今夜のウォール街の動きに世界中の投資家の目が集まる。
月間のうちでもつとも重要な景気指標である雇用統計の発表があるからだ。特に今回(5月分)に関心が集まるのは6月28~29日の連銀FOMCでの金融政策の決定に大きな影響を与える数字であるからだ。
事前のエコノミストの予想では17万5000人の新規雇用増である。4月は13万8000人であった。
エコノミストの予想を下回った方が株価はプラスに反応する。
最近の東京市場と同じようにNY株を取り巻く環境はテクニカルには好転してきている。私がかねて注目し、参考にしているのが米大手証券のメリルリンチのテクニカル分析のチームの見方である。「短期のテクニカル指標は昨年10月の相場の底(2005年10月12日・10216ドル)以来の売られ過ぎの水準に戻っているので、今後の相場はラリーに向かうだろう」と明言している。日本のテクニカル・アナリストのように条件をつけたりはしない。
特に注目されるのはヘッジファンドの行動を「逆張り指標」としてみていることである。ヘッジファンドがナスダック100指数(時価総額の大きい銘柄の指数)の先物でのショート(売り)ポジションを大きく増やしているなど、他のデータをも上げて相場の先行きに弱気になっていることなどを指摘している。
これまで「ヘッジファンドは常に正しい行動を取る」という見方があったが、最近は相場の転機では間違うという常識を作り上げた。この常識が正しいかどうかは先行きの相場が証明することになるが、6月相場を判断する上ではメリルリンチの見方に賭けてみようと思う。