山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

アメリカなどが長崎の平和式典に大使を派遣しなかったのは道理がない

2024年08月12日 17時53分17秒 | Weblog
 9日の長崎市主催の平和式典にアメリカ、イギリスなどのG7・6か国が大使を出席させなかった。理由はイスラエルを招待しなかったからだ。イギリス大使は、イスラエルはロシアと違い自衛権を行使しているからというが、ロシアと同列の、それ以上の無差別の大量殺害をしている。原爆の無差別殺害を二度とさせない誓いの場にロシアも、イスラエルもふさわしくない。
 イスラエルはハマスへの自衛権にもとづく自衛戦争だというが果たしてそうか。
 イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来57年、ヨルダン川西岸とガザを占領している。67年の国連安保理の242決議で占領地からの撤退を勧告されたのを無視し続けている。24年の7月19日、国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)はイスラエルの占領政策は国際法違反と断定し、占領終結を勧告した。
 イスラエルはガザからユダヤ人入植者を西岸地区に強制的に移し(05年)軍隊も撤退したが(07年)、これは占領をやめたということではない。高い塀で覆い、出入り不能にして、水・食糧・生活物資供給を最低限にした「集団監獄」にしたのだ。これは占領の21世紀型完成型なのだ。当然、完全封鎖下のガザは今も占領状態だ。
 1947年の国連総会でパレスチナ人を排除し土地をとりあげるという著しく不公正な決議で建国を許されたイスラエルは、以後一度も国連決議に従っていない。無法国家だ。
 自衛権は他国から受けた攻撃に対する必要な範囲での武力行使だ(国連憲章51条)。イスラエルは占領支配下のガザ地区の抵抗勢力からf攻撃を受けたのであって、外国から受けたわけではない。自らの占領地に対して自衛権を行使できるわけはない。他国からの攻撃ならば国連安保理に自衛権承認を求めなければならない。常に国連を無視し、罵倒しているイスラエルが承認を求めるはずもないが。求めたとしてもガザに独立国家として主権を認めることがその前提になるからありえないのだが。
 イスラエルのネタニヤフはハマスを絶滅することを宣言しているから、この戦争は終わらない。イスラエルは北部から南部へ、南部ハンユニスからどこそこへと次々避難せよと命じて大規模攻撃をする。民間人に対する予防措置を講じているから人道法に違反していないというのだが、230万人のうち190万人が家を失って、避難に次ぐ避難だ。そして4万人が命を奪われた。避難通知をしたからそこに残って被害を受けたといっても自己責任だといわんばかりの鉄面皮だ。民間人への無差別殺害、ジェノサイド。
 長崎の式典に大使を送らなかったG7のアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダはイスラエルには自衛権があり、ガザ戦争は自衛戦争だ、イスラエルがおこなう攻撃は許されたもので、イスラエルへの非難は反ユダヤ主義に通じるもので許されないという立場だ。ロシアのウクライナ侵略と虐殺は国際法違反だが、イスラエルは自衛戦争で正義の戦争だというのだ。ハマスの越境攻撃での戦争犯罪は認められない。だがその百倍返しの侵攻作戦の中身は国際法違反の戦争犯罪ばかりだ。国際司法裁判所でも国際刑事裁判所でも断罪された。
 あまりにひどいダブルスタンダード=二重基準だ。昨年10、11月段階では、ドイツがホロコーストの罪を自覚する立場からイスラエルに対して強い姿勢を採れないのかと思ってドイツを見ていた。ポロコーストの責任があるからといってイスラエルの戦争犯罪に目をつぶるのは筋が違う、そこまで屈しなくていいのにと思っていた。だがこれは読み違いだった。実態は、もっと根深い、反ユダヤ主義の脅しに屈した、筋金入りのイスラエルロビーだったのだ。イスラエルの犯罪をこの50年支え続けてきたアメリカとまでは行かなくとも、ドイツほかの国も相当毒が回ってきたと思わざるを得ない。

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