米雇用統計(9月)が事前の予想の6万人増から10万3000人と大幅に上回ったが相場は反応せず下落した。
世界最大の債券ファンドを運用するビル・グロス(パシフィック・マネジメント)は「この程度の数字では景気の回復にはつながらない。20~25万人の雇用増が必要」と冷めた見方をする。今週のNY株は3日連騰になっただけにエネルギーが息切れした。
相場が下落すると「依然としてベア・マーケットが続いている」という弱気筋の見方が幅をきかす。
いまひとつの懸念材料はユーロ問題で昨日はイタリアとスペインの格付けの引き下げが相場に影響した。
景気と企業業績の動向を分析して相場のサイクルを分析するのが通例であるが、相場の変動は景気のサイクルだけではなく非経済的な要因によっても変動する。
ベア・マーケットには景気循環と関係ある相場と非経済的な要因によるものがある。
有名な運用会社のダグ・ダムゼイ(ロイトホルト・ウィーデン・キャピタル)は「第2次大戦後には景気循環によるベア・マーケットは8回、非経済的な要因によるベア・マーケットは5回みられたが、前者の下落率は平均-30%で18ヵ月、後者は同-27%で6ヵ月」としている。彼は投資家の行動分析というジャンルに特化したストラティジストである。
この見方を現在のベア・マーケットに適用するなら現在は非経済的要因によるベア・マーケットでその期間は今月で6ヵ月目に突入したといえる。
ダグ・ダムゼイは行動理論からして相場は「年内に底入れする」とみる。確かに米国景気は鈍化したとはいえリセッション入りしたとはいえない。目下のところは典型的な非経済的なベア・マーケットである。
彼は機関投資家の間では最近、注目度の高い相場分析のストラティジストである。
目下の株価の低迷はユーロ問題、米国の政治の混迷が理由とみる。
NY株に左右される東京市場の動きは不変である。今週後半の東京市場はショート・カバー(空売りの買い戻し)で反騰したが、相場の基調は固まらない。