主張するようになってきている。朝日新聞も10月23日の社説で開催の是非に言及した。
傷は浅いうちにふさいだ方がいい。賠償金も今なら支払いは可能だ。青島・東京都知事が1995年5月31日、10か月後に開催予定だった世界都市博の中止を決定した。そんな歴史もある。今なら引き返せる。