2018年4月27日の南北首脳会談は、歴史を画する会談となった。安倍首相はことあるごとに、「対話のための対話は意味がない」をくり返してきた。彼は対話拒否を実行し、今の、歴史が激変する事態に完全に取り残されてしまった。
対話のための対話は意味がある。意味のない対話はない。対話に意味を持たせることが政治、外交の仕事ではないか。安倍氏の言うことは単なる逃げに過ぎない。
トランプ大統領は、パリ協定から離脱宣言したり、エルサレムをイスラエルの首都だと宣言して大使館の移設作業をし、中東和平を逆転させている。国連の常識が通らない、とんでもない人物だ。金正恩国務委員会委員長も側近を処刑したり国民が飢え死にするのを尻目に核開発をしてきたとんでもない人物だ。トランプ氏は、今にも軍事行動をする気配も見せながら、でも対話の窓口を確保していた。金正恩氏もオリンピックを利用しながら対話の糸口を求めた。互いが敏感に意図を感じ取って対話を進めた。
ムンジェイン大統領こそ今回の歴史的激動の立役者だった。彼はずっと、米朝の対立のエスカレートによる戦争は絶対に回避する、先制攻撃に反対する姿勢をとりつづけた。安倍氏がトランプ氏の軍事攻撃路線の部分を全面支持してきたのと対照的だった。ムンジェイン氏のねばり強いとりくみが今日の事態を引き寄せたといっていいだろう。
日本にとって最も優先すべき拉致問題さえも、安倍首相は「対話のための対話は意味がない」といって自ら扉を閉ざす政策をとり続けてきた。首相に期待を寄せてきた横田早紀恵さんもついに堪忍袋の緒が切れて、昨年、公式の場で対話、交渉をしてくださいと首相批判をした。核廃棄よりもずっと容易なはずの拉致被害者の返還が、なすすべもなく放置されてきたのは明らかな失策だ。南北首脳会談で拉致問題がとりあげられ、金正恩氏が「いつでも日本と対話する用意がある」と返答した。とにかく問題解決への道が見えたのを喜びたい。
対話のための対話を大切にし、そこに意味を付与し、信頼を醸成し、本格的な交渉に進んでいくことこそが大切ではないか。ムンジェイン氏は弱腰ではないかとか、とかく日本では批判的だった。しかし対話を握って離さす、信頼醸成を大切にしてきたムンジェイン氏が、道を切り開いた。拉致問題では米朝首脳会談が成功した後、日朝首脳会談を開くことを北朝鮮側が示しているようだ。
安倍首相は、2月9日ピョンチャンオリンピック開会式で訪韓した時に、日韓首脳会談で「オリンピックのために延期された米韓合同軍事演習を(オリンピック後)予定通り進めることが重要だ」と述べると文大統領は「この問題は我々の主権の問題であり、内政に関する問題だ。首相がこの問題を取り上げるのは困る」といったと伝わっている。安倍首相は、開始は遅れても予定通り2カ月軍事演習すべきだといった。文大統領は余計なことを言うな、口出しするなといった。大統領はオリンピックを機に南北対話を進め、さらに南北の平和体制構築を展望していたその時に、安倍首相が例年通り2か月の軍事演習で、北にもっと軍事圧力をかけろという意味で言った。文大統領の狙いとは明らかにずれていたし、内政への干渉に違いなかった。3月4月と2カ月に及ぶ30万人規模の上陸軍事演習が北にとってとてつもない脅威であることは疑いない。そもそも自分の国のすぐそばで、よその国がことあらばいつでも実戦に切り換えるぞという脅しとともに、2カ月も軍事演習をしている地域が世界であるだろうか。あったら教えてほしい。国連憲章では加盟国はすべて主権が保障されている。目の前で30万の軍隊が脅しをかけるのは、明らかな国連憲章違反だ。もしこれが認められるわずかな正統性があるとすれば、それは朝鮮戦争がまだ終戦に至っていないということだけだ。だから文大統領が主権、内政の問題だといって安倍首相に抗議したのは正しい。しかし自民党外交部会は息巻いたらしい。
今年の米韓合同軍事演習「フォールイーグル」は、4月1日から1カ月間、米軍1万1500人、韓国軍30万人を動員して行われた。期間は例年の半分に短縮したがさらに南北会談を前に26日予定を早めて終了した(コンピュータによる指揮訓練は27日は中止し以後継続)。アメリカの航空母艦は参加していない。規模の縮小に文大統領の意思が働いているのは動かせない。安倍首相のように対話拒否、圧力一辺倒だったら、今の劇的な状況は生み出せなかった。ムンジェイン大統領の平和体制構築への揺るがぬ意思と、対話への柔軟性が事態を切り開いたと思う。
対話のための対話は意味がある。意味のない対話はない。対話に意味を持たせることが政治、外交の仕事ではないか。安倍氏の言うことは単なる逃げに過ぎない。
トランプ大統領は、パリ協定から離脱宣言したり、エルサレムをイスラエルの首都だと宣言して大使館の移設作業をし、中東和平を逆転させている。国連の常識が通らない、とんでもない人物だ。金正恩国務委員会委員長も側近を処刑したり国民が飢え死にするのを尻目に核開発をしてきたとんでもない人物だ。トランプ氏は、今にも軍事行動をする気配も見せながら、でも対話の窓口を確保していた。金正恩氏もオリンピックを利用しながら対話の糸口を求めた。互いが敏感に意図を感じ取って対話を進めた。
ムンジェイン大統領こそ今回の歴史的激動の立役者だった。彼はずっと、米朝の対立のエスカレートによる戦争は絶対に回避する、先制攻撃に反対する姿勢をとりつづけた。安倍氏がトランプ氏の軍事攻撃路線の部分を全面支持してきたのと対照的だった。ムンジェイン氏のねばり強いとりくみが今日の事態を引き寄せたといっていいだろう。
日本にとって最も優先すべき拉致問題さえも、安倍首相は「対話のための対話は意味がない」といって自ら扉を閉ざす政策をとり続けてきた。首相に期待を寄せてきた横田早紀恵さんもついに堪忍袋の緒が切れて、昨年、公式の場で対話、交渉をしてくださいと首相批判をした。核廃棄よりもずっと容易なはずの拉致被害者の返還が、なすすべもなく放置されてきたのは明らかな失策だ。南北首脳会談で拉致問題がとりあげられ、金正恩氏が「いつでも日本と対話する用意がある」と返答した。とにかく問題解決への道が見えたのを喜びたい。
対話のための対話を大切にし、そこに意味を付与し、信頼を醸成し、本格的な交渉に進んでいくことこそが大切ではないか。ムンジェイン氏は弱腰ではないかとか、とかく日本では批判的だった。しかし対話を握って離さす、信頼醸成を大切にしてきたムンジェイン氏が、道を切り開いた。拉致問題では米朝首脳会談が成功した後、日朝首脳会談を開くことを北朝鮮側が示しているようだ。
安倍首相は、2月9日ピョンチャンオリンピック開会式で訪韓した時に、日韓首脳会談で「オリンピックのために延期された米韓合同軍事演習を(オリンピック後)予定通り進めることが重要だ」と述べると文大統領は「この問題は我々の主権の問題であり、内政に関する問題だ。首相がこの問題を取り上げるのは困る」といったと伝わっている。安倍首相は、開始は遅れても予定通り2カ月軍事演習すべきだといった。文大統領は余計なことを言うな、口出しするなといった。大統領はオリンピックを機に南北対話を進め、さらに南北の平和体制構築を展望していたその時に、安倍首相が例年通り2か月の軍事演習で、北にもっと軍事圧力をかけろという意味で言った。文大統領の狙いとは明らかにずれていたし、内政への干渉に違いなかった。3月4月と2カ月に及ぶ30万人規模の上陸軍事演習が北にとってとてつもない脅威であることは疑いない。そもそも自分の国のすぐそばで、よその国がことあらばいつでも実戦に切り換えるぞという脅しとともに、2カ月も軍事演習をしている地域が世界であるだろうか。あったら教えてほしい。国連憲章では加盟国はすべて主権が保障されている。目の前で30万の軍隊が脅しをかけるのは、明らかな国連憲章違反だ。もしこれが認められるわずかな正統性があるとすれば、それは朝鮮戦争がまだ終戦に至っていないということだけだ。だから文大統領が主権、内政の問題だといって安倍首相に抗議したのは正しい。しかし自民党外交部会は息巻いたらしい。
今年の米韓合同軍事演習「フォールイーグル」は、4月1日から1カ月間、米軍1万1500人、韓国軍30万人を動員して行われた。期間は例年の半分に短縮したがさらに南北会談を前に26日予定を早めて終了した(コンピュータによる指揮訓練は27日は中止し以後継続)。アメリカの航空母艦は参加していない。規模の縮小に文大統領の意思が働いているのは動かせない。安倍首相のように対話拒否、圧力一辺倒だったら、今の劇的な状況は生み出せなかった。ムンジェイン大統領の平和体制構築への揺るがぬ意思と、対話への柔軟性が事態を切り開いたと思う。