サッカーW杯決勝トーナメントは、延長戦でも決着がつかず、PK戦に持ち込まれたが、日本は1回戦で敗退した。
相手国のパラグアイは、世界ランク31位だから、日本(45位)より格上だ。
ベスト8も夢ではないといわれていただけに、期待をかけていたファンは多かった。
岡田監督は、ベスト4を狙うといきまいていたが、準々決勝には手が届かずに終わった。
試合5本のすべてを決めたパラグアイが勝ったが、日本の青いサムライたちが、8強入りを果たせなかったことについて、誰もが感傷的(?)になった。
ここまできたことへの、盛大な賞賛の声とともにだ。
それは、でもあまりにもセンチメンタルな光景ではなかったか・・・。
マスコミでさえもが、当初から岡田ジャパンの目標「4強」を打ち上げていたからだ。
しかし、勝負はすべて結果だ。
見ての通りだ。
日本サッカーが8強を争うには、世界の壁は厚かった。
ここは謙虚に省みて、あまりにも、レベルが違いすぎたということだ。
外国のメディアは、日本の熱狂とはうらはらに、今回の大会で最も退屈な試合のひとつであったとし、日本にもっと野心があれば結果は別のものなっただろうと、日本代表の不甲斐なさをあげているのだ。
ブラジルの民放テレビにいたっては、日本はひたすらパラグアイのミスを待ち続けるという、技術的に低いレベルにあったとまで言い切っている。
サッカーというスポーツは、守備だけで勝ちきれるほど甘くはない。
そんなことは分かっている。
確かに、攻撃への意識、執念において、戦術不足であったことは否定できない。
ある新聞は、試合ひとつ見てもパラグアイとは差があり、PK負けは必然だったと酷評している。
世界のトップレベルが、いかに高いところにあるかということではないか。
日本代表陣には、点を取って何が何でも勝ちに行こうという意識がどれだけあったか、もっと攻撃的な(!)サッカーを考えないと、世界のレベルには届かないのかも知れない。
・・・そんな風に見ると、日本代表陣に構造的な欠陥があったのでは・・・?などと、かんぐりたくなる。
ここは、感傷を超えて、今後将来に向けて冷静に考えなくてはいけない。
ともあれ、決勝トーナメント進出を果たしたことで、その経済波及効果は期待に反して、驚くなかれ約3000億円にものぼるといわれる。
これが、サッカーの威力か。
日本経済が、予期せぬ恩恵を受けることになれば、もう大いに褒められるべき快進撃だ。
それなりに、しっかりと効果に期待をしたいし、少しぐらいは喜びも・・・。
この不景気の中で低迷を続ける日本に、元気と希望を与えてくれるに違いない。
初の8強入りを逃した岡田監督も、選手たちと同じように燃え尽きたのか、今大会限りで代表を退くことを表明した。
このあとは、北の国(北海道)の住民になるのだそうだ。
彼は、戦いに100%の力を出せば勝てると言っていたが、結局「何かが足りなかったのだ」、そして「もうやることはない。これ以上日本サッカーを背負えない」と言って頭を下げた・・・。
日本の選手たちは、全力を尽くしてよく頑張って、よく戦った。
でも、何かが足りなかった。
16強入りしてよかったなどと、浮かれている場合ではない。
日本サッカー協会には、代表監督を4年ごとに代えて、すべてを丸投げするという、悪しき伝統(?!)があるというではないか。
日本のティームでは限界かもしれない。
いまの日本に、世界で戦えるようなティームを作れる指導者がいるだろうか。
次期監督を含め、多くの課題をかかえて、早くも4年後を見据えて動き出している。
日本の守備力は、かなり向上しているのではないか。
反面、南米の強豪国あたりと比べると、世界がいうように、いかにも攻撃力が幼い(?!)ように思える。
それに、指導力もだ。
試合後、岡田監督は、日本は得点力のあるティームじゃないなどと語っていたが、そういうティームにしたのは誰だったのか。
・・・駒野選手のPKは、無情にもクロスバーをたたいてしまった。
あの瞬間、日本中の誰もが「嗚呼!」と、思わず息をのんだ。
そして、長かった戦いは終わったのだ。
駒野選手は枯れるほど涙を流し、その目は腫れ上がっていた。
駒野よ、泣くな!
運がなかったのだ・・・。
その日本代表陣は、今日夕方帰って来た。
お帰りなさい。
岡田ジャパン、青きサムライたち・・・。
帰国直後に行われた記者会見は、当然のことかもしれないが、総じて元気がなかった。
早く立ち直って欲しいものです。(追記)
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予選リーグはまずまず、ただ、パラグアイ戦ではやや首を傾げたくなる戦いぶり。なんにしてもあのタフな試合運びでは全戦を同じメンバーでは戦い抜くことは不可能でしたから、決勝トーナメントも視野に入れたチーム作りがベスト4進出には不可欠だったかと。
いずれにしてもまだ大会は終わっていないわけですから、8強以上の試合から学べることは沢山あるはず・・・。
このまま「岡ちゃん良くやった」で終わっては欲しくありません・・・。四年後にベスト4にいけるように。
個人的には、普段あまり関心のないサッカーですが、周囲のあまりの熱狂に、今回ばかりはテレビの前に釘付けになってしまいました。(笑)