徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「ソルト」―大胆不敵なスパイアクション―

2010-08-09 11:15:00 | 映画
社会派フィリップ・ノイス監督の、スパイ映画だ。
一種の空しさをも感じさせるハードボイルド・・・、凄まじい女スパイ(?!)の活躍を描いたエンターテインメントだ。
冷戦時代に存在したとされる、エリート・スパイ養成所の伝説をもとにしたサスペンスで、主演のアンジェリーナ・ジョリーは、この主人公役のために、身体を絞り、撮影には、ケガまで負うほどの過酷なアクションに挑戦している。

イブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、米中央情報局(CIA)の工作員だ。
北朝鮮で逮捕されるが、人質交換で帰国する。
・・・その2年後、ロシアから初老の亡命者がCIAに送られてくる。
彼は、スパイ養成機関の教官を名乗り、何十年も前にアメリカに潜入させた、ソルトという名前のスパイがいることを打ち明ける・・・。

ソルトは、旧ソ連の国家保安委員会(KGB)で、少女期から特訓を受けたエリート情報部員だった。
彼女は、並外れた工作能力を持ち、ロシア大統領の暗殺まで首謀し、さらに巨大で危険な計画にかかわっていくのだ。
その同姓同名のソルトに、二重スパイの嫌疑がかけられるというのだから、話はややこしい。

ロシアのスパイだという疑いをかけられ、一転CIAから追われる身となったソルトは、「私はハメられた」と、身の潔白を主張しつつ、自分に張りめぐらされた包囲網をすり抜けて逃亡する。
この逃亡者ヒロインの超人ぶりは、もうハチャメチャだ。
大型トレーラーの屋根に次々と飛び移り、ヘリコプターからハドソン川に飛び込むなど、飛んで、殴って、撃って、撃って、撃ちまくるという、ハードアクションの連続である。
血みどろの顔で、手錠を嵌めたままで、黒幕らしき相手との格闘が続くのだから、次に何が起こるのか予測もできないし、とにかく全く目を離せない。

アンジェリーナ・ジョリーの、目をカッと見開いて、頬をそぎ落としたクールな無表情が、凄みたっぷりだ。
冷酷に、非情に、彼女の前に現れる人間たちを、手当たり次第に始末(?!)していく。
そこには陰惨な裏切りがあり、殺しの連鎖が続く。
女性スパイとCIA分析官の、二つの顔が、あたかも観客までも欺くかのように――

善なのか悪なのか。
それさえもよくわからない、ミステリアスさである。
映画では、一見正体不明の女を演じながら、ストーリーは二転三転し、観客を翻弄する。
アクションシーン満載、彼女の多彩な変装も見ものだ。
フィリップ・ノイス監督アメリカ映画「ソルトは、もちろんドラマはフィクションだから、かなりな無理筋もあるし、度肝を抜くような無茶苦茶な設定も、この作品には許されるか。
この夏の酷暑を吹き飛ばすには、うってつけの娯楽映画である。