足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

「ゼロサム」のゲームの世界

2008-07-29 17:58:12 | 株式
今回の金融市場の波乱でヘッジファンドの世界でも勝者と敗者が鮮明になってきた。
本欄でこれまで書いたジョン・ポールソンのクレジット・オポチュニティ・ファンドの昨年の成果は6倍になったが、一方では大きな損失を出して、この世界から退場するところも多かった。
その現象をみていると、まさに「ゼロ・サム」のゲームである。サブプライム問題が表面化するまでは、高利回りの関連商品に、大きなレバレッジ(てこの効果)を利用して資金を投じた。この種のファンドは大半が解散に追い込まれた。ゲームの「ゼロ」の世界に属した運用者たちである。
しかし昨日、発表になったメリルリンチの損失処理によると、保有していたCDO(債務担保証券)を投資会社に売り渡した。
昨年8月のベアースターンズの問題が発覚したときは、メリルリンチがデリバティブの一部を、一時的に肩代わりし資金繰りをつけたのは記憶に新しい。それを今度は価値の下落したCDOを投資会社ローンスター・ファンドの関連会社に売却した。
初めに紹介したジョン・ポールソンだけでなく、金融市場の危機をチャンスとみて活躍する運用者の数もふえてきた。
今週の米バロンズ誌に6月のヘッジファンドのランキングが掲載された。この種のデータは、ほかの金融商品と異なりパフォーマンスの計算が遅れる。ランキングによると、グローバル・マクロのクラリアムLPの月間の成果は+16.0%であった。年初来(1~6月)では+58%である。初めに紹介したジョン・ポールソンのようなヘッジファンドが出てきた。
「ゼロ・サム」の世界の「サム」のスターである。
このファンドの評価は、専門家の間ではかねて高かった。