参院選挙予想がでている。自民党勝利、維新倍加と恐ろしい予想だ。
ロシアのウクライナ侵略以降、日本も軍事力を強化しないとウクライナのように侵略されるという議論が自民党や維新などを中心にさかんにふりまかれ、世論が大きく軍事国家化へ動いたかのように見える。具体的にはウクライナ以前から持ち出していた敵基地攻撃能力(最近は本質が見破られると反撃能力にいいかえている)と、これを担保するための防衛費2倍化論だ。アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国に躍り出ることになる。安倍氏をはじめとする勢力の長年の宿願をウクライナを利用して一気に進めるということだ。
5・5兆円近くの軍事費を2倍にすると11兆円だ。その財源をどこから持ってくるのか。考えられるのは、消費税で賄うとすれば最低2%増税だ。でなければ、医療費の本人負担を倍加する(現役は3割から6割に、年金者は2割から4割に)、年金給付の大改悪などが考えられる。いずれにしても世界第3位の軍事大国ということは、戦争準備態勢に入るということだ。日本の過去の例でも明らかなように、全国民がその生活の費用を投げ出してお国のためにささげるのだ。その決意を問うのが今度の参院選なのだと思う。しかし、岸田与党・維新らはずるい。ウクライナを見ろ、軍事費を倍加しなくてどうする、敵基地攻撃能力をもたなくてどうする、いまこそ核兵器も持とうじゃないかと恫喝をして、ここで一気に国民の了承を得たといいたいのだ。だが、ずるいのは、欲しがりません勝つまではと生活破壊前提の消費税か、社会保障破壊で予算を賄うとはいっさい言わないことだ。財源なしの大軍拡計画なのだ。安倍もひどかったが、こんなひどい話はきいたことがない。
やられる前にやってしまえとばかりの、酔っぱらいの酒屋談義なみの宣伝が相当浸透してきた。
だが軍事対軍事ではいずれ戦争に突き進むことは明白だ。問題はいかにして戦争を起こさないかにある。そのための平和外交を徹底できるかにある。こんどのウクライナ侵略でも欧米側を分析すれは外交の失敗がある。開戦に至る2か月間のアメリカ政府の動向を見ると、戦争になったら悲惨な人道危機に陥るという危機感をもとにした、戦争をさせない、戦争をくい止めるという必死さがなかった。戦争はアメリカにとってはありふれたこと。
戦争をさせない、戦争を起こさせない。これが核心だ。だが今の日本の自民・維新らのいうのは戦争が起きることを前提にした対処方針だ。根本的に間違っている。憲法9条にのっとっていない。
選挙を前に、かつてない危機的な情勢の下、軍事対軍事ではなく、いまこそ平和外交をと声高々に主張しているのが日本共産党だ。立憲民主党も軍拡にひきずられている。
共産党の言うのは平和外交で戦争をしない地域づくりの例として東南アジア諸国連合ASEANに学ぼうということだ。かつてベトナム戦争で苦難を強いられた東南アジア諸国が、今は1年間に1000回も会合を持つ平和の枠組みをつくりあげたのだ。意見対立を戦争にもちこませない、これこそ政治の仕事だ。戦争準備は平和のためのものではない。
ウクライナを見ろ、戦争準備をすすめよという恐ろしい流れがあるが、共産党ががんとしてこれに立ちはだかり、押し戻そうとしてきた。少しずつではあるが、押し返しつつある。でもまだまだだ。選挙の結果は政治的結論として確定する。だから恐ろしい。憲法9条平和外交の旗を高く掲げてここに多くの国民が結集するのを期待したい。