相変わらずヘッジファンドについての神話がまかり通っている。
まず「最近は商品相場の下落で損をして元気がない」ということ。そん話は素人の運用者ならいざ知らず、この世界で生きてきたファンドには見当たらない。これまで有力なヘッジファンドで活躍してきた若手の運用者たちは、ここ10年の波乱(1998年のLTCM破綻、2000年のITバブル崩壊)という洗礼をくぐり抜けてきた。それだけにリスク・コントロールということを何よりも最優先にしている。商品相場の下落を彼らはチャンスとして利用している。
「運用が不振で資金が流失している」という話も流れている。逆だ。最近の調査では世界のヘッジファンドの運用資金は1兆7000億ドル(198兆円)になった。日本の投資信託の3倍である。その市場での影響力はますます高まってきている。年金、大学基金、寄付基金などにとってヘッジファンドでの運用は避けて通れなくなった。
ただジョージ・ソロスやジュリアン・ロバートソンの超大物が活躍した時代と異なるのは運用の視点が1年→3ヵ月→1ヵ月と短期になったことである。相場の環境の変化でもあり、自分たちの存在が市場で大きくなってきたので、投資行動が同じ方向に向かう。
最近のNY株の動きをみていればこのことが理解できる。
ヘッジファンドの動きは無視できなくなってきた。