人気漫画家・水波風南の、ベストセラー・コミックを映画化した。
古澤健監督の、甘酸っぱい純愛ラブストーリーだ。
お下げ髪で、勉強だけが取り柄の超地味系の‘昭和の女’と、ドSキャラだが学年主席の‘超モテ男’・・・。
全く正反対の二人の運命の出会いと恋愛、襲いかかる試練、そしてそれぞれの成長を甘く切なく描いた、青春純愛物語だ。
二人の男女が、少年少女から大人へと移りゆく姿を綴っている。
この作品から伝わってくるのは、若いひたむきさだ。
そこは、少女コミックの世界だから、大人には物足りないのだが・・・。
日比野つばき(武井咲)は、真面目が取り柄のダサダサな女子高生だ。
そんな彼女が、高校入学式の当日、成績トップで学校一のイケメン・椿京汰(松坂桃李)と、隣り合わせの席になった。
しかも、クラスのみんなの前だというのに、突然彼にファ―ストキスを奪われて・・・。
そればかりか、京汰はつばきを「彼女にする」と言い出す始末だ。
つばきは、強引な京汰に反発しながらも、彼の優しさに触れて、次第に彼を好きになっていく。
やがて、初めてのデイト、初めての恋へ・・・。
つばきは、恋することで少しずつ変わっていく。
京汰も、自分に直球でぶつかってくるつばきの姿に、本当に惹かれはじめる・・・。
高校最初の夏休み、星空の綺麗な天文台で二人は心を通い合わせる。
二人は、来年のクリスマス・イブに、同じ場所で会うことを約束する。
そして、つばきは思い切って、京汰に生まれて初めての告白をする・・・。
この種の作品は、どうも歯の浮くようなセリフが気にかかって仕方がないが、それも若者の独特の純粋さというべきか。
年齢を問わずに、多くの女子が夢見る、純粋な恋があるものだ。
どろどろとした大人の恋と違って、十代の恋というのは、どこか心拭われるような、ピュアな感じだ。
累計900万部を超える、少女マンガの映画化だが、ラブロマンスの王道を行く作品は、若い男女には胸がキュンとなるドラマだろう。
人気アイドル二人の共演に惹かれる、若者もいるだろう。
ヒロインつばきの持つ「女子力」というヤツが、同級の女子たちの反感を買うが、それも一気に好感へと変化させてしまう。
直球もいい。ひたむきなのもいい。
何事も勇気をもって、挑むのもいい。
武井咲は、真直ぐでひたむきなつばきを魅力的に演じている。
京汰役の松坂桃李も、少女コミックの王道男子を結構楽しんでいるみたいだ。
映画に登場するヒロインのファッションは、「女の子」の変身、変化が見られて、いろいろとカラフルで面白い。
こちらは、衣装を担当する奥瀬麻美が、ドラマ演出のスタイリストとして一役買っているからでもある。
音楽の方も、12ものアーティストがテーマ曲を担当しているというし、その面から見れば、「恋する音楽映画」とも・・・。
古澤健監督の映画「今日、恋をはじめます」は、胸キュンドラマの好きな若者のハート向きでも、中高年にはどうか。
いや、どうも・・・。
[JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点)
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少年漫画が「いつも勝負」しているように。
何ともほほえましい限り。
やはり、少女小説でしょうか。はい。