足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

信用取引の規制をどうみる

2005-12-27 18:52:09 | 株式

16年ぶりの信用規制を東証が検討を始めたと日経新聞が伝えた。オンライン取引で信用取引の売買をして利益をあげた投資家のなかには「規制とは?」と初めての経験で、ピンとこない向きも多いのではないか。

現在信用取引で株式の売買を行うときには担保を現金で30%差し入れなければならない。100万円で株式を購入するとき、信用なら30万円を担保としていれる。現金でなく株券を担保で入れることもできる。その場合、株券の評価は時価に対して80%に評価されるので、(30%÷80%)×100=37.5%分の株券を担保として入れればよい。

担保の掛け目が70%になったら(30÷70%)×100=42.8%分の株券が担保として必要。投資家の資金力はそがれる。

取引所の狙いは過熱気味の相場を事前に抑えておきたいということ。それに80%という担保掛目は異常な高さで先進国では一番に優遇されてきた。それを70%という常識的な水準に戻そうというもの。日銀のゼロ金利解消と同じ狙いである。

東証の規制は相場にとっては影響なしとはいえない。掛け目だけではなく証拠金率も40~50%に引き上げるという。

ただ日経平均が1万6000円に乗り、売買代金が恒常的に20~30億株時代にはいっただけに規制してもそんなに大きな影響はないと東証は判断しているのだろう。いままでの「異常」を「正常」な水準にしようというのがいまひとつの狙い。そうしておかなければ株価が暴落した時の政策手段がないからだ。

しかし東証は「こと株式市場に関してはデフレは終わった」と判断している。相場の先見性が正しいなら、第1回目の規制は心理的なものに止まるだろう。むしろデフレ終了宣言の方に注目が集まるかもしれない。

しかし一つだけ投資家の皆さんに強調しておきたいのは信用取引での投資は避けることである。これだけは健全な資産運用とはいえない。説教のように聞こえるかもしれないが、プロ以外は信用で大もうけしたという話は聞かないからだ。