きょうの市場の展開をみて指数別に目立った動きをしたのは新興市場の動きである。
日経平均+0.81%、TOPIX+1.11%、日経ジャスダック+1.26%、マザーズ+3.76%、ヘラクレス+3.49%であった。マザーズやヘラクレスの上昇スピードはTOPIXの3倍以上であった。新興市場の株価の変動を象徴的に現した。
今回の相場の下落過程をみると、マザーズ、ヘラクレスは第1部の3倍のスピードで下げたのだから、「それだけ反発するのは当然」と言われる。まさに、その通りで、これらの市場に参加する投資家はこの株価の習性を頭において置くのが当然で、別にいまさら取り立てて論じる必要はないかも知れない。
相場が一本調子で上がっている過程では新興市場のリスクのことは忘れがちである。
マザーズ市場の1月以来の50%を超える下落率をみて、「これで新興市場の相場は終わった」と結論を出す向きも一部には見られたが、「そんなことはない。この種の現象は2004年にもみられた」と反論した。このことは、今週の「トリトンスクエア通信」で「新興市場も下げ止まるか?」として論じた。ただ何度も強調してきたことだが、トレーディングのプロでないかぎり新興市場銘柄での信用取引だけは絶対に避けることである。
6月8日に公開した神戸物産(3038・大2)は近年にはめずらしく、IPO価格割れで寄った。IPO価格5050円に対して4050円。そして安値は3810円まで下げた。悪気流の中での公開だけに市場から100億円の資金を調達したのだから、この点だけに目を向けて売り急いだ向きが多かった。株価には必ず合理性が働くということを見逃していた。「業務スーパー」(同社の登録商標)という中小の飲食店に食材を販売するスーパーで新しいビジネスモデルだ。それにフランチャイズ形式で成長、第2位と比べて2倍の売り上げというスピードで独走している。スーパーという業態は新設店舗のためには借入金をしてテコを働かせるが、同社は前期末(2005年10月期)の借入金はゼロ、現預金が45億円という類例のない小売業である。ここに年率20%以上の成長が期待できる秘密のカギがある。今回の資金調達で100億円が、さらに上乗せする。
顧客は60%が一般個人である。米国で成功物語であるウォールマートを彷彿とさせる。
理論株価は7900円とした。IPOに当たらなかった方にチャンスが大きかった。機関投資家や外人の買いも期待できるだろう。