従弟の中でもっとも気の合う憲ちゃんがやって来た。彼は同じ年の生れで、なにせセコセコしていないところが面白い。大学入試では3ヶ所受けて、最も難しいところだけが受かり、滑り止めのために受けた易しいところは全て落ちた。そして卒業後、今ではとんでもなく入社試験さえもエントリーシートで落ちるだろうと思えるような会社に運良く入ったけれど、わずか1ヶ月で辞めた。その後今でいうところのフリーターをしながら沖縄与論島で3年間ブラブラしていた。いい会社をどうして辞めたのか、と聞くと、満員電車に乗りながら一生終えると思うと、自分はやる気が起きなかった、などと今日話してくれた。数ヶ月のアルバイトを転々と繰り返しながら、30歳まで自由気ままな生活を送り、なぜか縁あって、ポテトチップのカルビーに入社した。そして一昨年定年により退社した。その従弟の憲ちゃんは、神戸震災のおり自宅をなくした。両親の経営する店が青木にあり住まいがその近くにあったけれど、二つとも全壊して永年住み慣れた神戸を去った。そして昨年秋に彼の奥さんの実家がある、私の家の近くに引っ越してやってきた。その憲ちゃんが今日午前中から降りだした雨で行き先のない身体を持て余し我が家にやって来た。今日の話の中身は当然地震の話である。神戸震災と今回の地震と比べてどうか、と聞くと、神戸はピンポイントだったから比べるべくもなく、巨大で恐ろしいことだろう、と話していた。
私は風邪が治りきっていないので、妻が母親を連れて実家に行き仏壇のお料具など準備をした。
私は風邪が治りきっていないので、妻が母親を連れて実家に行き仏壇のお料具など準備をした。