カウンセラーと呼ばれる人がいて相談者がいる。ビフレンダーがいてコーラーと呼ばれる人がいる。医師がいて患者がいる。鍼灸師がいて肩こりの人が来る。「私」と「あなた」の関係。
いずれもやって来る人の話を聞くことから始まる。そして前者では傾聴中心となり後者は話を聞いたのちに治癒、施術の方向へと流れる。
今日出向いた先は「こころ塾」。近頃電話相談もなければ直接やって来る相談者もいない。よってブラブラ室内を動物園の檻の中ででウロウロ動く熊やライオンのように右に行ったり左に行ったりしながら作業中のB型就労支援の利用者さんと馬鹿話をしている。そして顔なじみの利用者さんから、ジャマジャマと笑いながら手で追い払われることが多い。
そんなことで遣り過ごしていると足元がおぼつかない老人がやって来た。受付嬢と何やら終わりのこないような話をしているではないか。老人も何か帰るタイミングを計っているようでもあり、話を聞いてもらいたい節もある。
本日ヒマ。受付嬢を促し相談室に入ってもらうことにした。80歳を超え、2.26事件の前日が誕生日の元大学医学部名誉教授のT先生である。夜眠れないという。独居老人の生活がやりきれないともいう。連れ合いはいない、若い時から独身。朝っぱらから街中に出かけて酒を飲み、夕方も街に出かけて酒を飲む。こじんまりした行きつけの店で飲むのが好きだとか。しかも自分は女が好きであるとも素直に白状している。現職時はバリバリの医学部教授であっただろう。
元先生と馬鹿話の時間を過ごす。カウンセラーではない。友だち目線のビフレンダーに成り得ない。相談室にいるのは元医師である。私が患者の立場には容易に成り得る位置関係で座っているのが本日の自分。
T先生は本が好きだという。で、今までの人生を振り返ってどの本が自分を慰め得られたか、どの本に夢中に成り得たか、今はどのような本に夢中になっているか・・について80歳の元教授であり名誉教授の話に盛り上がる。
哲学書を読んでいると話された。ソクラテス、プラトン、アリストテレスの岩波の単行本を机に置いているんだとか。そして2~3ページめくると眠くなるからちょうどいいとか。じゃ・・センセイが処方された眠剤の効用はどうなんですか・・などと関西風の突っ込みを入れたり、ドイツイデオロギーの話を私の方からけしかけたり(この本は難しいけど面白い。若い時のマルクスやエンゲルスが書いているので)、特に人間と神の関係性など。
先生のお話にさらに弾みをつける質問をする時間が続くと先生も疲れたのかもしれない。大街道ロープウェー街に位置する「こころ塾」は飲みに行くお店も近い。また飲みたくなったみたい夕刻。ところで先生夜中は眠れないときにはどう過ごすんですか?とお聞きすると。NHK「ラジオ深夜便」ですと答えてくれた。お~そうですか・・2時台と3時台の音楽はいかがでしたか?おとといのベンチャーズは懐かしかったでしょう!昨日はハワイアンの日野てる子さんの音楽も懐かしかったですね!そういえば日野さんはこの上の学校の出身だとか・・
実はこの時間はいつも私のトイレタイムにつきちょくちょく自分も聞いておるワケ。先生と話がハズムハズム。だって先生が、30歳前の青年時代に遭遇した話が中心につき盛り上がるワケ。医学部名誉教授も独居老人ともなると寂しさがこみあげどうしようもなく人恋しさに陥り、酒の力を借り女性に癒しを求め、たまに飽きると哲学の話し相手を求め(私レベルでは物足りないであろうが・・自分も学生時代は結構ドイデや弁証法的唯物論、キルケゴールやマルクスの前段階のヘーゲルなど、気ちがいじみて刻むように読んでいた時代もあったが既にほとんど忘れたけれど・・)
そのようにして脳が広がったりすぼんだりして多くの人がそうであるように最期を迎えるのかもしれない。
別れ際に先生と、次もぜひお話にいらしてくださいとお願いをする・・次の話は医から見た命とか生命とか魂について先生の話をお聞きしたいと・・お願いをした。なぜならば先生は産婦人科を専門にしていられた、いわば命を取り上げる立場で研究をされた先生であるから。いつでも自分は教える立ち場にいるわけでなく、導く宗教者でもなく、先生のお友達でもなく、癒す人でもなくただ単に自分はいかなる人が目の前にいようとも患者の立場、なんとか犯罪者からでも何かを学びたいと、希死念慮を持つ人からも学びたいと考えるコーラーのような場所にいる。
いずれもやって来る人の話を聞くことから始まる。そして前者では傾聴中心となり後者は話を聞いたのちに治癒、施術の方向へと流れる。
今日出向いた先は「こころ塾」。近頃電話相談もなければ直接やって来る相談者もいない。よってブラブラ室内を動物園の檻の中ででウロウロ動く熊やライオンのように右に行ったり左に行ったりしながら作業中のB型就労支援の利用者さんと馬鹿話をしている。そして顔なじみの利用者さんから、ジャマジャマと笑いながら手で追い払われることが多い。
そんなことで遣り過ごしていると足元がおぼつかない老人がやって来た。受付嬢と何やら終わりのこないような話をしているではないか。老人も何か帰るタイミングを計っているようでもあり、話を聞いてもらいたい節もある。
本日ヒマ。受付嬢を促し相談室に入ってもらうことにした。80歳を超え、2.26事件の前日が誕生日の元大学医学部名誉教授のT先生である。夜眠れないという。独居老人の生活がやりきれないともいう。連れ合いはいない、若い時から独身。朝っぱらから街中に出かけて酒を飲み、夕方も街に出かけて酒を飲む。こじんまりした行きつけの店で飲むのが好きだとか。しかも自分は女が好きであるとも素直に白状している。現職時はバリバリの医学部教授であっただろう。
元先生と馬鹿話の時間を過ごす。カウンセラーではない。友だち目線のビフレンダーに成り得ない。相談室にいるのは元医師である。私が患者の立場には容易に成り得る位置関係で座っているのが本日の自分。
T先生は本が好きだという。で、今までの人生を振り返ってどの本が自分を慰め得られたか、どの本に夢中に成り得たか、今はどのような本に夢中になっているか・・について80歳の元教授であり名誉教授の話に盛り上がる。
哲学書を読んでいると話された。ソクラテス、プラトン、アリストテレスの岩波の単行本を机に置いているんだとか。そして2~3ページめくると眠くなるからちょうどいいとか。じゃ・・センセイが処方された眠剤の効用はどうなんですか・・などと関西風の突っ込みを入れたり、ドイツイデオロギーの話を私の方からけしかけたり(この本は難しいけど面白い。若い時のマルクスやエンゲルスが書いているので)、特に人間と神の関係性など。
先生のお話にさらに弾みをつける質問をする時間が続くと先生も疲れたのかもしれない。大街道ロープウェー街に位置する「こころ塾」は飲みに行くお店も近い。また飲みたくなったみたい夕刻。ところで先生夜中は眠れないときにはどう過ごすんですか?とお聞きすると。NHK「ラジオ深夜便」ですと答えてくれた。お~そうですか・・2時台と3時台の音楽はいかがでしたか?おとといのベンチャーズは懐かしかったでしょう!昨日はハワイアンの日野てる子さんの音楽も懐かしかったですね!そういえば日野さんはこの上の学校の出身だとか・・
実はこの時間はいつも私のトイレタイムにつきちょくちょく自分も聞いておるワケ。先生と話がハズムハズム。だって先生が、30歳前の青年時代に遭遇した話が中心につき盛り上がるワケ。医学部名誉教授も独居老人ともなると寂しさがこみあげどうしようもなく人恋しさに陥り、酒の力を借り女性に癒しを求め、たまに飽きると哲学の話し相手を求め(私レベルでは物足りないであろうが・・自分も学生時代は結構ドイデや弁証法的唯物論、キルケゴールやマルクスの前段階のヘーゲルなど、気ちがいじみて刻むように読んでいた時代もあったが既にほとんど忘れたけれど・・)
そのようにして脳が広がったりすぼんだりして多くの人がそうであるように最期を迎えるのかもしれない。
別れ際に先生と、次もぜひお話にいらしてくださいとお願いをする・・次の話は医から見た命とか生命とか魂について先生の話をお聞きしたいと・・お願いをした。なぜならば先生は産婦人科を専門にしていられた、いわば命を取り上げる立場で研究をされた先生であるから。いつでも自分は教える立ち場にいるわけでなく、導く宗教者でもなく、先生のお友達でもなく、癒す人でもなくただ単に自分はいかなる人が目の前にいようとも患者の立場、なんとか犯罪者からでも何かを学びたいと、希死念慮を持つ人からも学びたいと考えるコーラーのような場所にいる。
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