少しでも風が強く吹くと、枯葉がはらはらと舞い落ちる。
秋は、さらに深まりの色を見せている・・・。
映画「きみに読む物語」など<恋愛小説の神様>の異名で知られる、ニコラス・スパークスのベストセラーの原作を映画化した。
小説出版前から、映画化権獲得競争が激しかったそうだ。
「ショコラ」(00)、「HACHI 約束の犬」(03)で、映像美豊かな作品を発表した、ラッセ・ハルストレム監督のアメリカ映画だ。
でも、これを珠玉というには、正直のところいささか憚られる、ラブストーリーである。
もちろん、これは、個人的に強く思うことだけれど・・・。
2001年春、アンリか南部に住む裕福な女子大生サヴァナ(アマンダ・サイフリッド)は、自閉症の父に育てられた特殊部隊の兵士ジョン(チャニング・テイタム)と、ともに帰省していた故郷の海辺で出逢った。
二人は、一緒の時間を過ごすたびに、強く惹かれあい、二週間で恋に落ちていく。
しかし、ジョンは米軍の戦地に再び赴かなくてはならず、サヴァナの心は揺れる。
機密事項のため、赴任地も明かせないジョンと、大学に戻り学生として生活するサヴァナは、遠く隔たった距離を埋めるように、約束通り絶え間なく手紙を交換することによって、大切に愛を育てていた。
それが、二人にとって、信じあえる唯一の絆であった。
・・・時は流れ、世界の情勢が複雑化する中で、ジョンは兵役の任務を延期せざるを得ない状況に追い込まれる。
彼は、祖国への献身と、サヴァナのもとに戻りたい想いの内で苦悩する。
しかし、そんな二人の関係は、ある事件をきっかけに引き裂かれる。
そして、ある日ジョンのもとに届いたのは、サヴァナからの別れの手紙であった・・・。
二人の出逢いは、甘い恋愛小説の書き出しを思わせる。
物語の核となるのは、それ以後のことだ。
このドラマは、長距離恋愛を描いていて、二人の恋は、戦争と‘9.11テロ’で引き裂かれるが、そこには‘献身’の精神がある。
ジョンはサヴァナとの結婚を考え、除隊するつもりだったが、祖国への忠誠心と責任感のために、戦地に引き止められる。
このあたりの突込み、描写が浅いのは残念だ。
同じようなことが、サヴァナにも言える。
自閉症の施設建設を夢見ていたサヴァナは、ジョンに別れの手紙を書くのだが、この身の処し方がいかにも唐突だ。
かなりの泣かせどころかどうか知らないが、観客を甘く見てはいけない。
9.11テロそのものが、二人を引き裂いたわけではない。
それは、ほんのきっかけに過ぎない。
二人の揺れる心は、もっと深く突っ込んで欲しかったし、ジョンと離れている間にサヴァナの身に起きたこと(!!)は、ある意味、ジョンへの裏切りと取れないこともない。
いや、この作品を観た男性なら、間違いなく裏切りだと思うだろう。
ちょっと信じ難いドラマの展開を挟んで、二人の成り行きがどうなるか、気をもませるところだ。
女性側から見れば、サヴァナの決断は納得(?)できるかもしれないが、男性側からだったら、どうか。
ラッセ・ハルストレム監督のアメリカ映画「親愛なるきみへ」は、抒情的なラブストーリーを映画というキャンバスの上に描いているが、本来監督の得意な分野であるはずの、人間の持つ抗いがたい強い感情の源泉に何があるのか、さらにきめの細かいキャラクターを作り上げてほしかった。
孤独な人間に寄り添う優しさには、もっと努力することと勇気を持つことも、大切なのではないか。
良くも悪くも、拍子抜けのするほどあっさりしていて、欠点をいえば、描写不足なのだ。
魅力的な二人の主人公を配しながら、純愛映画として観たとき、この作品の安易な満足感には、どうしても物足りなさが残る。
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まあ,見ていないので何ともいえませんけれども・・・。
中には、極上のラブストーリーだと、べたほめの人もいるようですが、そうは思いません。
物語のつくり方が、安易で安っぽく見えています。
二人が遠距離で離れていて、その間に女性が別の男性としたことは、いかにも漫画的だし、どうもドラマを俗っぽくさせてしまっているようにしか見えないので・・・。はい。