この映画のもうメチャクチャさに、完敗(乾杯)だ!
「わけわからんが面白い」のキャッチフレーズのごとく、凄い娯楽大作が誕生したものだ。
アジア発の革命的SFアクション、怒涛の展開である。
久々のインド映画だが、馬鹿馬鹿しさを通り越して、仰天の面白さは、ハリウッドを超えるスケールではないか。
世界一の映画大国といわれるインドから、本当にすごいやつがやって来たものだ。
映画といっても、歌あり、ダンスあり、笑いあり、そしてド派手なアクションと世界一の美女の登場とあって、さすが、製作費37億円は納得だし、世界の興行収入100億円を超えるとあっても合点がいく。
本編は、当初公開の編集版ではなく、さらに40分もおまけのついたノーカット完全版で、180分の大作となっている。
シャンカール監督は、とんでもない映画を作ったものである。
それに、何といっても、美女がいなけりゃ映画じゃない、なんていう人もいるくらいで・・・。
ロボット工学の専門家バシーガラン(ラジニカーント)は、画期的な高性能ロボット“チッティ”(ラジニカーントの二役)の開発に成功した。
一見すると、人間のように見えても、それはまぎれもないマシンだったが、バシーガランはチッティの神経回路まで改良を施したことで、チッティは人間と同じ感情まで持つようになった。
チッティは、バシーガランの恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に恋心を抱くが、相手にされない。
人間性に目覚めてしまったチッティを、バシーガランは今度は破壊マシンとして生まれ変わらせた。
その結果、新型チッティはサナを奪おうと必死になるのだった。
そして、さらには自身のレプリカを量産し、組織化されたロボット軍団は、敵対する人間を容赦なく攻撃する殺人マシンとなって、今や世界の脅威になろうとしていた・・・。
主人公のスーパースター、ラジニカーントは天才博士と高性能ロボットの二役を熱演、ヒロインは94年ミス・ワールド“世界一の美女”アイシュワリヤー・ラーイが期待に応えてくれる。
ダンスも、ミュージックも、アクションも、思わず見とれるほど素晴らしかったし、見せ場たっぷりのエンターテインメントだ。
とくに、無数のロボットが組み体操のように合体し、球体やドリルなど、次々とスピーディーに変形しながら暴れまくる衝撃のシーンは圧巻だ。
何しろ、ラスト40分の連続アクションに、居眠りなどしている暇はない。
突然始まる、世界遺産マチュピチュでの豪華絢爛のダンスシーンが、なぜそこでなのか、この壮大な群舞は、これはもうインド映画でしか体験することはできないのではないか。
とにかく、驚愕の連続である。
映画といえば、ストーリーが気になるところだが、インド人はあまりそういう物語性を求めないらしい。
だから、何から何まで盛り沢山で、明るく賑やかで楽しければ、それでいいという感覚があるようだ。
不条理のまかり通るインド社会は、貧富の差も激しく、俳優という俳優も少なく、本作の主人公ラジニカーントも下層階級の出身で、トップ映画にのし上がり、絶大な人気を得ている。
シャンカール監督のインド映画「ロボット」は、こってりした味付け満載の、これでどうだ!といわんばかりの、上映時間3時間、度肝を抜くような作品だ。
ここでは、この映画自体の内容や質は不問である。
どうこう言わずに、ハチャメチャな面白さだけは保証付きだし、百聞は一見にしかずで、好き嫌いの別れる映画だ。
だからといって、インド映画の進化は凄まじいものがあるし、現時点ではハリウッドはもちろん、日本も、絶対に真似のできない作品であることだけは確かだ。
痛快無比、奇想天外、馬鹿馬鹿しいけれど、面白いのだ。(面白さだけを考えれば★五つでも・・・!)
[JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点)
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物凄くハチャメチャで楽しい映画だという話ですね。
これも「映画の楽しさ」ですよね!
どうせ楽しむのなら、徹底的に楽しませてもらいましょう。
何でも、中途半端、生煮え、消化不良、不完全燃焼なんていけません。
ね、そうでしょう?