年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

歌人 河野裕子

2011-08-23 21:44:21 | Weblog
  あくせくと阿呆な仕事を引き受けぬもう死ぬ母を放つたらかしにして  

  この髪も脱けてしまふか一櫛ひと櫛わたくしの髪

  大泣きをしてゐるところへ帰りきてあなたは黙つて背を撫でくるる

  かうなれば体力温存猫二匹身体に添はせ昼より眠る 

  わたしより不安な不安な君なれど苦しむ体はわたしの体

  俺よりも先に死ぬなと言ひながら疲れて眠れり靴下はいたまま

  わたししかあなたを包めぬかなしさがわたしを守りてくれぬ四十年かけて

  紅(こう)にだけは隠しておきたかりし再発のことこの子は充分に悩んで生きて来た

  慰めも励ましも要らぬもう少し生きて一寸(ちよつと)はましな歌人になるか

  三時間かけて受けゐる点滴と六十兆の細胞、白兵戦を戦ふ  

 河野裕子さんの歌を知らなかった、今まで。全開示し、自分をさらけ出して歌った人だとしるし書きにあった。昨年乳がんで亡くなったとも書かれていた。

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