ウォール街は小動き。相場は方向感を失い短期的には慎重論が増えてきている。
まず注目されるのはVIX(恐怖)指数だ。7年ぶりの低水準である。先行きに不安心理があるときにはVIX指数が上昇し、ヘッジファンドなどはVIX指数を買い相場の下落に備えるが、いまはそのような環境にはない。普通ならヘッジファンドが先頭を切って注目するはずだが、今回はそのような動きは全くみらえない。ヘッジダンドには資金流入が続き、4月には月間で186億ドル(1兆9000億円)に達した。
そんななかでCNNMoneyがVIX指数に対抗して作成している「Fear&Greed」指数は91と極端な高水準になった。1年前は39であったので、相場の体温計は極端な強気水準である。この指数はVIX指数より市場のセンチメントを敏感に反応する。
強気相場から弱気相場への転換のメドとされる10%以上の下落を、今回は32ヵ月間も経験していない。第2次大戦後の相場の波動では平均は18ヵ月。異常な長期にわたる上昇が続いている。
東京市場も市場の柱になるような業種が見られず、個人投資家のホットマネーは新興市場のひと握りの人気株に集中し、人気株の顔ぶれが目まぐるしく変わる。東京市場でも機関投資家とホットマネーの間には相場観には食い違いが見られるのが、相場の方向感の欠如の大きな理由である。
次の人気株についての見方にコンセスが成立していないのが、相場の不安定な理由である。そのような合意にはしばらく時間が必要である。