明けましておめでとうございます。
今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
寒風の中で、すさみきった年の瀬から新年にかけて、心を癒されたことがあります。
「派遣切り」などで、仕事や住まいを奪われた人たちに、食事と居場所が束の間提供されたことです。
人よんで、「年越し派遣村」が、大晦日に東京・日比谷公園に開村しました。
300人あまりの人たちが、「村民」として‘登録’され、年越しそばやつきたてのお餅などで、温かいもてなしを受けることが出来たようです。
恩恵にあずかった、男性の言葉は本当にうれしそうでした。
「野宿をまぬがれて、今ほど人の情けを感じたことはありません。
こんな正月ははじめてです」
ボランティアに参加した、23歳の女子学生の、
「社会に出れば、いつ自分も同じ目に遭うかもしれない。
少しでも、何かの役に立てば・・・」と言う話にも、心慰められる想いがしました。
人が人と助け合い、人が人に感謝する、そんな当たり前の心は失われていない。
多くの人たちが、路頭に迷うかもしれないこんなときにこそ、“政治”が物を言わなければならないのに、国会が、本当は正月だからと言って、お屠蘇気分で休んでいる場合ではないのです。
この「派遣村」は、正月5日までとも言われています。
もうその後がありません。
非情の嵐が、待ったなしです。
ボランティアの活動にだって、限界があります。
食料でさえ、底をつくという状態のようです。
動きの遅い国や市に代わって、正月も返上して‘難民’のために立ち上がった人たち・・・。
そのご苦労には、頭が下がります。
‘行政’は、一刻の猶予も停滞も許されない。
「派遣村」に集まって来た人たちは、いま明日をも知れぬ今日と言う日を、崖っぷちで生きているようなものです。
日に日に、集まってくる人は増え続けており、もはや収容能力も限界のようです。
これは、もう立派な災害(人災)ではないでしょうか。
定額給付金どころではなく、超緊急事態(!)で、迅速、適切な対応が、即求められています。
ああ、それなのに・・・。
今年は、いろいろな意味で、厳しい一年となりそうです。
永久に戦争のない平和な国、誰もが等しく幸せに暮らせる国、いつまでもそういう美しい国であってほしいと願いつつ、新年を迎えました。
新しき明日の来るを信ずという
自分のことばに嘘はなけれど ( 石 川 啄 木 )
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今一度振り返ってみて、我欲を何かにすり替えていないか、見つめ直していただきたい。
そんな風に思う新年です。