BSで「六角精児の飲み鉄本線日本旅」を見た。俳優の六角さんが地方の鉄道に乗り、途中下車をして人のいない海辺や山里を歩く。今回は北海道の留萌本線だった。本線といっても単線で本数はいたって少ない。番組では、列車にのった六角さんが、「朝から失礼します」といってカバンから缶ビールを取り出して、プシューッといわせながらおいしそうに飲む。さびれた食堂で昼食をとり、瓶ビールを飲む。何時間も時間待ちをして乗った列車で、こんどはカップ酒を飲む。飲みながら鈍行列車旅をする。
この放送の数日前に、JR北海道が、運行する12路線25線区のうち10路線13線区が維持困難と発表した。4線区は廃止しバスに切り替える。なんと六角精児の飲み鉄の舞台だった深川・留萌間が廃止されるのだ。廃止には夕張・新夕張、高倉健の「鉄道員(ぽっぽや)」の舞台となった線区(富良野・新得)も含まれる。廃止でない困難線区は、施設を自治体が保有し、JRが運航を担当する方式や運賃値上げを検討するとしている。
問題の発端は、1987年の国鉄分割民営化にある。線路の総延長に対し人口の少ない北海道が不利なことは誰でもわかる。経営が成り立たないのは自業自得というのは新自由主義の理屈だ。この理屈で行くと、すべてのことで地方は切り捨てられる。東海道新幹線を保有するJR東海は放っておいても莫大な利益がころがりこむ。国鉄分割民営化そのものが理不尽なのだ。維持費が多いわりに客の少ないJR北海道は、当初から不利と見られていた。安全確保のための投資も十分にできないことから、重大事故まで起こしてきた。
利益を上げられない地方は鉄道を廃止するのが当然という考えで分割民営化がやられた。一方でJR東海と安倍政権は、人口減少時代に向かって巨費を投じてリニアに熱狂している。北海道なんか眼中にない。
わたしは思う。JR各社をもう一度共通の経営に戻すべきだ。すくなくとも利益の一部をプールして苦しいところに融通する制度くらいはつくるべきだ。儲かるところから地方に投資することで、国土全体にバランスの取れた社会にする必要がある。税制でも地方交付税交付金が各都道府県に最低限の水準を確保する土台となっている。それと同じだ。東京も大阪も地方もそれぞれの才覚で、自分ですべてやれ、できないのは自業自得だというのは、最悪の新自由主義だ。安倍もこの考えだ。橋下に代表された維新はもっと露骨にこれを主張していた。落ちぶれるのは自分が悪いのだという考え。これでは社会が崩壊する。戦後、日本だけでなくアメリカも、イギリスも主要先進国が、高い累進課税で社会の安定を築いてきた。ところが、累進課税は風前のともし火。JR分割民営化も、交通政策において180度の方向転換をして地方に自立を求めた。自立とは聞こえはいいが、コンクリの上に立つ強者が泥沼でよろける弱者と綱引をするようなものだ。弱肉強食の新自由主義を放置していいのか。
この放送の数日前に、JR北海道が、運行する12路線25線区のうち10路線13線区が維持困難と発表した。4線区は廃止しバスに切り替える。なんと六角精児の飲み鉄の舞台だった深川・留萌間が廃止されるのだ。廃止には夕張・新夕張、高倉健の「鉄道員(ぽっぽや)」の舞台となった線区(富良野・新得)も含まれる。廃止でない困難線区は、施設を自治体が保有し、JRが運航を担当する方式や運賃値上げを検討するとしている。
問題の発端は、1987年の国鉄分割民営化にある。線路の総延長に対し人口の少ない北海道が不利なことは誰でもわかる。経営が成り立たないのは自業自得というのは新自由主義の理屈だ。この理屈で行くと、すべてのことで地方は切り捨てられる。東海道新幹線を保有するJR東海は放っておいても莫大な利益がころがりこむ。国鉄分割民営化そのものが理不尽なのだ。維持費が多いわりに客の少ないJR北海道は、当初から不利と見られていた。安全確保のための投資も十分にできないことから、重大事故まで起こしてきた。
利益を上げられない地方は鉄道を廃止するのが当然という考えで分割民営化がやられた。一方でJR東海と安倍政権は、人口減少時代に向かって巨費を投じてリニアに熱狂している。北海道なんか眼中にない。
わたしは思う。JR各社をもう一度共通の経営に戻すべきだ。すくなくとも利益の一部をプールして苦しいところに融通する制度くらいはつくるべきだ。儲かるところから地方に投資することで、国土全体にバランスの取れた社会にする必要がある。税制でも地方交付税交付金が各都道府県に最低限の水準を確保する土台となっている。それと同じだ。東京も大阪も地方もそれぞれの才覚で、自分ですべてやれ、できないのは自業自得だというのは、最悪の新自由主義だ。安倍もこの考えだ。橋下に代表された維新はもっと露骨にこれを主張していた。落ちぶれるのは自分が悪いのだという考え。これでは社会が崩壊する。戦後、日本だけでなくアメリカも、イギリスも主要先進国が、高い累進課税で社会の安定を築いてきた。ところが、累進課税は風前のともし火。JR分割民営化も、交通政策において180度の方向転換をして地方に自立を求めた。自立とは聞こえはいいが、コンクリの上に立つ強者が泥沼でよろける弱者と綱引をするようなものだ。弱肉強食の新自由主義を放置していいのか。