黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

孤高の画家 田中一村 NO.4

2023-01-31 | 日記

一村を変えた南国への旅

 スケッチ旅行の始まり~

 単なる景観の描写にとどまらず、新しい作品挑戦への心を

 奮い立たせた貴重な旅であった。

 想像力を湧出させる旅でのスケッチ・・・

 画家にとってはさらなる飛躍のために不可欠なもの。

 旅は、画材の宝庫!

 そこで出会う自然との遭遇は感性の錬磨なのだ。

 新しい発想もそして数々の悩みも吹き飛ばす。

 

 先ずは、九州阿蘇山に登った。(写真利用)

    

 このスケッチ旅行の経路と考えられる~ルートは

阿蘇山~高千穂~宮崎(青島)~鹿児島~雲仙~長崎~大分~別府~

八幡浜~松山~高知~足摺岬~室戸岬~高松~鳴門~洲本~和歌山

~新宮~熊野

*旅先からK氏に送ったハガキが残っている。

 四国に廻り、紀州熊野川まで見て帰る予定です。

 車中にて 田中一村と記す。

「放牧」   昭和30年 

     

   阿蘇の放牧を。一村の心が広がっていく

    途方もなく大きなスケールで広がる新芽の絨毯

    のびやかな情景。

    旅に出たのが正解であったと思わせるものであった。

 

 「山村六月~北日向にて」 高千穂

   

    梅雨の季節豊かな田園風景 遠くに高千穂の峰を

    手前ハンカイゾウの黄色い花

 「ずしの花」 

     

 「阿蘇付近北日向 ずしの花多し 山間田蛙路傍到ル所にアリ

   草丈八尺に達す」と記す。

 

 「青島の朝」 宮崎

  

   枇榔樹の葉はそよぐ…         青島を航空写真で見る(参考)

「海ハ碧玉 空ハ緑玉 枇榔樹ノ葉ハソヨグ 南国ノ夢アリ」と記す。

 

鹿児島(桜島)の噴煙を仰ぐと、さらに南の島々への思いがつのっていった。

 船便を見つけてて、種子島、屋久島、トカラ列島まで足を延ばした。

 黒潮に浮かぶ南の島々は、一村の心を魅了した。

   

  

 

 「岬~トカラにて」 

    

 

雲仙・島原へ~

 「雲仙雨霽(うせい」

  

雲仙山麓 雲乱レ飛ブ 長崎ヨリ島原ニ向フ車中即目」

 牛にすきを引かせ田を耕す農民…

 雨上がりの情景をしっとりと描いている。

 

 長崎から久大線 ~大分

 「由布嶽朝靄」

   

  別府から四国へ渡った一村は、足摺岬や室戸岬を巡った。

 「足摺狂濤」 足摺岬 

 

 

    「室戸ハ奇石累々 足摺は断崖千尺

      太平洋ノ怒涛ハ脚下ヲ噛ム」とある。

    黒潮の打ち寄せる荒々しい情景を、群青の濃淡と

     胡粉の白波によってみごとに表現している。 

 

  高知から松山~鳴門へ そして洲本~和歌山へ。

 

 和歌山に出て、筏流しの名勝・瀞八丁と那智の滝を見た。

  

 

 高みから流れ落ち、岩にあたって砕け広がる滝の様子を

 描いた1枚があります。が、 

 この作品は「岡田美術館蔵」なので、今回、参考として掲載します。

 参考: 「瀑布」 

 

 

 

 旅から帰った一村は、南国の風光や黒潮に浮かぶ南の島々の

 印象を、姉喜美子に語り続けた。

 南国のイメージは、日ごとに膨らんでいった。

 やはり千葉を離れなければいけない。

 

 必死で勉強してきた成果を集大成しなければならない。

 絵かき人生を締めくくる最後の絵は、

 やはり旅先で描くことになるだろう。

      もう時間はない。

     一村の心は決まった。

 

   黒潮に浮かぶ南の島々に心は飛んでいた。

 

               最終章へ~

 


続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。