大分前に、この欄で、エスカレーターの乗り方(歩き方)のことを書いた。
現実に、動くエスカレーターのラッシュ時に、人と人とがぶつかり、お年寄りがよろけて転倒するという事故があった。
今また、このエスカレーターでの歩き方について、「歩行禁止」をも含めて、いろいろと取り沙汰されている。
関東と関西では、昇降客のために、それぞれ右あけ、左あけがルールと思い込んでいる人が多いが、もともとエスカレーターの構造は、利用者がとくに歩くことを想定してつくられているわけではない。
このほど、横浜市では、市営地下鉄の各駅のエスカレーターについて、「歩行禁止」の大々的な撲滅キャンペーンを始めた。
通常、毎分30メートル動くとされるエスカレーターは、そもそもが動いている機械なのだから、右だろうが左だろうが、歩くべきではないと言うわけだ。
だから、「安全」を第一に考えて、「歩行禁止」にすべきとの結論に達したようだ。
「いまさら、何で・・・?」
「そうだ、そうだ」などと、いろいろと意見もあるらしい。
でも、「安全」を考える、横浜市の方針は間違ってはいない。
以前から、東京消防庁では、エスカレーターでの歩行は避けるように呼びかけている。
その一方で、どうしたわけか「歩く」マナーが定着していて、エスカレーターの片側は空けるものだという、コンセンサスが出来つつある。
それだから、「何をいまさら?」と言うことになる。
片側を上がれるのは、急いでいる人の暗黙の権利だと言うことだ。
だから、どんな理由があろうとも、道を塞ぐとトラブルのもとになる。
現状では、子供と保護者は、前後で一列に乗らないと、後ろから来た人に突き飛ばされる危険さえあるのだ。
しかし、前後で乗ったために、子供が怪我をした事例もある。
そんなに急ぐなら、階段が空いているのだから、そちらを上がっていったらどうなのだろうか。
交通機関では、あくまで注意を呼びかけてはいるが、「歩行禁止」を強制まではしていない。
名古屋市営地下鉄はかなり前から、東京の地下鉄でも、また一部のデパートなどでも、「歩行禁止」を積極的に呼びかけてはいる。
将棋倒しのような事故が起きないことを祈りたい。
しかし、この程度の「安全対策」(?)でよいと言えるのだろうか・・・?
この秋からの、『エスカレーターでは、歩かないでください』と言うポスターを、地下鉄全駅に掲示しての横浜市の取り組み、はたして功を奏するか、どうか。