年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

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2019-01-17 19:47:11 | Weblog
 年が明けても、相変わらず受刑者と顔を突き合わせての相談事が続いている。もちろん出所後の仕事のことであるが、単に就職を決める・・だけで終わることではない。

 就労支援スタッフの二人と打ち合わせ。二人の職員さんと話し合うことに、身柄を施設内から外に出すことにおいて何を重要視しなければならないか・・という話になる。私が二人に伝えたいことは、就職させてハイ終わり、のことではないこと。自分たちがやらねばならないことは、例えばマルクス主義の労働力商品としての価値にあるごとく「使用価値」と「交換価値」において、出所者が持つ労働力商品の交換価値を(つまり賃金となるが)いかに引き上げるか、そのためには労働力商品を持つ彼らをどのように作るのか、あるいは加工するのか・・
 生産工場から、つまり上流から河口に向けて商品を流すにあたって、我々が自信を持ち、本人も自信を持つことができる商品に仕上げて工場から出荷しないと、ペンディング状態のまま出荷するとどうなるか・・。出荷先からもクレームが来る、本人からもクレームが来る。

 懲役は加工ではないだろう。あくまでも自由意思に対する身体的制約であり制限となるはずだ。犯罪に対する国が定めた法律である。よって種々決められた規則の中で懲役生活を送っている。施設内では規則に従って違反、反則行為があるかどうかであり、懲役生活が終わる刑期終了までの生活態度がいかがなものかを注視することが最も大切な仕事となっているように見える。自分も片隅で関わっている様々な教育の一部から「働くこと」の矯正教育を試みているが、結果効果のほどはわからない。でも再犯のデータは白書に表れている。確実に懲役生活者のリピーターがいるということだ。

 受刑者の性根を入れ替える・・などの大言壮語のごときは自分にはない。むしろ、どうすれば彼らが平坦な道を歩くようになれるか・・に焦点をあてたいと思っている。

 受刑者のそれぞれの医務歴を見ていると投薬治療を受けるにあたって、診断名が躁鬱、不眠、アルコール依存症、ギャンブル依存症、癲癇があったりする。そして本人はなぜ事件を起こしたのか?自分にもよく分からない・・などと話す受刑者も中にはいる。私に就労支援相談にやってくる人は、事件前にはクリニックに行っていた履歴があっても、施設に収容されると減薬の方向に行く人も多い。むろん一部には病気入院する人もいるにはいる。病気に因を発しての犯罪については、大きな事件などでは精神的疾患として裁判の俎上にあげられるが窃盗やら詐欺などの犯罪者にはあまりそのようなことは聞かない。しかし無職者のアルコール依存症者の窃盗も目につく。

 人が何かの行動を起こすきっかけには動機があるのだろう。自分たちはその動機がどのような仕掛けになっていて、犯罪へと走るのだろうか、をもっと深く考えなければならないと思っている。私の前に現れる受刑者に近頃やたらと多いのは性犯者にアルコール依存症者。それも結構堅い職業でIQ指数も高い人ともなると、彼らのエンプロイアビリティを考える前に、自分たちスタッフが考えなければならないことがあるのではないかと・・・。その一つに障害を持つ累犯者が存在する。出所後5年以内に再び犯罪を犯す障害者を一般市民が人差し指を指し立てて非難する前に、自分たちが考えないと・・。自宅から仕事場、塀の中から職場へと就職と云う名の場所移動にのみ携わるのでは片手落ちだろうと・・スタッフ3人でヒソヒソ打合せ。

 それよりも、今夜のウズベキスタン戦、どうやろ?また睡眠時間が減りそうな・・。。
 

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