杉田水脈自民党衆院議員のあいつぐ差別発言にはほとほといやになる。批判されても何の反省もない。公の職に就く資格がない。にもかかわらず、所属の自民党も基本的にはこれに同調し、処分もせず辞職もさせない。
2023年9月7日、札幌法務局は杉田水脈自民党衆院議員のアイヌ民族に向けたツイッター投稿を「人権侵犯」だと認定し、啓発をおこなった。2016年にスイスでの国連女性差別撤廃委員会の参加者について、杉田水脈氏は「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と投稿した。これに対し関係者が人権救済の申し立てをしていた。
憲法、国際人権法を先頭に立って守るべき国会議員が、これを真っ向から踏みにじる行為をしたことは、国会議員の地位とは両立しえない。だが、法務局から指摘されても記者会見もしない、無視を決め込んでいる。
驚くのは自民党のふるまいだ。人権、民主主義を尊重する政党ならば、議員を辞職させるなどの措置をとるべきだ。ところがその正反対の行動をとっている。自民党は9月29日、杉田氏を党環境部会長代理に就任させた。同じ安倍派に所属する党の重鎮・萩生田政調会長がすすめた人事らしい。岸田首相は昨年、杉田氏を総務政務官に起用するなど杉田氏重用はずっとつづいている。だが昨年は、同性カップルは生産性がないという問題発言で辞任させられた。
自民党は2013年以後、もう法も倫理も通用しない集団になり下がったといえる。杉田氏は日本維新の会をへて、その極右歴史修正主義発言が安倍晋三氏に見染められ、比例上位で現在3期目だ。安倍以後の自民党は杉田氏流の人権認識(人権侵犯)、歴史認識(歴史の偽造)が党全体に浸透してしまった。これは世界的に見ると異常な状態だ。フランスでもオーストリアでも極右が伸長し、イタリアではついに極右女性が首相にまでなった。だが日本ではどのマスメディアも今の安倍以後の自民党政権が極右政権だとは言わない。しかし私から見れば、安倍以後は、ヨーロッパの極右政党をはるかにしのぐ極右政党、極右政権だ。このような人権侵犯や歴史の偽造を公然とやることはヨーロッパ的な政治倫理では見られない。人権侵犯も歴史の偽造もヨーロッパでは政治家、政党、政権がやってはならない最低限の常識だ。それがもともと日本では弱いが、安倍以後は意図的にこれを覆し、政治の世界だけでなく社会一般に浸透させるたくらみがやられている。日本政治を世界的な、国連人権規約のレベルでたえず検証するようにしなければならない。