徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「ホワイトリリー」―心を縛られた女と女の情念のぶつかり合い―

2017-02-23 16:15:00 | 映画


 ホラー映画の名匠といわれる中田秀夫監督が、レズビアンの世界に挑戦した。
歪んだ愛の果てに、女同士の究極の純愛はありうるのか。

 新作ロマンポルノシリーズ最後の公開となったこの作品で、中田監督は官能と耽美の世界を確かな心理ドラマとして描こうと試みた。
 女同士の恋愛で、難しいのは演技だ。
 日活撮影所出身の中田監督が、ホームグラウンドに戻ってきて、いかにして女性のキャラクターに感情移入して、女性の生き様とパッションを描いたか。
 若い女性を含む大勢の観客が映画館に詰めかけているのは、ある意味大変喜ばしいことでもあるのだが・・・。





教室を開いている女性陶芸家の登紀子(山口香緒里)に、弟子のはるか(飛鳥凛)は憧れを抱いていた。

秘密を抱えながら寄り添って生きている二人の間に、ある日男性の新弟子が踏み込んで来て・・・。
そして、そのことによってそれぞれの愛が暴走を始める・・・。

映画「ホワイトリリー」は、男性新弟子を絡めた三角関係となり、官能美たっぷりに物語は綴られる。
この男女の三角関係は、激しい感情のぶつかり合いが最大の見せ場となっている。
百聞は一見にしかず、禁断の世界である。
先生と生徒という関係が、恋愛に通じる感情は理解できる。
中田監督はこの作品のために、国内はもとより、海外の女性同士の恋愛映画を片っ端から観たそうだ。
それで、現場のスタッフ、キャストを含め、信頼感に満ちた撮影ができたと言っている。
この種の映画作品での主役は、まぎれもなく女性であり、彼女たちはいつもスクリーンで輝いており、登場する男性がいても彼らはあくでも添え物でしかない。
この映画では、女性が自らの官能性に率先して耽溺していくわけで、そのことによってさらに昇華されたエロチシズムは、危うい狂気の寸前まで陥って表出されることになる。

小説や漫画を原作とした作品ばかりが並ぶ昨今の邦画界では、この全5作品ともなるシリーズものの企画は、極めて画期的なことだろうと思われる。
しかも、すべてがオリジナル脚本だ。
またそこが監督の腕の見せどころでもある。
男と女であれ、女と女であれ、恋愛物語にラブシーンはつきものだし、それひとつとっても大きな映画文化だ。
中田秀夫監督は1961年生まれ、東大卒、日活撮影所では小沼勝監督澤井信一郎監督の下で助監督としての経験を積み、92年TVドラマ「本当にあった怖い話」シリーズで演出を担当した。
映画監督デビュー「女優霊」(96年)で、その後「リング」(98年)、「リング2」(99年)で日本映画界にホラーブームを巻き起こしたのだった。
近年の作品としては「クロユリ団地」(13年)、「MONSTERS モンスターズ」(14年)がある。
        [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点
次回はフランス映画「パリ、恋人たちの影」を取り上げます。


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2 コメント

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ホラーの (茶柱)
2017-02-23 22:25:54
監督と聞いたりすると、「恋愛の怖さ」を想像してみたりして・・・。
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ほほう、なるほど・・・ (Julien)
2017-02-25 04:08:50
そうきますか。
ほんと、「恋愛」って怖いんですよね。
妖しい魅力が充満している怖さとでもいいますか。(笑)
しかし、危険な香りをともなっていても、甘美な官能の魅力には勝てないというある種の「痛快さ」は、捨てがたいものなのではありませんか。
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